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(154) アイミーを紹介します①

◇◇◇ 渋谷 ◇◇◇

時刻は13時。


ここは渋谷駅にあるハチ公前。

今日は部活の日。初の野外活動となる。


「凄い人混み」

「待ち合わせ場所として有名だからなね」

「まだ、誰も来てなさそう」


オレとノノンは近所で待ち合わせをし、

電車に乗って渋谷へとやって来た。

集合場所はハチ公前。

到着した訳だが、どうやら一番乗りらいし。


本日の活動目的は、文化祭でオレらが演出

するバンドメンバーの紹介とライブ練習の

見学である。


人込みで部員に遭えるか不安になってきた。

もしかしたら既に誰か来てる可能性はある。

こんな事になるのは重々承知していたのだが

他の場所が思いつかなかった。

ここで待ち合わせしている人が沢山いる。

みな同じことを思っていることだろう。


「あの銅像がハチ公なの?」

「そうだよ」


「あの犬は神様かなにか?」

「さぁ。オレも知らん」


「お!居た居た」


カイの登場である。

目が合うなりオレに指差す。


「ハチ公、発見」

「オレはハチ公じゃねぇ」

「違うの?」


ノノン、笑うな!


「渋谷にバンド練習するとこあんの?

 もしかして公園とかでやる気?」

「ちゃんとスタジオ()さえてます」


「他の人は来てる?」

「まだ来てない。この3人だけだ」

「バンドメンバーは、A組の人達なの?」


A組?

篠崎さんがA組だから同じクラスの

メンバーかを聞いてるのね。


「それはお楽しみ」

「別にいいだろう教えてくれたって。

 女性グループだろ?

 みんなカワイイ?」


始まった。

カイにアイミーを紹介するのが不安になってきた。


「それもお楽しみ」

「んだよ。ケチだなぁ。

 ノノンちゃんは知ってるの?」

「私も知らない」


ノノンが知らないふりをしてくれた。

グッジョブ!


「おたくら目と目で会話してません?」


やばい、ノノンの嘘がバレたか。


「やっぱ2人、付き合ってるだろ?」


そっちかよ。


「付き合ってない」

「それにしては、仲良すぎない?」

「しつけぇ」


この後しばらくして、

金沢さんと堀北さんが一緒に登場し合流する。

よかった金沢さんが来てくれて。


◇◇◇ スタジオ ◇◇◇

時刻は13時半。


オレら部活メンバーは、本日の練習場所である

スタジオへと到着。

篠崎さんとアイミーは、1時に来てるはずだから

準備が終わってるころだろう。

遅れて来たのは、わざとである。

準備の邪魔をしたくなかったので、


オレ以外は、スタジオに来るのが初めてらしく

未開の洞窟に侵入してるかの表情である。


「バンド練習って下北のイメージだけど

 渋谷にもあるんだね」

「下北?」


下北って何?

堀北さんの質問に対してカイが答えてくれた。


「下北沢駅周辺のことだよ」

「有名なの?」


「知らねぇのかよ」

「知らねぇよ。悪いか!」


「お前、ここのスタジオ良く見つけたな」

「ネットで適当に検索しただけだ」


そんなオレとカイの会話を無視してか

金沢さんはキョロキョロと見ながら

周囲を警戒する。


「こういう場所、初めて来ました」

「私も」


ここはお化け屋敷じゃないぞ。

まぁ、店内は薄暗いし、腕や首にタツーを

入れた連中が演奏してる風景が伺える。

別の意味で怖いのかも知れない。

金沢さんは堀北さんにしがみついて移動する。


店内はカラオケボックスのように

複数の部屋があり、予約したのは一番奥。

ついに扉の前へ。

アイミーを見たときの皆の反応が楽しみだ。


今までアイミーとの関係を隠して来たのに

ここでみんなに会わせて良いのだろうか。

あれ?オレ何も考えてなかったわ。


ここまで来て、急に中止は在り得ない。

もしかしたら、そんな心配は不要で

アイミニーに気付かない可能性もある。

成り行きに任せるとしよう。

オレは扉を開ける。


「エミリンですか?」


早い!

カイが一目見て本物だと気付いた。

カイがアイミーの前まで駆け寄る。

いつもの自己紹介を始める気じゃ。

止めないと。


「ちょっと待て!」

「そうです。

 アーツファクトリの北篠(ほうじょう) 愛美梨(えみり)です」


えぇ~。

カイが口を開ける前に、アイミーがエミリン

本人であることを明かしてしまった。


「本物?アイドルの人ですよね」

「本物だよ」


金沢さんの問いにノノンが答える。

バンドメンバー知らない設定では?


「皆さん、初めまして」


アイミーが軽くお辞儀をすると。


「サインください!」


カイがサインを求めて来た。

オイオイ、今日は遊びじゃないぞ。

っていうか、オレが想像してたリアクションじゃない。


「そこに油性ペンあるから

 顔面に書いてもらえば?」

「それでお願いします」


いいのかよ!


()(ずみ)にして永久保存版にします」


オレは、アイミーに目線を戻す。


「こいつバカだから無視してください」


カイはそれでも引かない。


「ハルキと知り合いなんですか?」

「知り合いというか、

 先月困ってるところをハルキに

 助けてもらったのがきっかけで

 仲良くやらしてもらってます」


ほらぁ、嘘じゃなかっただろう?


「えぇー」「えぇー」「えぇー」

皆の視線が痛い。

オレは何も悪い事してません。


「ご存じの方もいるかもですけど、

 わたしはエルピースという

 アイドルグループの活動をしてます。

 CDを持って来たので

 もしよかったら聞いてください」


準備いいな!

宣伝かよ。

アイミーはみんなにCDを1枚づつ手渡す。


「すげぇ、サインが書いてある」

「ありがとうございます」


CDの裏面には直筆のサインが書かれてあった。

なんてサービス精神おうせいなのだろう。

っていうか、みんな!もっと驚いてくれ!


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