(188) 天国見つけました
◇◇◇ 原宿 ◇◇◇
時刻は13時半。
4人での食事を終え、服を買いに移動中でのこと。
3人は相性がいいらしく、店を出てからも
意気投合して会話がはずむ。
それもそのはず、ノノンと白川さんは、
それぞれニーナと岩井さんで接していたのだから。
初対面ではないのだ。
本来ならば芸能人を目の前にしたら縮こまる。
アイミーに対してどのような距離感で、
どんな口調まらば、楽しく会話がキャッチボール
できるか彼女らは心得ていた。
アイミーは次の仕事もあり、本来
この時間はリフレッシュタイムになる。
楽しんでもらわんと。
どうやら目的地に到着したらしい。
店は、レディースの専門店。
先月のオレならうろたえていたところだが、
現在のオレは違う。
扉を開けてあげ、女子達を店内へエスコート。
レディーファーストは紳士の礼儀。
そして、堂々たる態度でオレも店内へと
足を踏み入れる。
あれとあれは、白川さんに着てもらおう。
そんな妄想をしながら店内を1周回りする。
オレも成長したものだ。
レディースの店に入って1人で行動しても動揺はない。
むしろオレが服を選んでやる意気込みでいる。
と言いたいところだが、3人はキャッキャ
ウフフで固まり、オレなど眼中にない。
単独で行動してるのではなく、しざる負えない。
トホホ。
今のオレはモブだ。
帰ろうかなぁ。
結果、居たたまれなくなり、店を出て
向かいのカフェテラスで休憩することに。
当然、3人には伝えてあるし、
オレに気を使わずにすむ。
オレはオレで意味がある。
休憩できるし、ここを荷物置き場として使える。
一石数鳥だ。と言い聞かせてる。
1時間くらい経っただろうか。
「お待たせ」
両手に紙袋を持った白川さんが現れた。
終わったのかな?
「沢山買ったね?」
店から出て来たのは白川さんだけのよう。
おそらく、オレに気を使って急いで
出て来たのだろ。
「エミリンさんに買ってもらっちゃった」
中を見なくても袋のフォルムで分かる。
沢山買ってもらったようだ。
良かったな。
嬉しそうな嫁の笑顔。カワイイ!
「どんなの買ったか楽しみ。
後でファッションショーしてよ」
10分ほどして、ノノンとアイミーが
店から出て来た。
「ノノンも沢山かったね」
「白川さんとお揃いのあるよ」
いいじゃん、いいじゃん。そういうの。
オレはペアールック嫌いだけど、
キミ達はガンガンやって。
「ハルキ、ごめん。
私、そろそろ行かないと」
アイミーが時計を見て、お知らせする。
分かってますよ。
ギリギリまで、ありがとう。
アイミーには息抜きになってくれただろうか。
「気にしなくていいですから。
早く仕事に行ってください」
「Lineします」
そう言って、アイミーは手を振って去って行く。
お金まで出してもらっちゃって申し訳ない。
ギャラの高い仕事探しておくよ。
「PMCの車呼ぶからここで少し休憩しよう。
なに飲みます?」
ノノンに説明する。白川さんは注文済みだ。
帰りは荷物があるから車を呼ぶことにした。
という流れで、ここのカフェにて
3人でお茶することに。
待つこと20分。
PMC車が到着。
ちょっと狭いが3人で後部座席に座る。
真ん中はオレ。
「頑張ってオシャレしたからさ
いつものホテルに行きたい」
ノノンからの提案である。
「オレは構わないけど」
オレは白川さんの顔を伺う。
「確かに。
こんな格好二度としないかもね」
いやいや。毎日してください。
もっと派手なの買ってよ。
「あそこのホテル。
地下にプールがあるって知ってた?」
この提案どう?
「プール行きたーい。
じゃぁさ、プールで泳いで、
部屋でごはん食べて帰ってくれば
ちょうどよくない?
「どうする?」
再度、白川さんに同意を求める。
「プールいいですよ」
「じゃあ決定ね」
やったぁ。
また白川さんの水着姿が見れる。
そう言えば、日用品を買う予定だったはず。
「スーパーでの買い物はどうする?」
「明日、2人が学校行ってる間に買ってくるよ。
どうせ、わたし暇だし」
確かに家で1人でいるよりかは気晴らしになるか。
やっぱ。白川さんも学校行きません?
「荷物運びに、ボディーガード使っていいから」
「ありがとう。持てなかったらお願いします」
ノノンの提案で急遽ホテル行きが決定した。
◇◇◇ プール ◇◇◇
時刻は16時。
オレ達は、ホテルに到着すると地下のプール
へと直行する。
お昼に購入した荷物は車に置いたままだ。
水着はレンタルがあるので、それを利用することに。
そして現在、オレはプールサイドに
1番のりで入り、場所をキープ。
サマーベッドで横になってるところだ。
女子達は水着選びと着替えで時間が掛かる
ことだろう。
5分と待ってなかったかだろうか。
ノノンと白川さんが登場した。
2人ともビキニ姿である。
いい眺めだ。来てよかった。
ノノンは白。白川さんは深緑。
2人に注目が集まる。
プールの利用は宿泊客のみ。
ランクの高いホテルであるから若者はオレらだけだ。
そうりゃ注目されるわな。
「博士、どうぉ?ムラムラする?」
こいつ、バカじゃねぇ。
そいうの好きだけどな。
「私はどう?」
オレの前で、2人はポーズを決める。
あなた達、いろんな意味で最高ですよ。
「白川さん?
ノノンは天然なんで合わせなくていいから」
いやぁ、ここは天国です。