表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/258

(039) 堀北さん、大人気です

◇◇◇ 寮の自室 ◇◇◇

数秒間だけだったけどノノンが姿を消した。


消えた理由は不明。

だけど、ノノンと一緒に居られる時間は

長くはないかも知れない。

2度在ったということは3度ある。

次は永久にお別れになることもあり得る。

覚悟しておいた方がいい。

そうなると、急にノノンとの思い出を

沢山作りたくなってきた。


「散歩しに行こう!」


思い出が散歩かよ。悲しすぎる。

部屋から埋蔵金とか出て来ないかなぁ。


<<ショッピングモールに行こうよ。

 可愛いお店が沢山あるところ行きたい>>


アクセサリーとかファッションに

興味があるのか?

改めてノノンを女子だと認識したよ。


ショッピングなら金がかからない。

見て回るだけでしょ。

プレゼントするにしても相手は幽霊。

渡せないから考えなくていい。

OKだ。


「行こう行こう」


ククク。金ないオレには都合がいい。

実在する女子だったら、やばかったかも。


<<ハル、優しい。なんか雰囲気違くない?>>

「そうか、いつもと同じだと思うぞ。」

<<昨日の頭痛が原因だよ。病院行う、ね?>>


何でそうなる。

病院?やだよ。

待合室にいる間、徐々に重い病気に

かかってる、ような気分になるのが嫌い。

そもそも金ないし。


「様子を見よう。

 ほら見て?超元気だし」

<<ダメだよ。

 一度徹底的に調べてた方がいい。

 昨日は明らかに普通じゃなかった>>


「再発したら行くから。約束する。

 だから様子み、しよう。ね?」


ノノンは納得いかないご様子。

への字口も可愛いな。


<<じゃ次なったらね。絶対だよ。約束>>

「あぁ、約束約束」


折れてくれた。ふぅー。

とりあえず、病院は行かずに済みそうだ。


その後、善は急げと部屋を飛び出し

ショッピングモール目指したのだが、

外が暑すぎて断念。

結果、近所の公園を散歩するだけとなる。


それはそれで楽しい。

ノノンが居てくれるだけでいい。

オレを癒してくれる。


残念なことはノノンを写真に残せない。

公園で写真を撮ったがノノンが映らないのだ。

動画も同様。


思い出を残したいなんて人を耳にするが、

その言葉の意味をやっと理解した。

いつか消えてしまうノノンをどうしても

写真に残しておきたいができない。

クッソ!


そもそも携帯越しからだとノノンが見えない。

モニタにノノンが映らないのだ。

肉眼だと見えてる。不思議な話だ。

幽霊を念写で映す人が居るが

どうやらオレにはその能力がないらしい。


日中は学校だからノノンとはほどんど

会話ができない。

なので遊べるのは帰宅後から寝るまでの

時間だけだ。


ノノンはいつ消えるか分からない。

今この瞬間に消えてしまうかも知れないし、

オレが死ぬまで居続けてくれるかも知れない。

それは誰にも分からないだろう。

1つ言えることは1日1日を大事に

しようってことだ。


◇◇◇ 次の朝 ◇◇◇


<<ハル!ハル起きて>>


・・・


<<ハルくん起きてください。朝ですよ>>

「ん~ん」


<<お寝坊さんなんだから、もう>>

「あと10時間」


<<えぇ~>>

「嘘、起きてる」


オレは目を開け、ノノンと見つめ合う。

一瞬沈黙となる。


「今日もカワイイね」

<<・・・>>


いいね、そのリアクション。

照れた顔も最高。

朝からいいものが見れて気分がいい。


オレはどうかしてる。

こんなキャラじゃないのに。

ノノンがオレを変えていってるのだろうか。


ベッドから起き上がり、

外へ出てノノンと一緒にランニングする。

そして、シャワーを浴び、飯を食う。

一通りのルーティンをこなす。

いつもの日常、最高だな。

これがオレなりの思い出作りである。

っていうか昨日と変わらん。


そしてちょうど着替え中の時であった。


♪ガチャ (扉が開く)


「エミリンの彼氏のハルくん。

 学校行くぞ!」


アイミーネタでのお迎えだ。

こいつ、卒業までこすり続けるつもりだぜ。


<<ノックもせずに入って来てなんなの?

 ノノン、この人嫌いです>>


お!今の動画撮りたかったぁ。

どこかにアップして『いいね』連打してぇ。


◇◇◇ 教室 ◇◇◇

今朝の教室はちょいと変わっていた。

にぎやかである。極所的に。


<<ハルの席、人でいっぱいだよ>>

「オレじゃなく堀北さんね」


堀北さんの周りにクラスメイトが

集まっているのだ。なぜ?


あのぉ?すみません。

オレ、席に座れませんけど。


<<ちょっと!そこ、どきなさいよ。

 ハルの席なんですけど>>


いいぞノノン。もっと言ってやれ!


「はい、お前らじゃま!どいてどいて」


おぉ!カイの登場だ。

こういう時は役に立つ男だよ。

助かった。座れたぜ。

自分の席に座れないなんて恥ずかし過ぎる。


しかし、この人だかりは何?

オレの堀北さんに話し掛けないでくれます?


<<堀北さん人気だね>>


そうだね。

今更堀北さんの魅力に気付いたのか、お前ら?

遅い。

カイは、人だかりがうるさいという理由で

早々に自分の教室へと戻ってしまった。

というか人がじゃまで居場所がない。


堀北さんと会話できない。

改めてオレはボッチだと認識できた。

ここ最近、自分は変わって来たと

感じてたが幻想だったらしい。


そして、この人だかりの理由は

昼休みに判明することに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ