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(016) さよならノノン①

今日は堀北さんに誘われ、なんちゃら研究室

にお邪魔している。

教室以外で昼食するのは初めてではなかろうか。

しかも女子と仲良くだ。

そんなものは、ドラマでしか存在しない幻想

だと思っていた。

まさかオレにこんな日が訪れるとは。

告白未遂とは言え、あの勇気が

高校生活の流れを変えたと言って過言ではない。


とはいうものの、オレは会話に入れないでいる。

なので女子達を和気あいあいという訳ではない。

この性格をどうにかしたい。


話題は、ノノンがどの分類の霊かってこと。

オレの答えは背後霊。


「金沢さんは除霊とか出来るんですか?」

「できないわ。

 素人が見よう見真似でやると逆効果

 になる場合があるのよ。

 沢山の霊を呼び寄せてしまうとかね」


カイ、良いこと聞いてくれた。


「お寺で、お(はら)いをしてもらった方が

 いいってことですかね?」

「本来はそうだね。

 でも、私は最強のアイテムを持参しました」


♪パチパチパチ


「おおお」


カイ!盛り上げすぎ。


「ジャジャーン」


金沢さんがスクールバッグから緑色の

怪しい物を取り出した。

透明なビニール袋で二重に包まれてある。


なんだあれ?お茶の粉か?


「浄化ハーブ」


金沢さん?ドラえもんの真似、似てませんよ。


「除霊効果があるって書いてあった」


自分で持って来て知らんのかよ。


「一応聞くけど、なんのハーブ?」

「さぁ、私も知らないわ」

「やだぁ、大丈夫なの?」


堀北さん、ナイスアシスト。

そんなの飲みたくないっス。


「懸賞で当たったの」

「もしかして、その粉を使ってみたいから、

 細倉くんに会いたいって言い出したのね?」


流石に毒だろ?それ!

いくらオレでも言わせてもらうわ。


「ごめん。飲む勇気ないっス」

「飲み物じゃないわよ。

 アロマみたいなもの。

 燃やして煙を数秒全身に浴びるだけで

 除霊できるって書いてあった。

 簡単でしょ?」

「面白そう。やろうやろう」


カイよ。お前楽しんでるだろう!

煙浴びるだけなら死なないからいいか。


「それならいいですけど」


 <<楽しそう>>


ノノンさん、いいのかい?

あなた天に()されるんだよ。

天国に帰りたがってたからちょうどいいのか。


「煙は吸わなくていいから。

 息、止めてていいわよ」

「それ無茶です」


 <<ノノンが代わりに息止めてるね>>


はいはい。お願いします。


「別に肺に入っても害はないから。

 安心して」

「そんな怪しい袋に入ってるのに?

 私、怖いんですけど」


堀北さんは選手として大事な身。

ここは守らないと。


「堀北さんは大会近いから

 教室戻った方がいいですよ」

「ハルくん優しぃ」


カイ、茶化すな。

下心は当然ありますよ。もちろん。


「ありがとう心配してくれて」


よし、堀北さんへの好感度が上がった。


「自宅で試してはいるけど、そうね。

 細倉君と2人でやりましょうか?」

「私は先に教室戻ってます」

「オレは残るよ。

 保護者として結末を見届ける義務がある」


ということで、堀北さんはここで退散。

カイとオレ、部長の3人で儀式が始まる。

ヨガのような変なポーズをするのか?


♪ガラガラガラ

「あとで結果教えてね」


バイバイ、堀北さん。

生きてたらまた会おう。


「さぁ、始めようぜ!

 効果あるのか早く確かめたい」

「でしょでしょ」


2人楽しそうでいい感じじゃん。


金沢さんが準備を始める。

直径4cmほどの陶器の器に怪しい粉を乗せる。

ライターを準備してるところを見ると、

本当にアロマテラピーのようだ。


素人が除霊しちゃダメって

自分で言ってませんでした?


「面白くなって来た。

 ついでにオレも清めるか」


ノノンはこれから何をしようとしてるか

理解してないようだ。

あなたを成仏さる儀式なんですよ。

今後も四六時中ノノンにまとわり付かれる

のを想像すると、このタイミングで

成仏してくれたほうがいいかもな。


♪カチッ、カチッ、カチッ、ボッ


ライターの火が付いた。


「手を合わせるとか。

 儀式はあるんですか?」

「ありません。

 ただ煙を全身に浴びるだけです」

「分かりました」


ライターの炎が、粉へと注ぎ込まれる。


♪パチパチパチ


弾ける音と共に灰色の煙がモクモクと出でる。

オレは腹をくくる。

中途半端な事をすると良くないことが

起こりそうだから。


出て来た煙を手の平で救い、

そのまま頭へ押し付ける。


「これヤバくね?」


カイの一言で周囲を確認する。

気付いたら部屋中が煙で蔓延していた。

視界が悪い。

みんながどこに居るか把握できない。

てっきり、蚊取り線香のようなものだと

想像してたけど、火事ではないかと

思えるような煙の出方をしている。

想像していなかった煙の量だ。


「火災報知器とか鳴ったりしません?」


オレは疑問を投げかける。


「ヤバい、急いで窓開けろ!

 金沢さん、火消して!」


視界が悪い。一寸先は闇とはこのことだ。


「窓のフックが見つからない」

「消したよ」


カイは窓際にいる。

手探りで窓の開閉フックを探してるようだ。


「廊下側はあけるなよ。

 先生に見つかったらヤバいことになる」


こりゃあスプリンクラーからシャワー出るな。

全員びしょ濡れじゃん?

というか学校で大問題になるな、これ。


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