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(174) 部屋探し②

◇◇◇ 検討中マンション ◇◇◇


「じゃあ、決定ってことで!」


ということで、引っ越し先が決まった。

物件は5つ用意してあって全部見てから決める

と思ってので早く決まってよかった。

この後も予定があるので前倒しできる。


ノノンも寮を飛び出し、これから一緒に住む事になる。

新たな3人での共同生活が始まるのだ。

楽しみでもあり不安でもある。


「今日から住めるの?」


ノノンからの素朴な質問が飛び出す。

1分1秒でも早く寮を出たいのか?


「別にいいけどさ。

 一応クリーニング屋を入れて全体的

 に綺麗にするつもりだけど」

「それいる?十分綺麗だよ」


「ノノンの神経疑うわ。

 照明のスイッチとか誰が触ったか分からんぞ」

「博士って潔癖症ね」


いやいや、普通だろ。


「お風呂とトイレは奇麗にして

 もらいたいかも」

「だろ?」


白川さんがオレに加勢してくれた。


「あとテレビ欲しいよね?」

「ハイ、ハイ、ハイ」


ノノンが無邪気に挙手する。


「ノノンさん、どうぞ」

「大きいのが欲しい」


「150インチなんてどう?

 映画観たら感動するぞ。

 200でも置けそうだなぁ」

「凄ーい。映画館より(うち)で見る方が

 迫力あるんじゃない?」

「それはない」


「冷蔵庫、洗濯機、レンジが必要か。

 炊飯器も。

 家電は全て買いそろえておくから」

「今使ってるの持って来ないの?」


「基本1人暮らし用だからね。

 あの部屋に残しておこう。

 次の入居者が使うから問題なし」

「ならいいけど」


「念のため防犯の強化も必要だな。

 引っ越しは明後日の30日にしよう。

 それまでに全て終わらせておく。

 30日の朝に寮から持って行く物

 まとめといて」

「30日か。引っ越しって1日使うよね?

 夏休みが終わっちゃう」


考えたらもう8月28日。

長いと思っていた夏休みが終わろうとしてる。


「思い出がないよ」

「沖縄行っただろ。BBQもしたし。

 ノノンが覚えてないだけだ」

「31日、ディズニー行きたい」

「私も!」


2人して挙手されてもな。

笑顔で見つめられても出来ないものはできん。


「ごめん。それはできない」

「どうして」

「そっか」


白川さんが説明してくれた。


「私たちいつ倒れるか

 分からないもんね」

「そうなんだ。

 解決するまで遠出は避けよう」

「ディズニーランド近いよ」


そいう問題ではない。

無視無視。


「引っ越しとは関係ないけど、

 今夜、音楽番組の収録があって

 久しぶりにエルピースが歌うんだ」

「行きます!」


白川さんが食い気味で返答する。

エミリンの熱狂的なファンだもんな。


「ノノンも行く」

「もしかしたら2人で歌うの最後かも知れない」


流石、白川さん。


「かもな。

 次は解散コンサートになるだろう」

「絶対行く。行きたい、行きます」


白川さんはオレの腕を掴んで激しく揺さぶる。

やめてくれ。クラクラ目が回る。


「スタジオでミニライブするから

 観客を集めてるんだ。

 既にキミ達をエントリーしてある」


白川さんは普段は落ち着いてて

大人の女性って雰囲気だけど、

こうしてノノンと抱き合って

嬉しそうにジャンプしてる姿を見ると

子供だなと再認識する。

そこまで喜ばれるとオレも一緒にジャンプ

したくなる。


「ノノンは白川さんのマンションで待機してて。

 17時に迎えにいくから」

「博士はどこか出かけるの?」


「前田に呼ばれてるんだ。

 この後オフィスに直行するので夕方戻ってくる」


「じゃあ、私達はランチしない?」


ノノンが白川さんに提案する。


「するする。

 ランチの後は洋服買いに行こうよ」

「行こう行こう」


なんか微笑ましいね。

白川さんの孤独が不安だったけど、

ノノンが居れば埋められそうだ。


たが3月末にはノノンも研究室へ

戻らねばならない。

別の友達を探さしておかないと。


部屋も決まったことだし、

オレ達3人はマンションを飛び出し路地へと出る。


「じゃあ、私達は駅に行くね」

「後ほど」


白川さんは無言で、バイバイと

笑みを浮かべて小さく手を振る。

嫁はいちいち仕草が可愛い。


遠ざかる彼女らの背中を見守り

姿が見えなくなったところで、

オレは目の前に停車してある

黒塗りのハイヤーへと乗り込む。


「発着室へ頼む」

「はい」


前田の事務所に行く前に田中の身体に

乗り換えるからだ。

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