表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/249

(186) 今日は疲れました

◇◇◇ 品川の新居◇◇◇

時刻は19時半。


「お腹いっぱい。

 しばらく動きたくない」


ちょうど夕食が終わったところ。

ノノンはソファに寄りかかり、

両手をお腹に乗せ苦しそう。

大げさな。言うほど食べたか?


白川さんは食器の片づけをしてる。

偉いなぁ。

白川さんだって動きたくないだろうに。

オレは立ち上がり、キッチンへ。


「洗い物はオレがやりますよ」

「私がやるからハルキは休んでて」


なんて良い子なのだろう。


「白川さんこそ休んでよ。

 朝からズーっと動きっぱなしでしょ?

 後はオレがやりますから」

「ハルキだって朝から忙しかったんじゃない?」


精神的に疲れてますけどね。


「片付け担当ってことで。

 全部を白川さんにやってもらうのは

 気が引けます。

 これから毎日なんです。

 オレは洗い物担当ってことで、

 ちゃんと役割分担しよう」

「ありがとう。なら、ここお願いね」


それでいいんだよ。

オレも手伝わないと後ろめたい。


白川さんはペットボトルのお茶と空のグラス

を持ってノノンの横へ。


「映画観ようよ。恋愛映画。

 キュンキュンするやつ」

「見たい見たい」


始まった。ノノンの恋愛脳。

白川さん?嫌なら嫌っていいなよ。


楽しそうな女子2人を眺めながら食器を洗う。

白川さんの笑顔を見るだけで幸せな気分になれる。

横浜での逃亡生活を思い出す。

二度と白川さんの前に現れるつもりはなかったのに。

ある意味、記憶喪失に感謝だな。


◇◇◇◇◇◇◇


「ハルキ!」


ん?白川さん?


「ハルキってば。映画終わったよ」


あれ、寝落ちしてました?


「ごめん。いつの間にか寝てたわ」


洗い物を済ませたあと、3人でソファに

寄りかかり、映画を見ることになった。

だが、開始10分までしか記憶がない。


「ハルキ疲れてるんだよ。もう寝たら?」


ポジティブに捉えてくれて助かる。

出来た嫁だ。

確かに午前中のミッションで電池切れかも。

身体がだるいし、やる気も起きない。

自分でも驚いてる。

そうとう朝から張り詰めてたんだな。


「部屋に帰って寝るわ」

「付いてってあげる」


1つ1つの言動がカワイイ。


「大丈夫。下に降りるだけだから。

 それよりも明日はどうする?」

「夏休み最終日だよ。

 お出かけしようよ」


ノノンは元気だな。

最終日くらい、まったりしようよ。

オレがオッサンであることを自覚した。


「引っ越しで足りない物とか無いの?」

「日用品買いに行かないと」


白川さんは主婦してるなぁ。

ノノン、見習え。


「じゃあ、買い物は夕方にして。

 それまでどこか行こう」

「賛成!」


ということで明日は何となく決まり

オレは3階のマイホームへ。


◇◇◇ 自宅 ◇◇◇


時刻22時半。


オレの新しい新居。

ベッドしかなく、寂しい感じの部屋。

寮を思い出す。


♪ピコ


岩井さんからLine。

お休みのスタンプだった。


おや、アイミーからLineが来てたわ。

気付かなかった。

昨日じゃん。無視してたわ。


内容はオレが生ライブ見た感想の

返事であった。


Line>>見てくれたんだ嬉しい。

   言ってくれたらスタジオ呼んでのに。

   武道館ライブも楽しみにしてて。


スタジオ呼ぶって、観覧は全員女子でしたよ。

当たり障りのない返答であった。

良かったこの内容なら敢えて返さなくても

問題ないな。


文化祭に向けて、もう1回くらいは

練習しておきたい。

明後日、学校で篠崎さんと会話するか。

なんだかんだ忙しいなぁ。


♪ピコ


Line>>明日。お昼食事しません?


既読になったのを知ってかアイミーからDM。

明日か。アイミーとメシ行きてぇ。

でも明日は白川さんとお出掛けだ。

モテる男は辛い。

アーツの事務所に行くと嘘を付くか?


Line>>ごめん、彼女が出来ました。

   もう2人で会うのはちょっと。


送ってしまった。くっそー。

アイミーとのデートだったのに。

もったいない。

そして返事が怖い。何て返してくるだろう。


Line>>彼女さんも連れて来なよ。

   お昼代出すから、どんな子か見たい。


え!

予想外の反応にパニックです。


Line>>彼女はアイミーのファンなんです。

   喜ぶと思う。

   彼女と同居人の女子も連れってて

   いいですか?

   オレ含めて3人になりますけど。


OKのスタンプが返された。


オレは白川さんに電話して、この件を話す。

即OKの返事。聴くまでもない。

もちろん、ノノンもだ。

電話越しでも凄く喜んでるのが伝わる。


夏休み最後の思い出として、

いい1日になりそう。


この事をアイミーに伝え、明日のお昼に

4人で食事することが決定した。

場所は原宿。

もう田舎者じゃない。免疫は出来ている。

凄い楽しみだ。


よくよく考えたらオレ、ハーレムじゃねぇ?

遅咲き来たぁ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ