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(175) ミッションインポッシブル

◇◇◇ MAEDAコンサルティング ◇◇◇


オレは前田に呼ばれ、オフィスへとやって来た。


♪コンコン


「田中様がお見えです」

「入ってもらって!」


秘書に案内され中へ入ると、

前田はデスクから立ち上がりオレの前へ。


「おぉ、待ってたぞ」

「用事はなんだ!」


「急ぐな!まずは座れ」

「オレは忙しいんだ」


対面でソファに腰かける。


♪コンコン


「失礼します」


再び秘書が単独で入ってきた。

どうやらコーヒーを持って来たらしい。

テーブルに置くと一礼してこの場から去る。

ちゃんとした会社だな。当たり前か。


「記憶喪失の件なんだが」


呼び出しはその件か。

流石、仕事が早い。


「もう解決したのか?」

「いや」


開発部から試作機が盗まれたこと。

IECが所有している可能性が高いこと。

を説明された。


「なるほどな。確かにIECが怪しい。

 事務所を隅々まで調べてみたい」

「だろ?」


だろう?じゃねぇ。さっさと調べろ!


「そこまで分かってるなら

 お友達の警察使って強硬捜査

 させればいいだろう」

「相手は大企業。

 証拠もなしにできない。

 しかも多くの国家プロジェクトに加わっている。

 警察を送り込んで業務停止にでなった大問題になる」


そんなもんなのか。


「しかも探してる物を警察に公表できないときてる」


確かにな。

存在が明るみになったら

全世界で話題になるだろう。


「IEC社は、あれを何に使ってんだ?」

「通信機器だというのは知っている。

 地上から30m地下のロボットを

 制御できる程度の認識だ」


それでも凄い技術である。

持ち出して仕組みを知りたくなるわな。

実は地球の裏側まで制御できると

知られたら大事だ。


「まぁ、中を覗いたところで理解できんだろう。

 むしろ、壊してくれることを望む。

 恐らく使い方すら知らんはずだから

 適当に操作してるに違いない」


「それで先月と今月の2回。

 運悪くオレらにヒットしたってことか」

「放置できるか?」


「確かにな。今直ぐ取り返して来い!」


そこまで分かっているなら、

なぜ直ぐに取りいかない?


「そこでだ」

「断る!絶対にやらん」


前田のことだ。

オレがIECに潜入して『試作機を取って来い!』

とでも言うつもりだろう。


「感がいいな」

「オレにミッションインポッシブル

 みたいなことさせる気か?

 出来る訳ない」


「オイオイ、ここは日本だ。

 映画の見過ぎ」

「バカにするな!

 なぜオレなんだ?

 お前の事だ。IECに潜入してる

 エージェントが居るのだろう?

 そいつらにやらせろよ」


「ご想像通りスパイはいる。

 だが今後も継続して情報提供してもらいたし

 捕まったら問題になる」

「オレは捕まっても良いのかよ」


「もし捕まったら死ねばいい。

 これはホムンクルスにしかできない」

「ふざけんな!」


「別の身体を提供する。なら問題なかろう?」

「聞いただけで胃が痛い。

 ますますやりたくないわ」


なぜオレがやらねばならんのだ。

訳わからん。


「本件はお互いが抱えてる問題だろ?

 オレはここまで調べ上げた。

 続きは頼む」


素人が企業に潜入するなんて無茶だ。

絶対捕まって次の日、

yahooニュース載る自信がある。


「次は記憶喪失では済まない。

 可能性もある。急いだ方がいい」


お前も同じだろう?

むしろ、お前の方が発生して欲しくないはずだ。


「前田、お前がやれよ」

「オレは忙しい。ご存じだろう」


「研究員の仲間がいるだろう?」

「研究室に戻ってる。

 うちのチームでこの星にいるのはオレだけだ。

 メンバーが戻るのは3カ月後」


本当かよ。

オレにやらせたくて嘘ついてないか。


「ならオレが戻って呼んで来る」

「仕事で戻ってるんだ。来れる訳なかろう」


あぁ、前田のオフィスに来るんじゃなかった。


「ジュン博士は学生やってんだから暇だろ?」


ふざけんな。


「いや、オレもいろいろと忙しい。

 大体、この件はお前の失態だろ?

 自分でケツを拭け!」


どうだ?


「正論だ。なら仕方ない」


勝った!


「3カ月後に実施ということで。

 その間、大事な人を失わないように」


こいつ、白川さんのことを言ってるのか?

確かに彼女だけは、オレ達と異なる。

次、妨害が発生したらどうなるか分からん。

3カ月、待てるのか。

次回発生時に、倒れた場所が悪かったら

ハルキも白川さんも死ぬかも知れない。

それで良いのか。


「分かったオレの負けだ。

 引き受ければいいんだろう」


前田が立ち上がり握手を求める。


「よろしく頼む」


オレも重い腰を上げる。


「失敗しても文句言うなよ」


こいつに関わると良いことが1つもない。

イヤな予感は的中した。


ミッションインポッシブルの決行は、

明後日の30日に決定した。

引っ越しと被ってる。

オレが居なくても2人で仲良くやれるだろう。

それよりもオレの方だ。

ニュースにならないかが心配。


なぜオレがケツを拭かなきゃならん。

クッソ!


◇◇◇ 白川マンション ◇◇◇


時刻は17時。


白川さんのマンション前に到着。

時間通りである。

思い出のマンションである。

喧嘩別れしてから1週間ほどか。

懐かしい。

引っ越すのがちょっと惜しい。


Line>>到着しました。

   マンション前で待ってます。


Lineで白川さんとノノンにDMする。


身体は田中のままである。

これからテレビスタジオに行くからだ。

関係者の立ち位置なので田中の身体を使う。


5分と待たず彼女らが現れた。

事前に準備してたようだ。

それを確認しオレは車から降りる。


白川さんは立ち止まりオレを見つめる。


「ハルキなの?」

「あぁ、ハルキだ」

「不思議な感じ」


そりゃそうだろう。

この身体で岩井さんのマネージメントを

してたのだから。

ずーっと側で守ってたんだぜ。


「久しぶりに見た、その身体」

「芸能関係者として振舞うので

 田中さんと呼ぶように」


彼女らを後部座席に乗せ、

オレは助手席に乗り込むと

車はスタジオ目指して出発するのであった。


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