(024) アイミーって何者?①
◇◇◇ 男子寮 ◇◇◇
現在時刻は20時。
自分の部屋で物思いに耽てる。
アイミーとは6時間前に別れた。
食事の後、次の用事があるとのことで、
カフェを出て直ぐその場で別れることに。
楽しい時間はあっと言う間と聞くけれど。
まさにそれな。もっと会話したかった。
彼女は大量の荷物を両脇に抱え大通りへと出て行く、
そのまま1人で行かせて正解だったのだろうか。
一緒に付いて行く気にはなれなかった。
お迎えの人と顔を合わせたくないから。
待ち合わせの人とはどんな人物だったのだろうか。
まさかリムジンでお出迎えとか。
いや、それは無いな。
アイミーはお嬢様って感じには見えない。
彼氏が迎えに来たという説は?
それも無いな。
彼氏がいるなら、その人とデートするハズ。
謎を秘めた魅了の女性だ。
詐欺師でないのが確定できたのはデカい。
来週、家族のこととか聞いて探りを入れるか。
それよりもノノンだ。
会話中、気になって何度もアイミーの後ろを
チラ見するも現れることはなかった。
本当にあれはノノンだったのだろうか。
オレが生み出した幻想って事はないか。
カイの言う通り、オレは頭が
おかしくなってるのかも知れない。
あんな美人がオレに声を掛けるなんて
ありえない。
アイミーはオレが生み出した幻影なのか。
もしかして1人で原宿を歩き回てないよな。
それを確かめるかのように、携帯を手に取って
恐る恐る保存されてる写真を見る。
アイミーの写真が目に飛び込む。
オレはホットする。
何だよ。実在するじゃないか。
1枚1枚写真を見る。
どれも同じ構図の写真だけど微妙に表情が
異なっている。
しかし、見れば見るほど彼女は美人だ。
この人とデートしてたのが信じられない。
オレは、お気に入りの写真をアイミーへ送った。
♪ガチャ (部屋の扉が開く)
「お!帰ってとるなぁ。
可愛い彼女とのデートは楽しかったか?
まさか中止になったとか言うなよ」
カイの奴、半笑いだ。
くっそ。まったく信じてねぇな。
1日中どっかで暇つぶしてたとでも
思っているのだろう。
こいつだけはリア充を叩きつけてやらねぇと。
「デートしてきました。ショッピングして、
お昼一緒に食べたけど何か?」
「金無いハルが女子とランチねぇ」
「ちゃんと証拠の写真あるぞ。見るか?」
「ほう!
どう言い訳するか楽しみにしてたのに。
まさか写真取って来たとは想定外」
「見て腰ぬかすなよ」
オレは、アイミーのベストショットを
フルスクリーンで表示させ、カイに見せつける。
「ハハハ」
どうした?
カイが大笑いして腹抱えてやがる。
驚きを通り越して笑うしかなくなったか。
「面白過ぎる。腹痛ぇ」
何が面白い!?笑う要素ないだろう。
ここは驚くか、悔しがるところだろう。
「お前さぁ。
誤魔化すなら普通の子を選べよ。
いっぱいネットに転がってただろ!」
あぁ、なるほどなるほど。
ネットで可愛い子の写真を見つけて、
あなたに見せたと言いたいのね。
「まさかエミリン出して来るとは予想外」
はい?
「お前この子、誰だか知ってるのか?」
「お前知らねぇのかよ。
彼女なんだろ?」
「彼女じゃない。誰なんだ?」
「それ、オレに聞く?
お前、知らねぇ奴とメシ食いに行ったんか?
超笑えるんですけど」
カイが知ってるってことはアイミーは
有名人ってことになる。
モデルか?カリスマJKとか。
Youtuberってのも考えられる。
「あー、治まった。
ここ数年で一番面白かったわ。
落ち込むなって」
「落ち込んでない。
ほんとうにこの子と会ってたんだ」
「はいはい。
見栄を張りたい気持ちは分かる。
この写真で無理があるとは思わなかったのか?
これを選択したお前スゲーよ。
想像の斜め上を行かれたぜ」
「もう信じなくていい。
誰だか教えてくれ?」
「エルピースって聞いたことないか?
アイドルだよ」
「エル、なんだって?知らん。
アイドルなんて興味ない」
「北篠愛美梨。
聞いたことない?
ネットで調べみぃよ!」
あ!Lineでそんな名前を名乗ってた。
アイドル?
それはないだろう。
見た目が茶髪のギャルだぜ。
フリフリの衣装を着て、踊って歌うイメージ
が想像できないんだが。
「あー、面白かった。
今度、オレに紹介してくれよ。
楽しみにしてる」
カイは言いたいことだけ言って、
自分の部屋へと戻ってった。
最悪だ。
絶対学校で堀北さんに言うぞ。
明日学校行きたくねぇ。




