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(046) 予兆

◇◇◇ 男子寮 ◇◇◇

「することないな」

「映画観ようよ」


ここはオレの部屋。時刻は現在22時。

ノノンと暇を持て余してるところ。


「ならホラーがいい」

「やだぁ。トイレ行けなくなる」


お前トイレ行くのかよ。


おぉ、面白い映画を見つけたぞ。


「天使ってタイトルの邦画がある。

 これ見てみるか。

 お友達、出演してるんじゃない?」

「それ絶対偽者だよ。見なくても分かる」


お前もだ。


「恋愛ものがいい。キュンキュンするやつ」

「恋愛映画って見たことないかも」


確かに、ありだな。

世のカップルどもが2人きりの時、

どうしてるか映画からリサーチだ。


「無料の恋愛映画あるかなぁ」

「勉強しなくていいの?」


オイオイ、()えて思い出さないように

してたのに。


「いいの、いいの」

「明日からテストでしょ?」


「オレ天才だから勉強しなくても問題なし。

 大体、今からやったって何も変わん」

「授業見てて思ったけど、

 ハルって何気に頭いいよね」


「だろ!」

「堀北さんに教えてたりするもんね」


「それよりもノノンと2人でいる時間を

 もっと大事にしたい」

「嬉しい。凄く嬉しい。

 ノノンもハルとずーっと一緒にいたい」


あれ?

ノノンが透けて来た。


「ノノン大丈夫か?」

「何が?」


「身体が透けてる」

「どこ?透けてないよ」


ノノンが消えそうだ。


「ノノンが消える」

「大丈夫だよ。心配しすぎ」


やばい。消える。

思わず、ノノンを抱きしめようと両腕で

抱えようとするも。


♪ドッサ


ノノンを通り越し、うつ伏せで倒れる。

振り向いた時には遅かった。

ノノンの姿がどこにもない。


「ノノン!ノノン!」


ついにこの日が来てしまった。

ディズニーランド、一緒に行くって

約束したよな。


分かってはいたけど唐突すぎる。

心の準備が出来ないまま消えてしまった。

ちゃんと別れの言葉を交わしたかったのに。


「ノノン!聞こえるか?」


本当に消えたのか?嘘だよな。


「ノノン!戻って来い」


ちょっとの間だけだよな。


・・・


また、現れてくれるよな。


・・・




「ハル?」


あわぁ。

オレはノノンの声で目を覚ます。

朝の陽ざしが眩しい。

そして振り向くとノノンがそこにいる。


「ハル、どうしたの?」


夢だった。ノノンが消える夢。悪夢だ。

とりあえず安心した。

正夢(まさゆめ)になりそうで怖い。


「寝言いってた。どんな夢見てたの?」


口に出すと現実になりそうだ。

夢で見たことは黙っておこう。


金縛(かなしば)りだ。幽霊の仕業だろう」


オレはノノンを見つめる。

お前が犯人だと言わんがばかりの眼差(まなざ)しで。


「ノノンは天使です」


◇◇◇ 教室 ◇◇◇


学校に到着し自分の教室へと入る。

今日は火曜日。ついにテストの初日が来た。

流石にテスト期間とあって、

クラスメイトはみな勉強中。

教科書やノート、参考書を机に並べてる。


やれやれ、オレに言わせれば直前まで勉強した

ところでなんも変わらんぞ、と言いたい。


あれ?

堀北さんがノート眺めている所を見てしまう。

前言撤回。みんなぁ、ガンバレぇ!


オレは、席に座る前に堀北さんの前に立ち

声を掛ける。


「世界史の勉強ですか?」

「細倉くん、おはよう」

「おはようございます」


机に座って堀北さんの方へ振り向く。

ノノンはオレの背後に回り密着する。

両腕で首に腕を回し、堀北さんを一緒に見つめる。


「ノート見てるけどダメね。

 全然覚えてないことが確認できました。

 もう諦めます」


<<みんな大変だね>>


ノノンはテストがないから気楽でいい。

変わってもらいたいものだ。

堀北さんはノートを閉じる。


「勉強いいんですか?」

「だってノート見てても焦るだけよ。

 見れば見るほど混乱して

 逆に覚えてること忘れそう。

 赤点にならなければいいから諦めます」


「同感です。

 オレも勉強する気なんて

 はなっからありませんよ。

 昨日も勉強してなし」

「それ頭良い人の台詞だよ。

 いいなぁ。

 私もそんなふうに言ってみたい」


「誤解してますよ。頭は普通です」

「またぁ。中間テスト、数学100点

 だったって噂聞いたわよ」


「得意なのは数学だけですよ。

 他はボロボロです」


そしてクラスメイトが必死で勉強してる最中、

他愛もない会話を始める。

まるで、オレと堀北さんはテストは捨て

てるんじゃないかと思わせるほどだ。


「テスト期間中もジム行くんですか?」


テストは午前中まで、学校も午前中で終わりだ。

なので本日、お昼の集合はない。


「行きますよ」


頑張ってるなぁ。


「ですよね。

 試合、今週末ですもんね。

 絶対応援に行きますから」


<<ノノンも!>>

「ありがとう」


目標があるっていいな。

毎日毎日頑張って堀北さんカッコいいよ。


横断幕(おうだんまく)もって応援しますから」

「それは恥ずかしいかも」


♪ガラガラガラ。


先生が入って来た。

流石にテストの日は、カイは来なかったか。

いまごろ焦ってるんだろうな。

オレも他人事じゃないか。


ホームルームの後は直ぐにテストが始まる。

今日は、理系と文系にクラスが分かれての

実施となる。

堀北さんとはここでお別れだ。

もっと会話したかったなぁ。


・・・


そして、その夜。

嫌な予感はノノンではなく堀北さんへ。

金沢さんから緊急の連絡が届く。


Line>リコが大変なの。


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