表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
155/249

(155) アイミーを紹介します②

◇◇◇ スタジオ ◇◇◇

みんながアイミーを囲み会話してる中、

1人、黙々とノートPCを操作する篠崎さんの元へ近寄る。


「これ篠崎さんのですか?」


置いてなかったノートPCをどうされたかの質問。


「そう私の。自宅から持って来ちゃった」


ノートパソコン使ってるんだ。

作曲してるから大きなディスクトップPCを

使ってるのと考えてた。


「へえ~。

 録音するのに持って来たんですか?」


篠崎さんは首を左右に振る。


「逆です。ドラムとベースの音を出させるの」


なるほどなぁ。

ピアノだけでは寂しいもんな。

ってことはだ!

学際当日もPC使うってことか。

使用する機器の整理をしておかないと。


「外でライブが出来るかの実験を

 しようかと思って」


学際でのリハーサルってことか。

やる気マンマンで嬉しいよ。

篠崎さんも、もう大丈夫だ。


「いままで作った曲だけど、

 更に進化してるんですよ」

「それは楽しみ。今日聞けるの?」


篠崎さんは笑みを浮かべ首を縦に振る。

楽しそうだな。


コンクールの予選落ちは残念だったけど、

これからも違う形でピアノを続けてくれるのを望むよ。

これだけは伝えておかないと。


「篠崎さんの演奏好きです」

「ありがとう」


社交辞令だと捉えられたらヤダな。

嘘じゃないんです。

ストリートライブまたやろう!


「今のは告白?」


ノノン!いつから隣に?


(ちげ)ぇよ」


「もう別の女、口説いてるの?」

「だから(ちげ)ぇよ」


「初めまして」


篠崎さんがノノンへ挨拶する。

そうか、ノノンとは初対面だったか。

もう誰と誰が知り合いか混乱してきた。


「ハルキくんと同じクラスのノノンです」


素で自分の名前忘れてるよ。


「ノノンは愛称。

 茂木(もぎ) 乃々(ののか)っていいます」


どうしてオレがフォローしてる。


「彼女さんは来てないの?」


おっと!岩井さんのことっすか。

思い出した。

コンクールで付き合ってる宣言したんだっけか。

亡くなったことをニュースで見てないのかな?


「分かれました」


そっちで回答?

ノノン、勝手にしゃべるな!


「余計な事、言わんでいい!」

「ごめんなさい。デリカシー無かったです」


ヤバい、篠崎さんに気を使わせてしまった。


「全然平気ですから。

 元々釣り合ってなかったから。ハハハ」


・・・


ん?

篠崎さん、納得しないで。

ウソでいいから否定して!


オレは後ろを振り向く。

みんな、友達の様にアイミーと会話してる。

いいなぁ。羨ましい。

未だにアイミーとはLineでしか話せない。


待て待て、オレは篠崎さんを格下に

見てるってことか。

イヤイヤ。

十分お綺麗ですし、高嶺の花です。

本来ならオレのような愚民が、

直接会話などできる身分ではありません。


携帯で時刻を確認し、みんなに周知。


「そろそろ始めましょうか」

「バンドメンバーって2人だけなの?」


おっと、カイから疑問が提示された。

そう言えば紹介してなかったか。


「そうそう。

 バンドメンバーはキーボードの篠崎さんと

 ボーカルの北篠さんの2名のみ。

 ジャンルはテクノ系ダンスミュージックになります。

 そして、オレは雑用担当ってところかな」


「テクノ?」

「そう。ノリノリな曲になってます。

 まずは聞いて」


カイが何か引っかかる模様。


「それってバンドっていうの?」

「この場合だとグループになるかな」


カイの突っ込みに金沢さんが回答。

ギターとかドラムが居ないと

バンドと名乗っちゃダメなの?


「いいんじゃない。バンドで」


堀北さんがフォローしてくれた。

いつも味方してくれる。

あなたが好きです。結婚してください。

ヤバい、病気が発動しだした。


♪ドッ、ドッ、ドッ、・・・


ノートPCが作り出す重低音のリズムが流れ出す。

思わず首でリズムを取ってしまう。

そして、篠崎さんが演奏するキーボード

の音が重なり、おれらのテンションはMAXに。


そこへアイミーの歌声が乗る。

最高〜。

オレとカイは、重低音のリズムに合わせて飛び跳ねる。


「ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!」

「ハイハイハイハイ」


女子達もノリノリである。

これを文化際でやる。

観客が多ければ絶対に盛り上がること間違いなし。

イメージが湧いく。当日が楽しみだ。


我が校の文化祭は一般は入れない。

参加者は、生徒とその家族のみ。

なので、アイミーが芸能人だとバレても

パニックになることはないだろう。

そして、オレらがやるべきことは

どれだけ生徒を集められるかに掛かってる。


おそらく演奏場所は校庭の隅になるだろう。

今更、体育館は抑えられない。


人を集める作戦を立てないと。

ストリートピアノでの屈辱を思い出せ。

二度と起こってはならない。


一番簡単なのは、アイミーがいることを

広めればいい。

簡単に集まるだろう。

だがそれでいいのか?

そんなんで人を集まって嬉しいのか。


♪パチパチパチパチ


4曲連続で演奏し、一旦終了。

というかまだ4曲しか完成してない。

前回も聞いたが、更にいろいろな音が加わって

ノリノリ度がパワーアップしてる。


「いやぁ~最高っす。

 発売したら絶対買います」


カイの奴、また心にもないことを言いやがって。


「CD1枚1億円ですけど」


「OK。では1億年ローンで」

「払う気ねぇじゃねぇか」


女子達はクスクスと笑う。

別に笑わしてるつもりはないのだが。


「どう?良くないすっか?

 オレが作った訳ではないけど」


皆に感想を聞いておこう。

金沢さんに最終ジャッジをしてもらわないと。

一応、文化祭では部の出し物となるので。


「いい曲。

 普段、聞かない曲だけど気に入りました」

「文化祭、盛り上がるよ」


中沢さんもノノンも合格のようだ。


「では、文化祭でこのバンドをプロヂュース

 するでいいよね?

 この後、マックで作戦会議しません?」


ということで、少し世間話をして

部活メンバーはスタジオを出ることに。

篠崎さんとアイミーはそのままスタジオに残り

練習を続けるのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ