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(189) 夏休みが終わります

◇◇◇ スイートルーム ◇◇◇

時刻は20時。


最上階にある広いスイートルーム。

リビングには料理が並べられてある。


3人は小皿に料理を乗せ、

ベランダで夜景を眺めてる。

プールで遊んだあとは、

いつもの部屋でまったりモード。


なんだか寂しい。

広い部屋に3人しかいない。

東京の夜は静かで神秘的。

まるでこの大都会に3人しか

存在しないような錯覚に陥る。


「下のレストランで食事した方が良かったかも」

「わたし、マナーとか分からないから部屋がいい」


「ノノンも周り気にしなくていいからここがいい」

「ならいいんだけど」


東京の夜景は何度見ても美しい。

そして見飽きない。

夜風になびく白川さんの黒髪がオレを釘付けにする。

その横顔、綺麗だ。

写真に残したい。


「なぁに?」

「口にケチャップが付いてるよ」


「嘘ぉ?」

「う、そ!」

「もう」


への字口の嫁もカワイイ。


今日で夏休みが終わる。

休みに入った当初、早く学校

始まらないかなぁと思ってたけど、今は逆。

あと1週間延長したい気分だ。


振り返ってみると白川さんとの

思い出が大半を占めてた。

告白はここだったか。

考え深い。


「夏休みも最後かぁ」


ノノンも夏休みが終わって欲しくなさそうだ。


「最後の晩餐(ばんさん)だね?」

「不吉なこと言うな!」


誰かかが死ぬみたいだろ。


食事の後は、ボディガードに車から

本日購入した荷物を持って来てもらった。


アイミーと買った服である。

何をするのかと思いきや

ノリノリでファッションショーが開催された。


あなた達、最高ですよ。


◇◇◇ マンション ◇◇◇

時刻は23時。


楽しい時間はあっと言う間。

22時には、ホテルを出て自宅マンション

へと帰宅。


白川さん達とは別れ、

オレは3階の自分の部屋へ直行した。


明日から学校が始まる。

白川さんと一緒に登校できないのが

残念でしかたない。

彼女と一緒に登下校する。

高校男子が憧れるシチュエーションの

一つが断たれた。


まぁ、2人で居る時間が増えると

すれ違いが大きくなる可能性もある。

これでいい。

とポジティブに捉えよう。


◇◇◇ 次の日の朝 ◇◇◇


時刻は朝6時50分。


♪ツツチチツツ、ツツチチツツ


電話?


「どうした?緊急か?」

「ハルキだよね?」


しまった。白川さんからだ。

寝ぼけてPMCの電話と勘違いした。


「ごめん。ハルキです。」

「今、話して大丈夫?」


「もう全然。はい、何でしょうか?」


「ごはん出来たよって連絡です」

「了解。いま行きま~す」


オレはベッドから飛び起き、短パン・Tシャツ

の寝てたままの格好で部屋を飛び出す。


◇◇◇ 白川宅 ◇◇◇


♪ピンポーン (玄関チャイム音)


♪はーい

「ハルキです」

♪開いてるから入って!


インターホーン越しからの声もカワイイ。

オレはドアを開け中へと入る。

何と不用心な。

玄関のカギを掛けて靴を脱ぐ。


「ふぁ。博士、おはよう」

「おぅ」


リビングに入るとボサボサ頭のノノンが居る。

寝起きの顔だ。


「なんか新鮮。寮と違うね」

「昨日も同じこと言ってなかったか」


白川さんが大きな皿を持ってキッチンから登場。


「どうぞ!」


ガラステーブルに並べられる。

フレンチトーストとサラダだ。

続けてわかめスープも。


「さっきはゴメン。寝ぼけてた」


電話の事、謝っておかないとね。

メッチャ感じ悪かった。


「全然平気。寝てるところ起こしちゃったね」

「逆にありがたい。

 電話がなかったら、まだ寝てたよ」


「冷めないうちに食べましょう」

「頂きまぁ~す」


何時に起きて料理してるのだろう。

ありがてぇ。

フレンチトーストが出来たてで美味しい。

どうやって作るんだ、これ?


家事が出来て、料理がうまい。

美人で性格も良い。

この人、最高なんですけど。

オレが幸せです。


「何時に出て行くの?

 歩いたら40分くらいでしょ。急がないと」


嫁が家を出る時間を気にしてくれてる。


「途中まで車で送ってもらうから

 7時50分の出発かな」


「7時50分ね。OK!」

「オレは全然余裕だけど、

 ノノンは時間掛かるんじゃないのか。

 間に合うの?」

「5分で支度できるから問題なし」


本当かよ。

1分でも遅刻したら置いて行くからな。


「じゃぁ7時50分に車で待ってる」

「OKOK]


軽いなぁ。


◇◇◇ 車中 ◇◇◇

時刻は7時40分


オレはPMCの車に乗り込む。


「会長、どちらまで?」

「学校正門の1つ裏の路地まで頼む。

 できるだけ生徒に見られない所で降りたい」

「了解しました」


「おまたせ」


ノノンと白川さんが車の前に現れる。

時間前だ。遅れて来ると思ったのに。

オレは車を降りる。


「いってらっしゃい」


そういって、オレにお弁当が手渡された。

えぇ、いいの?


「ありがとう。

 毎日は大変だから、明日からは

 お弁当作らなくていいから」

「作りたいから作ったの。

 時間がない時は作らないから」


なんて出来た嫁だ。

オレは彼女と濃厚なハグをする。


「行ってきます」


こうしてオレの2学期初日が始まる。


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