(022) 初デート②
おぉ。来てよかった。
個人的に女子の冬服が好みだが、
露出の多い夏服もたまんねぇ。
特にアイミーは最高だよ。
「スカート短すぎじゃない?」
パンツ見えそう。少しかがんだら見えるぞ。
落ち着け。
ウエスト細。生足もたまんねぇ。
ここはパラダイスです。
定員さんの視線が怖い。警察呼ばないでね。
さて困った。
現在、オレに課せられているミッションは
服が似合っているかを問われてる。
好きな女子の服装を自分が選ぶ。
高校男子なら誰しもが持つ願いであろう。
実際その立場になって分かった。
プレッシャーでしかない。
何て答えればいい。言葉が浮かばない。
「こっちも着てみるね」
オレの返答を待たずしてカーテンが閉められた。
放置プレイとはこのとこか。
覗きたい。
カギを落として拾う振りして隙間から覗くか?
待てよ。
カギを落としたら音が鳴り響いて
注目を浴びてしまう。
レシートを落とせばいい。
何て頭がいいんだオレは。
落ち着け。落ち着くんだ。
アイミーの手伝いに来てるのだろう。
オレのアドバイスが求められているのだ。
次の戦闘には勝つ。
再びカーテンが開かれた。
「こっちの方が可愛くない?」
「そうだね」
語彙力がねぇ。しかも『そうだね』って、
一番言ってはいけない回答だよ。
これは派手だとか、上下の着合わせが難しいだとか、
スタイルが悪く見えるとか、
彼女はそのようなアドバイスを期待してるはず。
だけど、全て似合ってるんです。
何を着てもさまになってます。
何も言えなくて自分が情けねぇ。
敗北宣言します。白旗です。
そして、もう一つ別のを着替えてたが、
結果は『それもいい。』だけしか言えなかった。
トホホ。
協力的でないと思われてるかも。
世の彼女を持つ男子どもは、
どうアドバイスしてるんだ?
試着が終わり、上下何着か購入。
オレは荷物持ちに徹することに。
なんだかんだ、5店舗も回ってしまった。
紙袋が大量なんですけど。
女子って、こんなに服買うんだと驚かされた。
店では、役に立たない感満載で
凹んでるが良い事もあった。
それは試着で来たファッションを拝めたという点だ。
当然、試着で購入していない服もある。
そういう意味では誰も見れないアイミーの
姿をオレ1人だけが独占できたのだ。
満足である。
欲を言うとメイド服やナース服姿も見たかった。
店を出て2人並んで歩くとつくづく実感する。
カップルには見えないと。
どうしても周囲と比較してしまう。
周囲の男子どもは服装もカッコいい。
どのカップルも男女ともに絵になっている。
対してオレの格好はなんだ。田舎者だ。
アイミーはオレと並んで歩いてて
恥ずかしくないのか。
・・・
時刻は13時10分。
買い物を続けたい様子ではあったけれど、
お昼を食べそこなうということでカフェで
ランチにすることに。
◇◇◇ カフェ ◇◇◇
原宿ってところはオシャレな町だなと
つくづく感じる。
ムードのある店内で窓際の席に付く。
窓は壁一面がガラス張りで外の景色が丸見えだ。
雰囲気抜群である。
まるで映画の1シーンを体験してるよう。
対面に座るアイミーを直視する。
サングラスを外した彼女の顔を
マジマジと見ると改めて衝撃を食らう。
メチャメチャ可愛い。可愛すぎる。
そこいらのアイドルより可愛い。
周囲も彼女をチラ見してるのが分かる。
「今日はありがとうございました」
「お役に立てましたか?
荷物を持っただけですけど」
「一緒に居てくれただけで助かってます」
どういうこと?
オレといっしょが楽しいってこと。
これはオレを好きって事なのか。
「いつも1人で買い物してると、
いろいろな人から声を掛けられて
困ってたんです」
なるほど。
オレはボディーガードってことね。
あんた目立ちすぎだよ。
スタイルいい。顔も可愛い。1億満点です。
スカウトマンに声を掛けらてもおかしくない。
「荷物持ってもらえて助かりましたし、
何より話し相手がいるから
ショッピングが楽しい」
楽しいのはオレの方ですよ。
「こっちの台詞です。暇なんで。
誘ってくれて逆にありがたいです」
「それなら、よかった」
「アイミーが誘ってくれなかったら
原宿なんて場所、来ませんから。
護衛として役立つなら
気軽に誘ってください」
「ほんとですか?
お言葉に甘えちゃいますよ」
いやぁ。ほんとカワイイ。
こんな人と会話出来てるって夢のようだ。
ほんとうに夢なんじゃないか。
なら覚めないでくれ。
「全然OKです。土日なら空いてるんで」
「再来週の土曜日なんですけど。
幕張メッセでワンフェスのイベントがあるんです」
マジか!デートの誘いだよね?
「幕張?ワン?
よく分かりませんがいいですよ。
またショッピングですか?」
「いえ、フェスのイベントです。
私それに主催者から呼ばれてるので、
もし暇なら見学にどうかなって。
楽しいですよ」
来たー!
女性の方から誘うパターンもあるんだな。
「イベントとか参加したことないです。
人込みは苦手で、あと初めてでも
大丈夫ですか?」
「人は沢山居るけど、交流は無いので
安心してください。
ほとんどの人が1人で参加してますよ」
「アイミーはイベントで何されるんですか?」
「私はゲストに呼ばれてて、
1時間トークするだけです。
ハルキくんは観客席で見てていいですし、
他を回ってもいいです」
学際か?
もしかしてアイミーはミス〇〇大ってことか。
見たい見たい。
「それ行ってみてみたいです」
「是非」
「時間と場所を教えてくれれば
どこへでも行きます。
どうせ暇なので」
「嬉しい。
会場まで護衛お願いします」
この時のオレは、次のデートが楽しめない
事になるとは気付いていなかった。
「失礼します」
注文したランチが来た。




