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(020) ギャルとのLine

 ◇◇◇ 帰り道 ◇◇◇


ショッピングモールからの帰り道でのこと。

つい先ほどイケイケなギャルと

運命的な出会いを果たした。

しかも初対面でのLine交換。

ドラマでしかありえなことが現実に起きた。

嘘のような話だが、何度アプリを見返しても

彼女のアカウントがフレンドに入っている。

現実とは思えない。


そしてたった今、そのギャルから早速Lineが

届いたから驚きである。

メッセージは『彼女にしてください』だとさ。

クー、たまんねーな。


なんてね。

そんな内容だったらいいなという妄想。

クー。ギャルのアカウントがあるってだけで

夢が広がるし、テンション上がる。


実際の内容は『お友達になってください』だ。

にしてもだ。ありえない。

これは99%詐欺であるといえよう。

だったとしても嬉しいものだな。


Line>>春輝(はるき)です。

   友人にはハルと呼ばれてます。

   PCの方は壊れてませんでしたか?

   これから宜しくお願いします。


身元を特定されるのを恐れて名前だけを伝えた。

オレのITリテラシーは高いからな。

彼女の名前だって偽名の可能が高い。

大体、Line交換までがゴールなのだから

彼女が偽者だろうと本物だろうと

どちらでもいいのだ。


♪ポコ


『よろおね』のLineスタンプが送られてきた。

可愛いウサギのイラストだこと。

女子だなぁ。

一瞬でも恋人気分になれて満足です。


オレは、炎天下の中を逆戻りして帰路を歩く。

せっかく乾かしたTシャツも汗で再度びしょ濡れだ。

だがそれは行きとは違う。

気持ちのいい汗であった。


 ◇◇◇ 男子寮 ◇◇◇


自室に戻ってからもテンションMAXのまま。

興奮が治まらない。

先ほどから部屋中を意味もなく

クルクルと回っている。


友人のカイへ真っ先に伝えたい。

早くこの情報を共有したい。

そしてリアクションを楽しみたい。


ちょっと待て!

冷静になれオレ。自分に言い聞かせる。


詐欺師の可能性が高い。

カイの奴に騙されたと知れたら

今度こそ学校を辞めざるを得なくなる

くらい立ち直れなくなるぞ。

これはオレだけの秘密にしておかないと。


しかし、詐欺師と分かっていても

ギャルからLineを楽しみにしてる自分がいる。

何度も携帯を確認してしまう。

通知が来ればバイブで分かるというのにだ。

オイオイ、Line交換までがゴールじゃなかったのかよ。


♪ブル、ブル


来た来た来た。来ました。

今日はもう来ないと思ってたのに。

夜遅くにギャルからのLineが届きました。

嬉しい反面、いざ来ると読むのが怖い。

恐る恐る内容を確認する。


Line>>お誘いのご連絡です。

   明日、原宿で沢山買い物をしたいので

   お手伝いして頂けると嬉しいです。

   ご都合は如何でしょうか?

   時間は11時~14時限定になりますけども

   今日のお礼も兼ねてお昼をご馳走したいです。


デートの誘いだ。いやっほー。マジか。

高まるドキドキ感。なんだこれ。

オレは乙女か。


用件は単なる買い物の付き添い。

要は荷物持ちってことですよね。

揺らぐ。めっちゃ揺らぐ。


けど話がうまぎる。

怖いお兄さん達が現れるよきっと。

そして高額な商品を買わさられるんだ。


断わるか。受けるか。

既読が付いてしまってる早く返信しないと。

最悪ギリギリで断ればいいか。


Line>>荷物運びをすればいいのかな?

   暇なのでいいですよ。


♪ポコ


『ありがとう』のスタンプが届く。


このあと待ち合わせ場所を確認して終了する。

なんともあっさりしたものだ。


感動はあとから来るもの。

女子とのデート。初デートである。

やば、なんかそわそわしてきた。

たかが買い物なのに何か起こるのでは

ないかと期待してしまう。


・・・


次の日の日曜日

時刻は午前9時。

オレは、ギャルとのデートに向け

身支度に気合が入っていた。

とは言いつつも貧乏学生には限度がある。

昨日の今日だし。

結果昨日と同じTシャツに短パン姿だ。

っていうかそれしか持ってない。


気がかりなのは本当に行くべきかどうか。

出て行く直前でまだ悩んでいる。

まだキャンセル可能だ。どうするオレ?


♪ガチャ (部屋の扉が開く)


「ハル!暇だから何かしようぜ」


最悪だ。最悪な事態が発生した。

このタイミングでカイが来るとは。

くっそ!さっさと出て行くべきだった。


「あれ、どっか行くの?」


こいつ感がいいな。どう説明する?

嘘を付くか、正直に話すか。


「これからデートなんだよ。

 準備が出来たら出て行くけど」


どうだ。マウントを取ってやったぞ。


「デートだぁ。誰と?」

「昨日、ナンパしたイケイケのお姉さんと」


フフフ、驚いたかね、カイくん。

キミとはもう住む世界が違うのだよ。


「デートって、どこで?」

「原宿で」


まさか、ついて来る気か?


「ハハハ、今度はイケイケの幽霊?

 面白過ぎる。腹痛ぇー」

「待て!本当なんだって」


「幽霊と待ち合わせはヤバいぞ」

「なら付いて来いよ。紹介するから」


「遠慮しとく。その子と楽しんできな」


カイのやつ、まったく信じてない。

オレが痛い子になっている。


「どんな子なのか写真見せろよ」

「ないよ。昨日会ったばかりだから」


「ハルくん、堀北さんにふられたからって

 妄想と現実が区別できなくなるとは」


くっそ、彼女の存在を隠そうと思ったけど

あったまに来た。


「分かった。今日写真取って来るから

 それ見て腰ぬかすなよ」

「どんな彼女か楽しみだぜ。

 期待して待ってる」


ということでオレは彼女とのデートが確定した。

怖いお兄さんが現れたらダッシュで逃げればいいさ。

体力には自信がある。

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