表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/249

(153) 異世界で地下迷宮攻略します

◇◇◇ 地下迷宮 ◇◇◇

♪ヒュー、ド~ン


魔法攻撃による閃光(せんこう)が飛び交う中。


「博士?もう魔力がないよぉ」

「回復薬、持ってないのか?」


「全部使っちゃった」

「オレもない。つうかHPがない」


ここは巨大な地下宮殿。

オレとノノンはここに閉じ込められ、

体長15メートルもある赤龍1体と戦っている。


「目が赤くなった」

「柱に隠れろ!」


♪ゴーオォォ


龍の口から炎の火柱が放たれる。

その炎はレーザーのように直線に突き進み

当たった所を破壊させた上に焼き尽くす。

厄介なのが、目標を定めて炎を放っているのではなく

周囲を無作為(むさくい)に焼き尽くしていた。

なので身動きが取れない。

照射は10秒ほどで治まる。


「待て!もう1回来る」


♪ゴーオォォ


「1発でも食らったらオレは死ぬ」

「どうするのよ?」


ここは脱出不可能な部屋。

生き延びるには目の前の赤龍を倒すしかない。


赤龍のHPは残り5分の1。

戦っているのはオレとノノンのみ。

2人ともHPはゼロに近い。

薬がなければ魔法も使えない。

いつ死んでもおかしくない状況。

戦うには剣しかない。

要するに接近戦あるのみ。

絶望的だ。


「手がない。こりゃ全滅だな」

「えぇ、ここまで来れたのに!

 取ったアイテムが無くなっちゃう」


「こういう時って、チート能力が

 発動するんじゃないの?」

「アニメの見過ぎ。

 そんなご都合主義なこと起こるかぁ」


ここはVRゲームの世界である。

オレとノノンは各人の部屋でVRゴーグルを

装着してネットゲームしていたのだ。


「剣で戦うしかない」

「近づけないよ」


「逃げ回ってもジリ貧なだけだろ」

「天井を崩すとか。柱を倒すとか。

 策があるよ。きっと」


「だからアニメの見過ぎ。

 このゲームはできません」

「キャッ、危なかったぁ」


「お前は生きろ!」


ダサイ捨て台詞だな。

オレは柱から飛び出し、赤龍への接近を試みる。


「博士、待って!」


*** 死亡 ***


HPがゼロとなり死亡が表示される。

気付くとオレは、宿屋で目が覚めた。

どうやらセーブポイントまで戻って来たようだ。

その場でログアウトし、ゴーグルを外す。


◇◇◇ 男子寮 ◇◇◇

時刻は22時。


時計を見る。もうこんな時間。

2時間も遊んでたのか。


携帯を手にとり部のグループLineを確認。


Line>明日の部活は、バンド練習の見学はどう?

   バンドメンバーをみんなに紹介します。


というのをオレが提案した。

文化祭で披露するのだ。

部員全員に紹介しないとと考えLineしたのである。

もちろん、篠崎さんとアイミーの了承はもらってる。


堀北さんとノノンは元々参加予定だったから


Line>参加します


という形だけの回答をもらった。

残りは、金沢さんとカイ。

金沢さんには是非参加してもらいたい。

渋谷という人込みに連れ出す狙いがあるから。


確認すると、金沢さんもカイもOKのスタンプ。

よし、全員OK。

ただし、金沢さんに関しては、ドタキャンされる

可能性を考慮しておく必要がある。


オレに関わる人は皆、幸せになってもらいたい。

今、一番サポートしなければならないのは

岩井さんだけど。

なにもできない。

彼女の心情を考えると胸が苦しい。

オレの胸に、ぽっかりと穴が開いてる心境である。

バンド練習の企画はオレが言い出したことだ。

みんなの前では明るくいないと。


部活メンバーには、Aクラスの篠崎さん以外

説明してない。

他に誰がいるのか、人数、性別、

どんなジャンルの曲なのかも伝えてない。


Lineでいろいろと質問されてはいるが

はぐらかしている。

理由は、事前情報なしでアイミーを見てどう思うか。

曲を聴いてどう感じるのかの反応を見たいから。

おそらく学際当日と同じ状況になるだろうから。


まずは、アイミーへのリアクションが楽しみである。


<<ちょっと!

 ログアウトしたなら一言いってよ>>


幽霊のノノンが突然現れた。

かなりプンプンのご様子だが、カワイイ。

幽霊のノノンに怒られるのは好きだ。

これがMってやつか。

新たなゾーンに引き込まれそうだ。


「ゴメン。Lineが気になってて。

 すぐ再ログインするから」

<<もういいよ。あのボス強すぎだから。

 ドロップアイテムも消えたしさ。

 違うことしよ?>>


ならノノンの近況でも聞いてみるか。


「ガイヤ(地球)に来てよかったか?」

<<どうしたの急に?キモイ!>>


キモイはないだろう。キモイは!

ここに来てる目的はダイブ機の耐久テスト。

だが、その実験台のお礼として

ノノンの『青春をやり直したい』という

裏テーマも同時進行中だ。

まさに、この学園生活がそれにあたる。


<<凄く楽しいです。研究者に戻れなそう>>


オイオイ、怖い事言うな!

今すぐ研究室に戻ってくれ。


<<こっちで学生の友達沢山できたし

 学生時代をやり直せてるって感じがする>>

「現実では友達いないもんな」


<<博士もでしょ>>

「友達などいらん。研究の妨げになるだけだ」


<<こっちで彼女作った人が良く言うよ>>

「あれは成り行きで付き合うことになったんだ。

 もう別れたし」

<<ふぅん>>


「ここの住民とは住む世界が違う。

 研究室戻ったらみんなと別れることになる。

 寮にも友達が沢山いるのだろう?

 卒業後、大丈夫か?」

<<このままガイヤに残ったとしても

 高校卒業したらみんなバラバラになるでしょ?

 一緒だよ>>


「そうだな。良い思い出になればいいな」

<<だから卒業までは1日たりと

 無駄にできないよ>>


オレには毎日無駄に過ごしてるようにしか

見えん。

まぁ、それも1つの思い出か。

ガイヤでのことは全てが思い出になる。

オレに取っても忘れられないものになるだろう。


・・・


その後も話しはつきず、寮でのことだったり、

ノノンの考え方や悩みなどを聞き、

深い話をすることに。


ノノンは研究員としてオレの近くに居たのに

彼女のことを何も知らなかったというのを実感した。

元々オレは、他人に興味がない。

部下とこんな話するとは、オレ自身が驚いてる。

この学園生活によって、オレの性格が変わって

来てるのかも知れない。


結果会話してよかった。

部下の一面を知れたような気がする。

たまには、こういうのも大事だな。


そして、時刻は零時を過ぎ、寝る時間になったが、

ノノンは自分の部屋には戻らず

オレの横で寝ることに。

まぁ、オレ的に構わないが。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ