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(041) バイト探し

◇◇◇ とある商店街 ◇◇◇


<<この花、綺麗。こっちは可愛いよ>>


時給950円かぁ。

しかも平日の日中働ける方。ダメだぁ。


花屋の前、店のバイト募集を見てるところ。

オレは学校から帰宅後、寮から少し離れた

商店街に来ている。

バイト探しに来たのだ。


<<ハル、見て見て!

 この白い花、面白い形してる>>


こいつも女子だな。目がキラキラしてる。

女子が楽しそうにしてるところを

見るのは良い。


たかが、花屋に来ただけなのに

ここまでテンションMAXで楽しまれると

オレまで楽しくなる。

何か買ってあげたい衝動にかられる。

オジサンが物を買ってあげたくなる

気持ちを理解したわ。


バイトを探してる理由はノノンと旅行したいから。

ただ、それだけ。

電車に乗って遠くに行きたい。

ただが日帰りでさえ貧乏学生には難しい状況だ。

人とコミュニケーションを取りたくないから

バイトを避けてきたけど、今はやる気満々。

人のために何かをしてあげたいって

もの凄い原動力になるな。


「ノノン、まだ見てるか?」

<<うんうん。もういいよ>>

「ならあっち行こう」


目的はバイト探しだが、

商店街をブラブラするもの楽しい。


居酒屋は900円か。

ノノンはというと隣の店のアクセサリー

を見ている。


よくよく考えたら、商店街のバイトは

日払いじゃないよなぁ。

今日からバイト始めたらいつ給料受け取れんだ?

しかも1日3時間が限度だよな。

大した金額にならないか。


夏休み入ってから日雇いのバイトした方が

手っ取り早く稼げそうだな。

体力には自信がある。

建築現場の荷物運びとかにするか。


<<ハル?>>


おっと、ノノンは見終わっていたか。


<<何で悩んでるの?>

「バイト探してるんだけど

 条件いいのが無いなって」


<<何でバイトなんかするの?>>

「そりゃ夏休みは遠出したいからだよ。

 ノノンと一緒に旅行して思い出

 作りたいなぁって。

 いろいろなところを見せてあげたいし」


<<うれしい>>


オイオイ、泣くなよ。


「本当はこんな事、言いたくないけど。

 ノノンがいつ居なくなるか不安なんだ。

 だから、思い出作りたいなって」

<<うぅ~>>


ノノンは更に大粒の涙を流す。

オレは、店と店の間に立ち

小声でノノンと会話を続ける。


<<バイトなんてしなくていいよ。

 ノノンは毎日が楽しいよ。

 ここの商店街だって楽しい。

 遠くに行かなくたって、出会ってから

 今までが思い出だよ>>

「そう言ってもらえるとありがたい。

 だけど、オレが連れて行きたいんだ。

 始めてなんだ、こんな思いになったのは。

 ノノンをもっと楽しませたい。

 いろいろなところを見せてあげたい。

 そんな気持ちになったのは。

 そして、オレ自身も高校時代の

 楽し思い出を沢山作りたいんだ」


ノノンは正面から抱き付き。

胸に顔を埋める。


<<ノノンは幸せです>>


あぁ、抱きしめたい。

この腕で息が止まるほどつ強く抱きしめたい。

どうしてノノンは実在しないんだ。

触れたいのに触れられない。

このモヤモヤをどこにぶつければいい。


オレが死ねば、いっしょに幽霊になれば、

ノノンに触れられるのだろうか。


・・・


何分、その場に立ち止まっていただろうか。

商店街の通り沿いだぞ。

だれが見ても不審者だ。

とりあえず、バイトは夏休み入ってからにしょう。


「行こう!」

<<うん>>


商店街の端まで一通り見てオレらは帰宅することに。


◇◇◇ 帰り道 ◇◇◇

「夏休みどこ行きたい?」

<<ハルが行きたいところ>>


大阪はどう?

USJ、オレも行ってみたい。


オレは人込みが好みではない。

だがノノンの笑顔が見れるなら、

今はどこへでも行きたい気分だ。

新幹線代っていくらだろう?学割利くかなぁ。


<<USJって何?>>

「テーマパークだよ。

 乗り物があったり、

 歌やダンスのショーがある。

 ディズニーランドと同じ」


<<ディズニーランドって何?>>


ディズニーランドも知らないのか。

もしかしたらノノンは、数100年前に

亡くなった幽霊とか。

なら服装は着物だろ。

どう見ても最近のファッションだ。


いや、こんな格好してる子、見たことない。

もしかして、未来から来た幽霊なのか?

ならパンク姿も納得がいく。


「知らないならディズニーランドは行こう。

 きっと楽しいと思うよ」

<<うん、ディズニーランド行きたい>>


よし、ハードルが下がった。

1つ目はランド決定。

明日から昼飯抜きにすれば簡単に行けそうだ。


しかし、フラグとしか思えない会話の流れ。

ディズニーランドが実現しないような気がして来た。

アニメの見過ぎか。


<<堀北さんって凄い選手だったんだね?>>


ノノンがお昼の会話を思い出したのか。


「ほんとうだよ。テレビ見たかった。

 逆にそんな人が気軽にオレらと会話

 してくれるのが、ありがたい」


<<篠崎さんもピアノのプロだし。

 ハルの周りの人、みんなすごいね>>


確かに。アイミーは売れっ子アイドルだし。

金沢さんもきっと凄い人なんだろう。


オレに突然未知の能力が発動しないかなぁ。

おっと、中二病が発動した。

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