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(065) 新たな事実が発覚しました

◇◇◇ 帰り道 ◇◇◇

乃々(ののか)との面会を終え、帰宅中。


彼女は説明された通り病室で寝たきりであった。

会話ができないと分かっていながらも

3時間話し続けたのである。

オレが話し掛ければ、目を覚ますんじゃ

ないかと(いき)がっていたんだが。

飛んだ勘違い野郎でった。


オレには記憶がない。

いつから無くなっていたかすら覚えてない。

自分の過去が分からない。

ノノンが居なくなり、ボッチとなったからか

急に不安と恐怖が襲い掛かる


今日、彼女に会えば、ノノンの事。

自分の記憶の事。

全てが解決できると思っていただんだが、

世の中そんなに甘くはない。


オレを知る唯一の人物は、

今のところ乃々佳しかいない。

だから彼女が目覚め、会話できれば

オレも記憶が取り戻せるのではと期待してる。


ノノンはどうやら偶然現れた幽霊で

オレとの関係はない、というのが判明した。

それだけでも収穫はあった。


ノノンが居なかったら、きっと

乃々佳に繋がらなかっただろう。

ノノンの存在は大きい。


そんなことを考えながら歩いてると。


「よう、旦那!久しぶり」


路上で銀細工を広げて、販売してる

(いか)ついマッチョ男性に声を掛けられた。


やべぇ、変な奴に目付けられた。

顔が()ぇよ

周囲には人がいない。

だれも見てないところで、脅迫して

買わせようという作戦か。


「はい。何でしょうか?」


バカ!返答しないでダッシュで逃げろや。

その時である。

陳列(ちんれつ)する品々の

ある一ヵ所で目が釘付けになった。


「あ!これ?」


ノノンが左腕に付けたアームレットが

売られてたのだ。

似てるとかでない。その物だ。


「すまん。

 旦那のネーミング、パクった」


パクった?どいうこと?

陳列してるアームレットに『天使』という

タイトルが付けられていたのだ。


あぁ~。

オレは雷に打たれたような衝撃を受けた。


「これ天使という作品なんですか?」

「覚えてないかい。

 旦那が、金の輪と羽があるから

 身に付ければ天使になれる

 って言ったんだが。」


思いもよらないところでノノンと

現実がつながった。


「そん時、一緒に居た彼女に

 プレゼントしたじゃないか。

 ほら思い出しただろ」


彼女にプレゼント?


「いつ買ったんでしたっけ?」

「おっ!この色男。

 さては女が沢山いて忘れたか。

 ちょうど先月じゃないか」


先月というと6月か。

オレに彼女がいた。

乃々佳だ。

乃々佳しかありえない。


彼女ならオレに連絡してくるはず。

なのに、ここ2週間1度もない。

オレの携帯に登録がないのは変だけど

連絡が取れない人物はだた1人。

病院で眠る乃々佳しかありえない。


(きわ)めつけは、乃々佳のことを

オレは『ノノン』と呼んでいた。


そういえば、ノノンが初めてオレの部屋に

現れた時、18才の設定だと言っていた。

オレと同じ年だと。


確定だ。間違いない。


ノノンと乃々佳は同一人物だ。

揺るぎない。

乃々佳は、幽体離脱してオレの前に現れた

ってことになるのか?

姿を変えて?今は考えるな。


ノノンが実在したんだ。

こんな嬉しいことはない。

何が何でも乃々佳を目覚めさせないと。

明日から毎日病院へ行くぞ。


「旦那!どうした?」

「いや、考えごと。何でもない。

 お兄さんのお陰でモヤモヤが晴れた」


「落ち込んでたんかい。

 いつぞやの彼女とは続いてるか?」

「多分」


「プレイボーイだね。

 女性は1人に絞りな。

 これはオレ様からのプレゼントだ」


大小2つの銀の指輪を渡された。

片方は乃々佳に渡せって意味だ。


「天使というネーミングを勝手に

 使っちまった御礼だ。

 この名前のお陰で結構売れてるよ」


気持ちだけ受け取ることにした。

指輪を渡すなんて恥ずかしいこと出来い。

もし、渡すにしても彼女の居る前で購入する。


なので、受け取りを丁重にお断りして

オレはその場を去った。


◇◇◇ 寮の自室 ◇◇◇


自室に戻って来たが興奮が治まらない。

早く、病院に行きたくてしかたない。

部屋の中を何度もクルクルと回っていた。


冷静になれ、オレ!


乃々佳とノノンが同一人物だという

ことが判明した。

だがノノンは一体、何だったのだ?

なぜ、子供の姿だったのだ。

小さい頃の乃々佳という訳でもない。

面影がないというか別人だ。


幽体離脱してオレの前に現れたのなら

乃々佳の姿のままだろう。

映画とかで見たことがある。


どいうことだ?

訳が分からん。考えないようにしようと

しても、つい考えてしまう。

優先順位は、乃々佳をどうやって

目覚めさせるかだ。


◇◇◇ 病院 ◇◇◇


次の日、朝一で病室へ行き

乃々佳の病室へ訪れる。


「ノノン?

 堀北さんが大会で総合優勝したよ。

 1位だよ。1位。

 そこまで見てたか?」


到着して早々、ノノンとして話し掛ける。

オレは、乃々佳のことをノノンと

呼ぶことにした。

学校ではそう呼んでたんだ。

変ではない。


そして、ノノンと呼び続けた方が

目覚めるような気がするから。


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