(063) ■■ セカンド・インパクト ■■ ■■■■■■■■■■■■■■■
◇◇◇ 校内 ◇◇◇
アイミーとオレの繋がりを知る人物が現れた。
しかもカイと同じクラスだという。
幕張で出会った時、オレをチラチラ見てた
のはオレの顔に見覚えがあったからだ。
確かに、カイといつもつるんでるんで
学校では悪目立ちしてるからな。
意外とオレ、学校で有名人なのか?悪い方で。
「エミリンさんと、どういう関係ですか?」
まいったなぁ。
やはりあの時サングラス掛けとくべきだった。
うかつであった。人生最大の失敗だ。
週刊誌にネタを売られて、
オレは世間のさらし者となる。
そしてファンから逃れるため、顔を変え
指紋を変え、逃亡生活を送ることとなるだろう。
マネージャーですって言ったら信じます?
オレもアイミーと同じ事務所に
所属してるというのはどうだ?
いや、始めて会いましたと、とぼけてみるとか?
事務所でバイトしてるは?
まず、これを先に確認しよう。
「誰にも言わないって約束してください」
「約束します。
私もコスプレしてること誰にも言わない
でください」
「もちろん」
お互いの秘密を握りあってる。
よし、これで安心。
顔を変えなくて良さそうだ。
情報漏洩は考えなくていい。
カイに知れたら面倒だからな。
で、こいつの目的はなんだ?
アイミーに会わせろという要求か。
それともサインをくれ、だろうか。
Lineアカウント教えて、もありえる。
「実はエミリンとは親戚なんです。
父の姉の娘さんに当たる人でして。
東京、分からないから教えてあげて
と家族から頼まれてるんです。
それでたまに会ってるって感じです」
我ながら天才的な回答だ。
もし何を要求されたら親から止められてる
と返すまでのこと。
良くもまぁ、スラスラとこんな出まかせ
が出て来たもんだ。
さぁ、どうでます?
「ファンじゃないんだ?」
あれ!
リアクションが想像と違ってました?
「ファンか?と聞かれればファンですよ」
「細倉くんとは気が合いそう。
お友達になりたいです」
アイミーじゃなくてオレなの?
変な流れになって来た。
「Line交換から始めましょ?」
怖い。
オレをコスプレに引きずり込もうとしてます?
断わる理由が見つからない。
「別にいいですけど」
オレの携帯を奪い、なかば強制的にLine交換
させられた。
そんなことってある?
オレの携帯に、また新たな女子との
繋がりができてしまった。
インスタとTikTokもやってるらしく。
ついでにフォローさせられた。
まぁ、コスプレイヤーだからやってるわな。
新手のフォロワー獲得手法なの、これ?
定期的に「いいね」してあげないと
怒られるやつか。
面倒なことになってきた。
続きはLineでということで話しは終わる。
なんだったのだ?
教室へ戻ると、カイと堀北さんに
岩井さんのことを聞かれた。
そりゃ気になるわな。
なので、オレとエミリンが付き合ってる
というカイのデマを信じて、
エミリンに会わせて欲しいと
せがまれたと伝えた。
なのでカイには、二度とエミリンの
発言はするな、と釘を刺したのである。
デタラメな返答が一石二鳥となった。
オレ、適当を言う選手権に出場したら
優勝できる自信あんぞ。
◇◇◇ 教室 ◇◇◇
放課後のホームルーム。
明日から夏休み。
朝はテンション下がってたが、
今はそうでもない。
ここ数日で、堀北さんとの距離が縮まったのに、
夏休みでリセットしそうで怖い。
夏休み中は、毎週月曜日に部室集合
とはなっているが、集まってなにするんだ?
なんだかんだ1度もやらずに終わりそう。
ジムに行ったら堀北さんに会えるかなかぁ。
治療に専念するって言ってるし。
どうするんだろう?
カマかけるか。
「明日から夏休みかぁ」
「ノンちゃん。とうとう学校来なかったね。
細倉くん、何か聞いてる?」
だれ?
何の話しされてます?
「えーっと、ノンちゃんって誰でしたっけ?」
「茂木 乃々佳さん。
ほら、廊下側の空いてる席の子」
茂木?知らん。
確かに、廊下側に空席あるけど。
あそこ、人、いたの?
登校拒否してるとか。
「あれ!知り合いじゃないの?」
ちょっと待った!女子の知り合いなんて、
このクラスには堀北さんしかいませんよ。
「ノノンって親しそうに呼んでたから
てっきり友達なのかなぁって」
ノノン?
今、ノノンって言いました?
え!?




