表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/249

(165) 白川さんとの運命はいかに

◇◇◇ シェアハウス ◇◇◇

亡くなった岩井さんと関係がありそうだ。

そして、その女性の告別式で記憶を失った

と考えるのが自然だろう。


だがこの事実によって、

ますます頭が混乱する。

どうして記憶喪失うこととなったのか。

なぜ、黒服連中に追われているのか。

オレと岩井さんとの関係は何か。


念のため幻想ちゃんに聞いてはみたものの

記憶喪失については、宇宙の外から

幻想ちゃんが来たせいだという。

リセットとやらをすれば記憶は戻るらしい。

続けて、黒服はオレの部下だそうで、

白川さんが岩井さんなのだそうだ。


ん~ん。

確かに全てのキーワードが使われ

うまくつなげてはあるが、

この話を信じろっていう方が無理がある。

白川さんと岩井さんが同一人物?

バカ言っては困る。あり得ん。


この会話の中で、どの部分が真実かを

見極めるは困難だ。

むしろ真実は無いように思える。

白川さんには幻想ちゃんの言ったことを

そのまま伝えることに。


「・・・だって。

 リセットというのをやれば記憶が

 戻るらしい」

「そのリセット、やってみない?」


一理ある。

記憶が戻らなくてもオレに関する

新たな発見が出て来るかも知れない。


<<ノノンは嘘ついてません>>


「確かに、このまま記憶が戻らないなら

 リセットとやらをやってみるのもありか」

「そうだよ。

 黒服の人達とコンタクトを取るよりいいよ」


「分かった。やってみよう」


このまま逃走を続けて捕まるくらいなら

可能性を試してみよう。


「白川さんは、ここに残って。

 オレ1人で行ってリセットしてみる」

「1人で待ってるなんてイヤ!

 ハルキが行くなら私も行きます」


別々に行動して、どちらかが捕まったら

後悔するだろうな。

なら一緒に捕まった方がいいか。


オレは幻想ちゃんに確認する。


「リセットできる場所はどこにある?」

<<晴海のマンション>>


晴海ってどこ?地名?

それとも人の名前?


「そこのマンションでリセットできる

 装置が置いてあるんだな?」

<<そう>>


「マンション入るのに危険はない?」

<<部屋には誰もないから安心して>>


本当か?どこまで信じて良い?


「行き方は分かる?」

<<大丈夫、まかせて!

 早く行こう。今すぐ行こう!>>


軽いなぁ。不安しかない。

敵の本拠地に自ら捕まりに行くんじゃ

ないよな。


「分かった。案内してくれ」


幻想ちゃんは、オレが生み出した(まぼろし)

自分が自分を案内するのかよ。

辿り着けるのか?

そもそもマンションが実在するのか?


◇◇◇ 晴海のマンション ◇◇◇


オレらは幻想ちゃんの案内に従って

電車を乗り継ぎ、出来る限り大通りを歩いて

とあるマンションに前に到着した。


見上げると10階建てだろうか。

外観は普通のマンションにしかみえない。

適当に案内して、適当なマンションを

選択したじゃなかろうか。

こりゃ、中に入って通報されるパターンだぞ。


だがそんな不安は、エントランスに入って

吹き飛ぶ。

違和感を感じたからだ。

インターフォンがないのだ。

要するに住居人を呼び出せない。


認証部分はある。

住居エリア入り口の横に、

非接触型のカードキーがあるのだ。

こんなマンション見たことがない。

企業の研究施設か何かか?


白川さんはオレに密着して腕を組み、

誰かに襲われないか、きが気でないご様子。

キョロキョロと周囲を見渡してる。


「どうやって入るんだ?」

<<生体認証になってる。

 黒い四角いところに手の平をかざして>>


開く訳ないだろう。

幻想ちゃんの言葉を信じて

ここまで来てしまったオレがバカだった。

さっさと退散した方がいい。


♪ウィーン


だが、居住区への扉が開いてしまった。

マジ?

これは一体どういうことなのか。

オレの手の平が登録されてるってことになる。

ってことはだ、過去に来たことがある

ということを意味する。。


このマンションは異常だ。普通ではない。

エレベータも選択できるは1階のみで、

認証しないと他の階を選べないようになってる。

しかもエレベータのサイズがデカい。

車1台は余裕で入れられるほどだ。


幻想ちゃんの指示通り

最上階の10階を選択。


自分が何者なのか怖くなって来た。

博士という言葉に真実味が湧いてる。


10階に降りるとフロアには3部屋しかない。

目的地は奥の部屋だそうだ。

扉の前に立つとこれまた不思議。

カギ穴がない。

しかもドアの周囲に認証機器すらない。


これ、どうやって入るの?

踏み込んではいけない場所に来てしまったのでは?

超~怖いんですけど。


「どうやって入るの?」

<<フックが指紋認証になってる。

 握って引くだけだよ>>


そんなドアがあるの聞いたことないぞ。


♪カチッ


確かにフックを握ったら、

施錠が解除される音がした。

そして、引くと扉が開いたのである。


オイオイ。本当に大丈夫なのかよ。

白川さんを連れて来たのは失敗だった。

守り切れる自信がない。

恐る恐る中を覗くと、一本の廊下があり

廊下の左右に扉がある。そして正面にも。

中は一般家庭で見るような普通のマンション

のように見える。


「すみません!」


・・・


<<だれも居ないよ>>


声を掛けるも返答がない。

確かに、室内には誰もいなそうな雰囲気。

玄関に入って、普通に靴を脱ぐ。

左は洗面所、右はベッドのある小さな部屋であった。

人がいるかも含めて確認したが誰もいない。

普通に住めそうな感じ。


あまりにも普通で緊張感が解けたが、

廊下正面のリビングに入って驚愕する。


「何なのここ!」


白川さんが部屋を覗いて驚く。

オレも驚いた。

この部屋だけは異質だ。


部屋の中央に(ひつぎ)が7つ置いてあり

壁沿いには計器類が一面に設置してある。


驚きはしたが、部屋に誰も居ないことが

確認できたので安心できた。


「キャッ!」

「死体!?」


オレと白川さんは(ひつぎ)の1つを覗いて同時に驚く。

死体が入っていたのだ。

どうみても人形ではない。明らかに本物。

棺の上部が透明な素材となっていて中身が

覗けたのである。

どうやら本物の棺であった。


どうして死体が置いてある?

オレが殺したのか?

やばい、心臓の鼓動が高鳴る。

もしかしたらオレは猟奇殺人者で、

白川さんを殺すために近寄ったとか。


ここまで来たら幻想ちゃんの言う

リセットとやらが出来るのだろう。

だが記憶を取り戻すのが怖くなって来た。


幻想ちゃんが言うには空の棺に入って

側面に操作パネルでリセットができるという。


確かに、側面に操作パネルがある。

普通の棺ではないようだ。

指示通りに空の棺を操作すると。


♪ウィーン


棺が開いた。オレは中へと入る。


「じゃぁオレが先にやってみる。

 何かあったら逃げて!」

「記憶が戻るといいね」


本当に記憶が戻った方がいいのだろうか?

実は岩井を殺したのはオレだって説が出て来た。

記憶が戻って、いきなり白川さんも殺す

のだけは避けたい。


「どうしたの?私が先にやろうか?」


オレが悩んでるから白川さんが心配してる。


「大丈夫」


記憶を取り戻しても、この感情は消えないだろう。

それを信じるしかない。

オレは白川さんが好きだ。絶対に守る。


仰向けで、まくららしきものに

頭を乗せると、扉が自動で動き出す。

白川さんの心配そうな顔が目に焼き付く。

今更だが毒ガスが出たりしないよな。

自分で自分のコレクションを作るってか。


扉が完全に閉まり切る。


♪ピッピ


音か聞こえた。

1秒も経ってない。

と同時にオレは全ての記憶を取り戻した。


自分が博士であることを思い出したのである。

なぜ忘れてた?

幸いなことに横浜でのこと、

ここに来るまでのことも全て覚えてる。


「ノノン、ありがとうな。

 全てを思い出したよ」

<<良かった>>


ノノンは棺の外にいて覗き込んでいるが、

中からでも会話はできる。

だって、オレの脳に割り込んでるのだから。


「白川さんと大事な話しがある。

 2人だけにさせてくれないか?」

<<分かった。後で携帯に連絡して>>


そう言ってノノンは消滅する。


♪ウィーン


棺の扉が開き、白川さんと目が合う。

さて、どこから話そう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ