(057) 大会当日:スピード
◇◇◇ 試合会場 ◇◇◇
本日は試合当日。
現在、観覧席から試合会場眺めているところ。
周囲にはオレとカイ、そしてジムで未出場の
JK4人とで固まっている。
我がジムからの出場選手は堀北さん含め
4名がエントリー。
果たしてどのような結果になるのやら。
今からワクワクがとまらない。
会場には放送席が設置されており、
アナウンサーによる実況とプロ選手による
解説行われていた。
♪実況
さぁ、男子スピードの決勝が終わり、
いよいよ女子スピードとなります。
女子の注目選手はどなたになりますか?」
♪解説
やはり去年怪我に悩まされた堀北選手でしょう。
彼女はジュニア時代から負けなしでしたからね。
今年の仕上がりが楽しみな選手です」
おぉ。堀北さんの名が1番に上がったぞ。
今の録音しとけばよかった。
試合のルールは何となく理解したが、
どのような選手が他に居るのかまでは
把握できてない。
どの選手に注目すべきが実況してくれるのは
有難い。
ちなみに、堀北パパとママも応援に駆けつけ
てて、オレの真後ろに居る。
先ほど、お弁当のお礼も含めて挨拶を交わした。
お父様には『娘さんをください』を
まだ言えてない。
まずは、オレという存在を認識してもらい
好印象を与えてるのが先決だな。
***
1種目目はスピードから、そろそろ予選開始となる。
ルールは2回測定して、早い方のタイム
上位8名が決勝へと進む。
トレーナーが言ってた、大会で優勝するための条件は
スピードで決勝へ進む事。
逆を言うと決勝に進めない時点で全国はない。
♪実況
東京都のスピードは激戦区と呼ばれております。
♪解説
そうですね。7秒台の選手が3名います。
その内の1人は高校記録保持者です。
この3名を除くと決勝進出は残り5枠で
競うこととなります。
8秒台前半の選手が数多くおりますので
かなり厳しい戦いになることが予想されます
なるほど。
測定は2つのレーンがあり、
2名づつでタイムを取る。
早速1組予選1回目がスタートした。
いきなり7.55秒と7秒台が出てしまった。
やばいんじゃない?
他の選手も8秒を切る練習して来てる
ってことか。
やばいじゃん。
だんだん不安になって来た。
5組目、いよいよ我らが堀北さんの登場。
堀北夫妻が両手を合わせ祈ってる。
オレは堀北夫妻に見えるよう祈りのアピール。
<<ハル、何してるの?>>
「堀北さんが200%力を出し切れるよう
神にお祈りしてる」
<<神って誰?>>
「ノノンのお父さんだろ?
ノノンからも堀北さんが200%
発揮できるよう伝えてくれよ」
<<天使に父は居ません>>
そうかい。
あっ!始まる。
♪ピ、ピ、ピッ。
10番を3秒台で抜けた。
つまづいてない。練習通りだ。
頼む、手を滑らせないでくれ。ハラハラする。
もうちょっと。ふんばれ!
7.79秒。やったー。
あとちょっとでラッキー7の777だったのに。
そんなことどうでもいい。
カイとJK4人とで手と手を叩き合い
大もり上がり。
オレは、1人でバンザイをした。
ここは堀北ママにアピール。
「やりましたね。自己ベスト更新しました」
「ありがとうございます。皆様のおかげです」
予選1回目はなんと堀北さんが3位。
トータルで7秒台は3名しか出なかった。
これは伝説の始まりだ。
予選から胸熱展開。
2回目失敗したとしても上位8名には残れる。
決勝進出はほぼ確定だ。
やばい楽しすぎる。
予選1回目が終わってランキングをみると、
上位8名に、後輩の美沙と優香の
名前も出てる。それぞれ3位と4位。
あれ?茶髪コンビはノーマークなんですけど。
ライバルはひょっとして身内なの?
***
予選2回目も全て終了した。
我がジムのタイムは全員1回目より伸びてない。
予選結果が出そろう。
我がジムからは4人中3名が決勝進出することに。
そして、堀北さんはなんと3位という快挙。
しかも7.79秒という自己ベストを更新してでの
決勝進出である。
どうやら7秒台の1人が今回不調だったようだ。
予選順位は以下の通り。
<<予選結果>>
1位 神崎 高3⇒早い人
2位 森口 高3⇒高校記録保持者
3位 堀北 高3 ★★★
4位 本間 高1
5位 真田 高3
6位 菊地 高2⇒早い人
7位 石谷 高2⇒後輩の優香
8位 高岡 高2⇒後輩の美沙
こうやってランキングを見ると不得意種目
である堀北さんが3位にいるのが凄すぎる。
予選なのでまだ安心はできないが。
堀北ママに報告だ。
「決勝進出おめでとうございます」
「ありがとうございます。
皆さんで勝ち取った決勝です」
堀北父とは何となく気まづく、
お互い首を縦に振って分かち合うことに。
堀北パパとのファーストコンタクトは
これでいい。
試合中に距離を縮めるつもりだ。
これで第一関門が突破できた。
次の決勝で、堀北さんがどこまで上位に
食い込めるかだ。
スピードの決勝はタイムではない。
トーナメント制となっており1対1の
対戦形式となってる。
早くTOPまで登った方が次のコマへと進む。
なので早いにこした事はないが、
7秒台にこだわる必要はない。
決勝の1回戦はランキングから
次の対戦となる。
1組目:神崎(早い)×高岡(後輩)
2組目:森口(早い)×石谷(後輩)
3組目:堀北★★★×菊地(早い)
4組目:本間 ×真田
分が悪い組み合わせだ。
我らジムの対戦相手がスーパーカー3名に
それぞれ当たってしまった。
決勝なのだ。そもそも遅い選手などいない。
今日の堀北さんは絶好調だと思う。
負ける気がしねぇ。
1回戦が始まり、1組目『神崎選手』勝利、
2組目『森口選手』勝利。
茶髪コンビの2名は敗れた。
やはりスーパーカーには叶わないか。
♪実況
順当な結果となっているようです。
次は『堀北選手』対『菊地選手』となります。
どうみますか?
♪解説
堀北選手は今回かなり力を付けて来てます。
自己ベストを大きく上回っての決勝進出。
これはますます目が離せません。
対する菊地選手は調子が出てないようです。
去年は高校1年生でありながら森口選手が
持つ高校記録まで0.02秒ってところまで
迫ってましたから。
今大会でレコードが出ると期待されてる
選手でもあります
♪実況
次の対戦も見逃せない1戦となるようです
マジ?菊池って、そんなに凄いの。
やばい。ドキドキしてきた。
<<どうしたの?不安そうな顔して>>
オレは、実況の内容をノノンに伝える。
「頼む、天界にアラートを上げてくれ」
堀北さんが登場した。次の対戦が始まる。
勝てばベスト4。
両者が位置に着いた。
堀北パパとママは祈る。
♪ピ、ピ、ピッ
♪実況
両者ほぼ同時にスタート。
堀北が頭1つ抜けリード。
おっと、足を踏み外したか。
腕で支え何とか持ちこたえた。
その間、菊池が先頭に出る。
まだ分からない。
堀北追いつく。ゴール。
タッチの差で菊池が制した
堀北さんが負けた。
前半は先頭に出てたのに残念だった。
菊池選手と肩を並べて戦えたのだ
かなりの進歩だと思う。
おやぁ!
菊池選手が堀北さんへ握手を求めてる。
予選の時もそうだったけど、全ての選手
から愛されてるんじゃないのか。
***
スピード競技の全ての対戦が終わり、
結果は次の通りとなった。
<<決勝結果>>
1位 菊地 高2⇒早い人
2位 神崎 高3⇒早い人
3位 本間 高1
4位 森口 高3⇒高校記録保持者
5位 真田 高3
6位 堀北 高3 ★★★
7位 石谷 高2⇒後輩の優香
8位 高岡 高2⇒後輩の美沙
堀北さんは頑張った。いい試合だった。
目標4位内。やはりスピードの壁は厚かった。
堀北さんの怪我の具合はどうなのだろう?
表情や動きから待ったく掴めない。
残りボルダリングとリード、全力で戦える
のだろうか。
堀北両親に怪我の具合を聞きたいけど、
もし知らなかったら、余計な
心配を掛けてしまうことになる。
聞けない。
あと2種目。
トレーナーはスピードで4位内に
入らなければ全国は厳しい説明してたが
可能性はゼロではないハズ。




