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(002) 今朝、女子に起こしてもらいました②

初見はビビったが恐怖心はまったくない。

怖いどころかカワイイ。

これが幽霊なのだろうか?

オレはあることが頭を過った。

ベッドから降り、立ち上がる。


「カイ!お前だろう?」


カイとは同じ寮に住む同級生の凱人(カイト)のこと。

この状況は彼のいたずらに違いない。

そう結論付けた。


どのような方法で映し出してるのか

見当もつかないが、この状況を覗いてて

ケラケラ笑ってるに違いない。

カイの捜索を始めることに。


とは言うものの、ここは四畳半の一間。

キッチン、バス、トイレは共用で部屋にない。

あるのはクローゼットとベッドのみ。

隠れられる場所など限られてる。


「うわぁ!」


クローゼットの戸を勢いよく開け、

脅かすもカイ姿はなかった。


「カイくん、ここかなぁ?」


次にベッドの下を覗き込む。

収納ケースが邪魔だが居ないようだ。


「オイ返事しろよ!」


無反応である。

あと隠れる場所と言えば、ここしかない。


♪シャァーー


カーテンを開き。

ベランダの窓を開けるも外に誰もない。

さて困った。探す場所がもうない。


「何してるの?...探し物?」


部屋中をうろうろする中、少女はオレの後を

付いて回っていたのである。


しかし、どう考えてもおかしい。

こんな大掛かりなセットを

カイが準備できるとは思えない。

そこで次に浮かんだのが。


テレビのドッキリか?


そう考える方が自然な気がする。

となると隠しカメラがどこかにあるはず。

オレは、天井や壁、角など隅々まで

探がすも見つからない。


その間、幽霊は何してるの?って表情だ。


カメラどころか、幽霊を映し出す機材さえ

見つけ出せない。

オレは振り返り、改めて少女を観察する。

ここで一つ疑問が生まれる。

どうやって映し出してるのだろうか?と。


「退屈だよ。何かしようよ」


まったくわからん。

オレの知らないハイテク技術が使われてるらしい。

日本の技術ってスゲーなぁ。


少女は宙に浮いていて目線はオレと同じ。


「そんなに見ないで!恥ずいんですけど」


見れば見るほどメチャメチャリアルだ。

気付くと少女は半透明でなくなっていた。

もう実在してるとしか思えない。


もしや触れられるんじゃないかと頭を過る。

幽霊の二の腕をつかもうとしたら

握れず彼女の腕をすり抜け

胸のふくらみの位置にまで何の感触もなく

オレの手がスライドしてしまった。


「いやん」


幽霊は両腕をクロスさせ胸をガードする。

そんな仕草にオレは気にも留めない。


何が『いやん』だ。


オレの関心は別のところにある。

もし、どこからか光を放って少女を投影して

るのであれば、オレの腕に映像が当たり、

胴体の一部が欠損して映し出されても

おかしくない。

だが、どこにも欠損が見当たらないのだ。


どういうこと?


分からないものは仕方がない。

ならば作戦変更である。

オレはベッドの上へ移動し、

あぐらを組むことに。

すると幽霊もオレに合わせて

女の子座りで腰を下ろす。

向かい合わせとなる形となった。


「ん!どうしたの?」

「名前を教えてくれないか?」


会話してボロを出させる作戦に変更だ。

幽霊との会話で無理が生じれば、

スタッフが飛び出して来るだろうろ読んだ。


「ノノンでしょ。知ってるくせに」


確かに!聞き覚えがある。

芸能人かインフルエンサーの名か?


「ノノンって可愛い名前だよね」

「嬉しい。初めて聞いたよ」


その笑顔、破壊力ある!やべぇ。

幽霊じゃなきゃ、どうにかしてしまいそうだ。

落ち着け。落ち着くんだオレ。

バーチャルなんだぞ!


「歳はいくつなの?」

「確か、設定は18才だったはず」


「ハハハ。設定って言っちゃったよ。

 面白過ぎる」

「もう、笑い過ぎ」


やっぱ、テレビのドッキリじゃん。

間違いない。


「同い年だね。どう見ても小学生だけど」

「あぁ、それ失礼ですぅ」


会話しつつも目線だけは、

部屋の隅々を舐め回すも変化が見られない。


この期に及んで、テレビスタッフはまだ

出て来る気はなさそうだ。

いい加減バレバレという感じではあるが、

逆に楽しくなってきた。

このロり声は有名な声優さんを使ってる

可能性も考えられる。

スタッフが現れるまで会話を楽しむのも悪くない。


「なんでこの部屋に居るの。

 地縛霊(じばくれい)ってこと?」

「ノノンは天使です」

「はぁ!?天使?」


あのぉ、テレビ局さん?

天使って、いくら何でも無理がありますよ。

だったら背中に羽を付けるか、

頭に金の輪を乗せるかしろよ。

どう見てもロックバンドだろ、これ。


「いやぁ~、ちょっと無理がある。

 幽霊にしといた方がいいと思うよ」

「酷い!それ悪口ですぅ」


への字口もまたカワイイ。

これか!ロリコンにはまる奴らは。

やばいぞ。

オレもその世界に足を踏み入れそうだ。


「ジョークだよ、ジョーク。

 良い意味で言ってる」

「良い意味なんてないよ」


「天使さんは・・」

「ノノンって呼んで」


名前で呼べってか。


「ノノンさんは・・」

「呼び捨だったじゃん」


面倒くせぇ。


「ノノンはさ。これでいい?」

「それそれ。キュンキュンする」


会話が()み合わねぇ。


「オレに何のよう?」

「天国に帰れなくなりました」


え~っと。

ますます訳わからん。電波な設定なのか。

それとも時間稼ぎとか?


「どうして?」

「ハルのせいなんだよ」


「オレのせい?どいうこと」

「ノノンの邪魔するから」


「邪魔?...いつ?...初対面だろ?」

「昨日、邪魔したでしょ。

 ショックで天国への帰り方忘れたよ」


オイオイ、何の話ししてる。

お前なんか知らんぞ。


昨日、昨日...昨日ねぇ...ん?


「あぁー---!」


オレの封印された記憶が解き放たれた。

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