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(196) 生徒会 vs カイ ②

◇◇◇ 生徒会室 ◇◇◇


オレとカイは、アイミーの学祭ライブを

実現させるため生徒会室へと乗り込んだ。


幸いにも会長と対面ができ、交渉に成功はしたが、

演奏できる場所は限定されており、

すでにパンフレットが完成してることから

今更プログラムの変更は不可能だという。

結果、演奏は無理という結論に。


そりゃそうだ。撤収だな。

だがカイは、まだ諦めてはいない。


「ならプランBだ」

「元からAなんてないだろ」


あれ?

このフレーズどっかで聞いたことある。


「ここにマックの500円券がある。

 これ上げるから何とかならないか」


買収かよ。

しかも、それオレのだろ。


・・・


まぁ、返答に困るわな。


「あのぉ、もういいですか?

 お昼なので。」


会長さんよ。

一言『出てけ!』って言えばいいじゃん。


「ちょっと聞きたいんだけどさ。

 日曜日の午後3時ごろって

 広場使うのって音楽部?」

「えーと、ですね。ちょっと待って下さい」


会計の女子がスケジュールを確認する。

アイミーが空いてる時間は日曜の3時~4時だけ。

そもそも論として、この時間帯で演奏できなければ

意味はない。


「それがどうした?」


オレもそう思う。

カイ!帰ろうぜ。もういいよ。


「そうですね。午後2時から4時まで

 音楽部によるバンド演奏となってます」

「例えば音楽部から10分間だけ枠をもらって

 オレらが演奏するのはあり?」


なるほどな。

なら、ここで確認しない方が良かったのでは?

音楽部と密約すれば、ばれないじゃん。


カイは会長をにらむ。

オイオイ、高圧的過ぎ!

会長は目が泳いでる。

大丈夫か、この人?


「えーっと。

 キミらもバンド演奏だからプログラムの

 変更には当たらないです。

 それだったら」


え~ぇ、会長!

OKなの?

バッサリ断った方がいいと思うけど。

後々面倒なことになるよ。


「音楽部が譲ってるくれるとは思えんけどな」


副会長が横やりを入れて来た。


「音楽部がOKなら、いいな?

 そっちと交渉する」


反論がない。OKっぽいよ。

カイくん素晴らしい。

よし、次は音楽部と交渉だ。

活動場所を聞いておくか。


「音楽部の部室って音楽室ですか?」

「音楽室は吹奏楽部が使ってます。

 ちょっと待ってください」


お昼の時間奪って申し訳ない。

まぁ、午後は授業ないから

オレらが退散したらゆっくりしてね。


「届け出は視聴覚室になってます。

 ですが、音楽部は部員が50名居て

 空いてる教室を複数個所で使ってるようです」


優秀な会計だ。ありがとう。

それだけ情報をもらえれば十分。

これ以上、迷惑はかけられない。


「ありがとう。視聴覚室に行ってみます。

 お騒がせしました。行くぞ、カイ!」


ということで、オレとカイは生徒会室を

後にして、視聴覚室へと向かう。


「よーし。次もオレに任せろ!」

「気合入ってるな。

 やる気マンマンじゃねぇかぁ」


確かに、カイに任したようが良さげだ。

オレだと理事長に圧力を掛けて、

生徒会の尊厳をネジ曲げてしまいそうだ。

彼らは生徒会としての役目を果たしてる。

数分の会話だけだが、ちゃんとしてて安心した。


◇◇◇ 視聴覚室 ◇◇◇


♪コンコン


「すみません。失礼します」

「ちーす」


♪ドン、ドドン、ドン、ドドン


オレらは視聴覚室にやって来た。

中に入るとドラムの音が部屋中に響いてる。

オレの挨拶など、打ち消されてる。


なぜ視聴覚室にドラムがあるんだ?

わざわざ運び入れてるのか。


室内には10名ほどの男子がいた。

ドラム音が止まり、1人がオレらに声を掛ける。


「なんですか?」


全員オレらに注目。


「音楽部の部長に話しがあります」

「入部ですか?」


「違う。文化祭の件だけど」

「部長と副部長は本日不在です。

 一応3年の学年リーダーをしてます。

 自分で答えられるなら話し聞きますけど」


人が良さそうだ。同学年か?何組だろう。

ということで、ここに来た経緯を説明し、

話を聞いてもらうことに。


「そういう話しなら難しいですね。

 すみません。

 自分から部長には伝えておくので

 直接、部長に相談してくれませんか?」


話しが通じる相手で良かった。

部長も同じような人柄だといいんだが。


「話しを聞いてくれただけでも有難いです。

 了解しました。

 では来週月曜、放課後にまた来ます」

「一応伝えておくとダメだと思うよ」


どうも部内でも演奏枠の取り合いだそうで、

今回の文化祭であふれたバンドもあるという。

もし、オレらに(ゆず)るバンドが出るのなら

演奏できないメンバーを優先するだろう

との見解であった。

その助言は有難い。


「アドバイスありがとうございます」

「ダメ元で来るんでヨロシク」


カイ!言い方。

そしてオレらは視聴覚室を退出する。


廊下を歩き、帰宅するべく下駄箱へと向かう中。


「来週来ても無駄じゃね?」

「どうした?諦めんのかよ!」


カイはやる気マンマンなのだが、どうした?

いつもと逆じゃね。


「カイには勝算があるのかよ」

「ない」


「なんだよ、それ!」

「ダメでもいいじゃん。楽しくないか?

 オレは楽しくなってきだぜ」


要するに演奏はどうでも良いのかよ。

交渉が楽しいのか?

なら月曜も任せたわ。


ということで、我らの部活メンバーと

篠崎さんのバンドグループに状況をLine。


演奏の可否は月曜日まで保留となり

実現できる可能性は低いということを

伝えたのである。


文化祭の開催は一週間後。

元々、許可はもらえないだろうと

全員の中で共通認識はもっている。

なので特に動揺はない。

今日の所はここまで。

結論は月曜日まで先送りだ。


「じゃあな!来週頼む」


オレらは校門を出て、二手に分かれる。

カイが居なくなったところで、

今から帰ることを白川さんにLineで

伝えたのであった。


◇◇◇ 自宅 ◇◇◇

時刻は14時。


ふぅ~、疲れたぁ。

オレは自宅に到着し、ベッドに横たわる。


♪ピンポン(玄関のチャイム)


だれ?


♪ピンポン、ピンポン、ピンポン


「博士帰ってる?」


ノノンの声。

なぜ、幽霊で来ない?


オレは急いで玄関へ行きドアを開ける。

するとノノンと白川さんが立っていた。

まぁ、仲の良いこと。


オレのLineを見て、帰って来てる頃だろと

推測して来たって感じか。


「おじゃまします」

「オイオイ」


オレが入室禁止を伝える前に

ノノンが靴を抜いで室内へと入って来る。


「何もない、つまらん部屋だぞ」

「寮と変わらなくない?」


そして、白川さんと目が合う。

ノノンと違って白川さんは玄関に

姿勢よく立ってオレの返答を待つ。


「どうぞ。上がって!何もないけど」


「博士、物がないじゃん。殺風景な部屋」

「寝るだけにしか使ってないからな」


六畳一間で生活感を感じない部屋。

物がなくベッドとクローゼットがあるだけ。

住む場所が変わっただけで、

寮の時と変わらない。

違う点があるとするならばトイレと

お風呂が付いてるくらいか。


「この後、コンサートの演出会社と

 打合せがあるんで出かけます」


田中の身体で行くけどね。


「その後はゲーム会社とか。

 いろいろ回るので帰りは夜遅くなります」


「コンサートってエルピースの武道館ライブ?」


白川さんの目が輝いてる。


「そう、それそれ!」

「私も行きたい」


ノノンが見学に行きたいと申し出た。


「バカ!遊びに行くんじゃない。仕事だ」

「白川さんも見たいよね?」


仲間を増やしても無駄だぞ。


「私は本番当日を楽しみにしてるから

 逆に見たくないです」

「じゃぁ、ノノンも家にいる」


確かに感動が薄れそうだな。


「2人で踊ってみたのTikTokでも撮りなよ。」

 オレが見たい」


アップしても誰も見ないと言われそうだから

先に言ってやった。


「それいい。やろうよ」


あれ?ノノンが乗り気だ。

ノノンも踊るの?


ということで、午後はお互いやることが

決まってしまった。

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