(187) 彼女紹介します
◇◇◇ マイホーム ◇◇◇
時刻は朝7時半。
♪ツツチチツツ
ん!目覚まし?
とある音でオレは起こされる。
♪ツツチチツツ
Line電話。
携帯を手に取り発信者を確認。
白川さんからであった。
「ハルキです」
「ごめん。ハルキ、寝てた?」
「起きてましたよ」
「嘘だぁ」
オレの嘘が通じない人だった。
「朝ご飯、作るけど」
「食べます。食べます」
食い気味過ぎてキモかったか。
そりゃ、嫁の作った飯は食べますよ。
「はぁ~い。30分後に来て」
「了解」
こんな感じで新居での一日が始まる。
◇◇◇ 原宿 ◇◇◇
時刻は12時。
白川さん、ノノン、オレの3人は、
原宿駅をちょうど出たところ。
電車での移動を選択した。
最寄りが品川駅だから電車で来た方が早いので。
竹下通りを歩くというのがあってか、
2人はファッションをキメ込んでる。
なので、オレもイヤイヤ付き合わされてる。
ノノンは太ももまであるデカいTシャツ姿。
白川さんは、肩出し、へそ出し、
ミニスカートの格好。
嫁は露出狂だったを再認識したわ。
2人とも素足で、まぁ目のやり場に困る。
オレは、パンツ姿で、全体的にダボっとした服装。
ぱっと見ダンサーに見えなくもない。
3人とも白黒を基調として着こなしている。
正直、ハルキは何を着てもダサい。
ガンバってオシャレして来ました感満載だ。
恥ずかしいんだが。
女子2人は化粧もしてるから大人と子供に見える。
どうしたらハルキはカッコよくなれる?
こうなったら開き直りだ。
世の男子どもめ。
オレを見てうらやましがれ!ってんだ。
竹下通りを抜け、待ち合わせのレストランに到着。
アイミーがまだ来てないようだ。
♪ピコ
タイミング良くアイミーからLineが届く。
遅れる連絡かと思いきや、既に店の中に居るという。
見ると、店内から手を振る女性を発見。
アイミーである。
先に入っていたようだ。
オレら3人も店に入ることに。
店内は、外観同様オシャレ。
Tシャツと短パンで来なくて良かったとホットする。
店内を見渡し、窓際の一ヵ所に目が釘付けとなる。
カッケー女子が1人、お茶してる。
アイミーなんだけどね。
芸能人オーラが出まくってる。
どうしたらオーラを出せる?
教えてくれ。
おっと、アイミーがオレに気付いた。
そのニヤケ顔やめろ!
きっとオレの服装を見て笑っている。
「頑張ったわね」
やっぱり。
「それNGワードです」
子ども扱いすんな!
オレが一番年上だぞ。
「ここの集団は何だ?
この後、撮影でもあるのかって感じだよ」
「女の子だもん。
可愛い格好したいよね?」
アイミーが2人の同意を求めると
ノノンと白川さんは笑顔で答える。
「2人共、生ライブに来てた子よね?」
「2列目にいました。
お客さんの顔、全員覚えてるんですね?」
白川さんがときめいてる。
「流石にそれはないよ。
キミ達は楽しんでるのが伝わったから
覚えてただけ。
私もそれで120%出し切れました。
ありがとうね」
「もう最高のライブでした。
解散するのがもったいないです」
店内で目立つ美女3人の立ち話は迷惑だ。
「とりあえず、座りましょう」
オレが指摘する前に、アイミーが言ってくれた。
テーブルは4人席で、アイミーの隣がオレ。
そして対面に白川さんとノノンが位置する。
アイミーを正面から見たかったのに。
写真無くしたから撮り直したいけど
横顔になってしまう。
「自己紹介しましょうか?
わたしから」
そう言って4人の自己紹介が始まった。
これオフ会か?
「で、どちらが彼女なの?」
アイミーがオレに聞いて来る。
そう言えば彼女を連れて来るって伝えてたわ。
「はい」
オレが答える前に白川さんが挙手。
「へぇ」
「意外とか言うなよ」
自分でも分かってる。
第三者からしたら、オレも白川さんも
お互いの好みは違いそうに見える。
現にオレ自身が、未だに釣り合ってると思ってない。
「2人、お似合いよ」
「はいはい。そういうの、いらないから」
「瑞葵ちゃんは、ハルキの
どこに魅かれたの?」
それオレが居る前で聞く?
「沢山あります」
止めて!ノノンも聞いてる。
恥ずかしいから止めて!
「一番好きって言ってくれるところ」
ノノン、赤くなるな!
オレまで恥ずかしくなる。
罰ゲームかよ。
あのぉ、帰ってもいいでしょうか?
馴れ初め等の恥ずかしい話しが明るみとなり、
オレの戦闘力がゼロになったところで
注文した料理が並べられた。
「写真撮っていいですか?」
「いいよ。
みんなで撮り合いしましょう?」
撮影会が始まった。
オレは撮ってあげる側に専念することになる。
結果、オレの携帯に写真が1枚も
保存されてないこととなる。
トホホ。
アイミーの写真が欲しかった。
携帯の待ち受けにしたら嫁に怒られるだろうか?
褒められる可能性もあるか。
食事中も会話が弾む。
アイミー的にまだ時間があるとの事で、
食事の後、みんなで洋服を買いに行かないかと提案。
確認するまでもない。
ノノンと白川さんは即OK。
オレの返答は求められてない。
笑いながら会話する3人を見て、
どこかポッとしてる。
オレからすると、個々が訳ありで
幸せになって欲しいと願ってる人達だ。
その3人が仲良くなっている。
不思議だなぁ。