(159) 逃亡生活はじめます①
◇◇◇ 新宿駅 ◇◇◇
オレと白川さんは、現在新宿駅周辺にいる。
正確に言うとユニクロ店で買い物中だ。
なぜ、新宿に居るかというと、
バスの終点が新宿駅だったから。
そして、最初の目的である
服を買いに入店しているという訳だ。
「これどう?」
試着した格好をオレに見せてる。
「いいけどさ。
さっきの肩出しがいい。
それか胸元がハートマークで空いてるやつ」
「それって、ハルキの趣味でしょ?
似合ってるかどうか。
外歩いて変じゃないか聞いてるの」
「そうだよ。
だから真面目に答えてるだろ。
エロい奴だと思ってないか?」
「思ってますけど」
「はいはい、そうかい。
なら自分で決めなよ。
その間、オレが君の下着選んどくから」
「この変態!」
どうやら白川さんとは相性がいいらしい。
出会って2時間くらいしか経ってないのに
意気投合している。
そして、いざレジへ。
洋服は着替えの1着と、下着、
そしてショルダーバッグを購入。
ドキドキしなからオレのクレジットカード
を利用したが、すんなり買えてしまった。
パスワードが分からなくても使えそうだ。
ならばと貴金属店へ行き、
高価なアクセサリーを購入することに。
理由は現金に換えられるから。
そんな筋書もすんなり実現してしまった。
どのこブランド物だが知らんが、
白川さんが気に入った50万もする
ネックレスをオレのカードで購入した。
銀行の残高は大丈夫だろうか。
オレ、学生なんだろう?
購入した服は店のトイレで着替え、
着てた服はその場に捨てた。
そして、質屋へ直行する。
オレはスパイなのかと感じでしまう。
質屋に到着すると白川さんが店主と対応
することに。
理由は、オレの身分証明書が学生証だから。
査定結果は、未開封の新品ということもあり
45万の現金を手にすることが出来た。
これでしばらく身を隠せそうだ。
「あのネックレス気に入ってたのに。
残念だなぁ」
「そうなるから適当に選べって
言ったじゃないか」
そんな顔すんな!
「分かったよ。社会人になったら
同じのプレゼントしてやるから」
「あら!言いましたね。約束ですよ」
その前に50万返済できるのか?
ん!
「急にどうしたの?」
「白川さん、走るぞ!」
路上で黒服がいるのを発見してしまった。
人を探している様子。
おそらくオレ達だろう。
ここまで追って来たということだ。
どうやって居場所を特定した?
向こうはまだオレらに気付いてない。
とにかくこの場から離れなければ。
駅の改札口が近かい。電車を使おう。
白川さんの手を取り、引っ張るようにして
早歩きで状況を説明。
見つからずに改札口をくぐり、
ホームまで辿り着いた時には
運良く電車が停車していた。
♪プルルルル
しかもドアが閉まる寸前。
飛び込むようにして乗ることに成功。
電車が出発する。
オレらに気付いて追って来てたとしても
同じ電車には乗れなかったはず。
ひとまず安心できた。
「逃げ切れた」
「この電車に私たちが乗ってるの
知ってるのかなぁ?」
「さぁ、どうだろう」
オレらは一体何者なのか?
やつらはどうしても捕まえたいらしい。
だって渋谷駅で電車が到着する際。
◇◇◇ 渋谷駅 ◇◇◇
「ちょっと!」
「静かに」
オレは車内で白川さんの腕を引き、
ドア付近へと移動する。
ホームに立つ人物に気付かれないためだ。
その人物は黒服。
やつらは先回りして駅のホームで待機してた。
オレらがこの電車に乗ってることを知ってる
ということだ。
♪プシュー
電車が止まり、ドアが開くのを待ちながら
奴らは窓越しから車内を覗く。
やばい。見つかる。
そして、ドアが開くと黒服が乗り込んで来た。
幸いにもドアが1つ隣であった。
逆にオレらは電車から降りることに。
渋谷駅だったため下車する人が多い。
走らず他の乗客に合わせて風景に同化させて歩く。
電車のドアが閉まるやいなや、走り出し改札を出る。
そして、地下鉄に乗り換えたのである。
乗った電車は横浜中華街行の東横線であった。
◇◇◇ 元町・中華街駅 ◇◇◇
オレ達は、出来るだけ遠くへ逃げようと
終着駅まで乗っていた。
着いた所は、横浜中華街があることろ。
もうヘトヘトである。それは精神的に。
ここまで来る間、全ての駅のホームで
黒服がいないかチェックしてたので。
現在時刻は16時。
まずは今日の宿を探すこと。
カードは使わないことを決意する。
というもの、冷静に考えたら新宿でカードを
使ったせいで黒服に居場所が特定されたと
結論付けたから。
でないと説明つかない。
なので、ホテルを使うのも危険そうだ。
節約する必要もあるし。
幸いにも白川さんが携帯を持っていたので
周辺で安い宿を検索したところ
シェアハウスを発見。
見に行くことに。
◇◇◇ シェアハウス ◇◇◇
シェアハウスへ到着。
受付にて部屋の空き情報を確認したところ。
「2人ですと、ダブルベッドの部屋しか
空いてないです。どうされます?」
2人で同じ部屋?しかもダブルベッド!
イヤイヤ、それはマズイっしょ。
今日、初めて会った子ですよ。
せめてツインだろう。いやツインもだめか。
白川さんだけ1人部屋に泊まってもらって
オレは公園にで寝ることにしよう。
「1人・・・」
「いいです。いいです。
その部屋、3日間でお願いします」
マジ?
部屋は3畳でベッドしかなく。
バス、トイレは共用だそうだ。
キッチンも共用で自由に使えるとのこと。
なるほど、シャアハウスってそういう宿なのね。
白川さんの押しで、この宿に決定した。
知らんぞ。ダブルベッドですよ。
オレはいいけど。
しかし、この先どうなるのやら?