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(199) 平穏な日曜

◇◇◇ 自宅 ◇◇◇

時刻は16時半。


オレは身体をハルキへと乗り換え

我が家へと帰って来た。


日曜日だというのに何してる。

全てはアイミーのためにした行動だが、

ここまでやる必要あっただろうか。


もちろん、余計なお世話だったかも知れない。

まぁ、白川さんを喜ばせたい。

そのために動いたというのも少しはある。


部屋で着替え、心のオアシス8階へ。

Lineでこの時間に帰宅することは伝えてはある。

きっと待ってるはずだ。


♪ピンポン


玄関チャイムを鳴らすと、カギが解除され

内側からドアが開く。


「おかえり」


白川さんが出迎えてくれた。

あぁ、その笑顔に癒される。

本物の天使がそこに居る。

今日も一日、あなたの旦那は家族のために

全力で働いてきましたよ。


「ただいま」


靴を脱いで、いつもの熱いハグ。

寮を出て良かったと思う瞬間だ。


リビングに入ると


「おかえり」

「おう」


目を合わせず、テレビ画面に向かって挨拶する

ノノンの姿がそこに居る。

白川さんとは偉い違いだ。


まぁ、研究室に戻ればオレの部下。

このくらいの距離感でちょうどいい。

ただ、上司に対して敬意を払わないとか

非礼なのはどうかと思うが。

ガイヤ(地球)で同学年にしたオレのミスである。


「何してるの?」

「恋愛シミュレーションゲーム」


もしや朝からゲームしてるのでは?

だらけた生活を送ってるなぁ、こいつ。

白川さん、手伝ってるのか?


「ごめんね。今、片付けるから」


カラフルな生地がリビングに散乱してる。

白川さんが衣装を製作してるようだ。

コスプレ再開か?なら嬉しい。


「そのままでいいですよ。

 全然気にしませんから。

 もし作ってる途中なら続けて」


どうやって作ってるか気になる。

過程が見たい。


「買い出しにいかないと」


白川さん1人だけ働かせるなぁ。

罪悪感。


「夕飯、食べに行こうよ。

 下のピザ屋おいしいんでしょ?

 食べてみたい」

「ピザ賛成。おいしんだよ」


ノノンは、食うことに関しては全力だ。


「買いたい物があるならオレが行くけど?」

「ヨーグルトとアイス」


ノノンに聞いてない。


「ゲームしてるならノノンが買って来い!」

「えぇ、面倒くさい」

「面倒くさいじゃない」


まったく。

ここに居ると白川さんが全部やって

ノノンがニート化していく。

なんとかしないと。


「ハルキいいよ。私が行くから」


白川さん、待って!


「甘やかせてはなりません。ノノン行くぞ!

 オレも行くから」

「そんなにノノンとデートしたいの?」


バカじゃねぇ!


もしかして、白川さんの気持ちを加味しての発言か?

白川さんとデートしたいわ。

でも、もう引っ込みがつかない。

オレの目的は、白川さんの手伝いをさせること。


「幽霊でいいから手伝え!」

「天使です」


乃々(ののか)の姿で言われると新鮮。


◇◇◇ 大通り ◇◇◇

オレは車が激しく通る大通りを歩いてる。


「景色がいい。ちょっと高いだけ

 なのに見え方が違うよ」


オレは幽霊のノノンを肩車してた。

そうノノンも買い物に付き合ってくれている。

ん?手伝ってると言えるのか?


しかし、この体勢は懐かしい。

寮の時、よくラニングしてたっけか。


「白川さんとの共同生活は楽しいか?」

「やだぁ~。お父さんと会話してるみたい」


「当然だ。

 この世界ではオレはノノンの保護者なんだから」

「はいはい」


「で、どうなんだ?」

「楽しいに決まってるじゃん。

 見てて分かるでしょ」


楽しいんじゃなくて、白川さんが身の回りを

全てやってくれるから楽なんだろう?

もしかして、自分の部屋の掃除も白川さんに

やらしてないよな?


「確かに楽しそうだが、

 本心を聞きたかったんだ」

「あれでしょ?

 私の事じゃなくて白川さんの

 こと聞きたいんでしょ?」


まぁ、それもある。


「大丈夫だよ。

 ノノンと相性がいいみたい。

 仲良くやってますから」


そっか、ならいい。


その後はというと、スーパーに到着し

白川さんから受け取ったメモを見ながら

品物をカゴに入れていく。


これが意外と簡単そうで難しい。

小麦粉と言われても、どこにあるのやら。

あっちこっち動き回ってしまった。

その他の物も同様。

おそらく白川さんなら効率よく移動し

品物をカゴに入れていったことだろう。


途中、お菓子コーナーではノノンが大量に

購入しようとする。

『デブるからやめろ!』と注意するも

白川さんが好きな物だと言われれば

買わざる終えない。

こいつ、オレの扱い方をマスターしてきた。


マンションへ戻ると即1階レストランへ。

3人いるといろいろな種類を注文できるからいい。

ちょっとづつ味わえる。


結果、美味しかった。オレも気に入った。

1人でも行こうと思ったくらいだ。

まさか、我が家の1階にこんなお店があるとは。


食事の後は、オレは自分の部屋へと戻る。

ノノンはゲームの続きでをしたそうで、

白川さんは衣装製作の続きをするそうだ。

コスプレ姿、楽しみにしてます。


◇◇◇ 教室 ◇◇◇

時刻は朝8時20分


いつものように登校し、

オレはウキウキ気分で校舎の中へ。


というのも朝から白川さんとキスをして

出て来たからだ。

毎回思うが新婚夫婦の感覚である。

実際には会社ではなく学校に行ってるのだが。


そんな浮かれ気分も教室に入ると

一瞬にして吹き飛ぶ。

だって、目線の先に鬼軍曹が居るのだから。

囚人(しゅうじん)であるという現実に引き戻される。

地獄の一日が始まります。


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