(015) 妖怪ってなに?
=-=-= 登場人物 =-=-=
ハル :寮に住む高校生(主人公)
ノノン:天使と名乗る少女
カイ :ハルと同じ寮に住む友人
堀北 :告白したクラスメイト
金沢 :超常現象研究部部長
ん~ん、うまい。うますぎる。
微かな甘みと後から来る渋みが複雑に絡み、
口の中でハーモニーをかもし出している。
改めて味わうと、お茶ってこんなにも繊細で
味わいが深い物だったと再認識したぜ。
「へぇ、友達いなかったんだ」
「凛心が可哀そうだから声掛けただけ」
「待って!楓が」
堀北さんはリコって名前なんだ。
で、部長がカエデね。フムフム。
カイ、金沢さん、堀北さんの3人で
会話が盛り上がる中、オレは1人、
トークショーの観覧者であった。
えーっと。
どうしたら会話に加われます?
帰ろうかなぁ。
「2学期になって席が隣同士になったの。
私の第一印象はね。アハハハ。
凛心とは絶対に友達になれないと思ってた」
「それ、こっちの台詞なんですけどぉ!」
元気に話す堀北さんを初めて見た。
相手に合わせるタイプなんだろうか。
オレが根暗だからそれ相応の対応だったんだな。
「確かに趣味も性格も合いそうにない」
「アハハハ。でしょ?」
「そんな話、どうでもよくない?
今日のメインは細倉くんでしょ」
おっと、オレの名前が突然現れたぞ。
「もっと2人の関係性を深堀したい」
カイは止める気ないらしい。
幽霊なんてどうでもいいんだろう。
だが、女子2人の視線がオレに向けられる。
はい、何でしょう?
頭が真っ白で言葉が出て来ません。
もう遅いから、明日にしません?
「幽霊の件だよね?
忘れて!あれハルの妄想だから」
カイの野郎、ふざけんな!
堀北さんへの説明が全て嘘になるだろうがぁ。
「いるよ。嘘じゃない。
今もオレの後ろに立ってる」
3人の視線がオレの背後へと集中する。
<<どこにいるの?居ないよ>>
あなたのことです。
まぁ、普通なら信じないよな。
堀北さんへの抱き付きをごまかした
クソ野郎と思われてもしかたない。
「どうぉ?金沢さん。見える?」
「ごめんなさい。
私、霊感ないの。アハハハ」
部長さん、ゲラだな。
えーっと、ここに来た目的は何?
部長は心霊の専門家じゃないの?
「細倉くんの話しは信じるわ」
霊が見えないのに?
嘘だろう。どこに信じる要素があった?
出会ってまだ数分しか経ってませんが。
堀北さんは、どう説明したのだろう。
自分で言ものなんだが100人中
100人が作り話だと思うぜ。
「で、どうします?」
「霊にも種類があって調べてみましょう。
大きく分けると3タイプあるの」
<<へぇ。>>
金沢さんによると、その3タイプとは
守護霊、背後霊、地縛霊だという。
確かに聞いたことはある。
「違いって何?
知ってそうで知らんわ。」
カイ、よくぞ聞いてくれたわ。
「確かにね。説明してと言われたら
ちゃんと答えられないかも」
みんなの疑問を金沢さんは答えてくれた。
守護霊はご先祖様の霊だそうだ。
災難から守ってくれる良い霊なんだとさ。
幽霊には災難をもたらす悪いのが居るが、
守護霊のように良いのもいるらしい。
知らんかったわ。
最近は悪いことだらけだ。
オレはご先祖から見放されてんだな。
次は背後霊。
霊感に同調した人に取りつくという。
すなわち幽霊に気に入られたってことだ。
おぉ!まさにこれじゃね?
オレ、霊感強かったけ?
直接的に危害を加えないので悪い幽霊では
ないとのこと。
ただ、長く取りつかれてるとヤバく、
体調不良を引き起こしたりするそうだ。
オレ的には今のことろ身体に異変は見られない。
メチャメチャ元気。
ノノンはこのタイプの霊ではない!?
最後は地縛霊。恨みがあって死にきれず、
その場に留まっているタイプだそうだ。
こちらは、霊に取り付かれると災難が
襲い掛かるという。
要するに悪い幽霊ってことだ。
症状としては、身体がだるい、頭痛や
耳鳴り、憂鬱、事故に遭うのがある。
不健康やストレスと診断されるケースで
実は霊に取りつかれてるなんてことがあるらしい。
場合によっては、事故を引き起こし
大怪我になる恐れがあるので要注意だそうだ。
「地縛霊、怖いわ。
そこいら辺にウジャウジャいるの?」
「住宅地にはいないそうよ。
墓地や病院の跡地にが多いらしい」
堀北さんが怖がってる。カワイイ。
「そう言えば、よく金縛りに
なるんだけど関係あります?」
カイ、作り話しするな!
金沢さんと会話したいだけだろう。
「部屋でラップ音が鳴ったりする?」
「深夜2時くらいによく鳴る。
部屋の隅の天井辺りでパッキ、パッキって」
「霊は部屋の隅に立ってるって言うからね」
「ちょっと止めてよ。
そういう話し苦手なんだからさ」
「ラップ音は霊が話しかけてるそうよ」
堀北さんが嫌がってる。
<<ハルの部屋にも居るんじゃない?>>
居るさ、お前がな。
「はい。この話しはもうおしまい」
堀北さんは怖い話が苦手のようだ。
お化け屋敷に行ったら抱き付いてくれるかも。
「となるとだ。
ハルに取りつかれてるのは
地縛霊でいいのかな?」
「オレを不孝にしたいみたいだな」
「ちなみに妖怪ってのもあるわよ」
金沢さんが電波なことを言い出した。
今までのが台無し。
<<妖怪って何?>>
ちょっと待て!
ノノンが妖怪って説もあるのか。
そもそも妖怪ってなに?
「ハハハ。
それは流石にマンガの世界でしょ?」
だよな、オレもカイに共感だぜ。
「動物が幽霊になったと考えれば
理解してもらえるかしら。
この場合、人間的思考を持ってない
からメチャクチャするのよ」
なるほど動物の霊。そいうのもあるのか?
「なるほど。部長カワイイ」
カイ!可愛いは余計だろう。
<<へぇ、霊にも種類があるんだね>>
無関係じゃないぞ。
ノノンはどのタイプだ?
「どちらかというと霊関連は専門外なのよ。
知識として持ってるだけ。
ただ、超常現象研究会としては、
細倉くんは見逃せないわ」
オレはサンプルってことっすか?
考えてみれば、超常現象部だもんな。
久しぶりの本格活動なんじゃね。
知らんけど。
オレに会ってみたくなる訳だ。
「どうぉ?該当するのありました?」
オレは悩む。
守ってくれてる感じはしないし。
かと言って危害を加える気はなさそう。
人間的思考を持っていそうだから
「背後霊になるのかも」
<<早く除霊してもらった方がいいよ。>>
つっこまないぞ。