(014) 新たな女子と知り合いに②
◇◇◇ 部室前 ◇◇◇
ついにオレとカイは指定された
309室の前へと立つ。
確かに、立て札に『超常現象研究部』
と記載されている。
何度も前を通てたのに気づかんかったわ。
別館は、理科の実験室、音楽室、調理実習、
第二体育館と利用頻度の少ない教室に
充てられている。
なので普段から人通りは少ない。
お昼となると滅多に人を見かけない
場所でもあるのだ。
<<不気味だよ。お化け出そう>>
オイオイ。お前が言うな。
カイの行動にオレは動揺する。
「ちょっと待て!」
カイがノックせずにドアを開けようとしたのだ。
「待てって!」
「なんだよ。作戦会議か?」
彼女作りに来た訳けじゃねぇ。
「違げぇよ。
いきなり開けるなって話し。
ノックくらいしろよ」
<<そうよ。女子が着替えてるかもでしょ>>
おぉ!ノノン良いこと言う。
「なんだよ。めんどくせぇなぁ」
「着替えてたらどうするんだ?」
「はぁ~、お前アニメの見過ぎだぞ。
着替えてる訳ない」
<<この人なんなの?>>
♪ガラガラ
オレらが揉めているところで
内側から戸が開けられた。
そこに立ってたのは美少女である。
「あなた達の会話、中から丸聞こえですよ」
「金沢さんですか?」
カイが彼女を一目見て、ときめいたのが伝わる。
こんな子、隣のクラスに居たっけ?
<<あら、可愛い子>>
ノノンもそう思うか。
<<この子魔女っぽくない>>
服装のことを言ってるのか?
学校にそんなの居たら大騒ぎだ。
「細倉くん、ですか?」
いえ、そちらは友達のカイです。
「初めまして、岳中 凱人と申します。
カイって呼んでください。
サッカー部に所属してまして・・・」
「やめろ!だれも興味ない」
「挨拶は大事だろう」
「挨拶?何を話をしようとしてる?」
「オレの家族構成とか、人となりをだな」
「バカじゃねぇの」
オレらの会話を聞いてクスクスと笑う少女。
小柄で可愛い。
次はオレに視線が向けられる。
「ごめんなさい。あなたが細倉くんね?」
「あ!はい。細倉です」
<<ハル?鼻の下が伸びてるぅ>>
ヤバい、この子も捨てがたい。
堀北さん命が揺らぐ。
とりあえず中で話しましょうってことに。
部室に入ると思ったよりも中は狭い。
8畳くらいの広さだろうか。
物がなく4人席のテーブルが1つあるだけ。
これって部室といえるの?
空き部屋を勝手に使ってるとしか思えん。
ちょっとがっかりだわ。
超常現象なんちゃら部っていうから
てっきり黒いフードを被った連中が、
ローソクを持って等間隔に並んで立ってる
所を想像してたのに。
「ヤッホー、堀北さん」
「早かったわね。私も来たばかり」
カイのゼロ距離で詰め寄る感じ。
見習いたいわ。
よし、オレも勇気を出すぞぉ。
「どうも、来ちゃいました」
やべぇ、堀北さんと目が合っちゃった。
カワイイ。
やはり、堀北さん一択だな。
<<まだ堀北さん狙ってるの?>>
オイオイ、動揺すること言うな!
「へぇー、部室ってこんな感じなんだ。
イメージと違ってたわぁ」
「カイ!失礼だぞ」
部長が反応する。
「どんな所を想像してました?」
「古い本が山積みになってて、怪しげな
液体がブクブクと泡出てる感じ?」
そうそう、オレもそんなイメージ。
「アハハハ。何それぇ、うける。
魔女の館じゃない?
ここで実験とかありえない。
薬品使ったら先生に怒られるし」
あっぶねぇ。賛同しなくてよかったぁ。
「そうだよ。なに勘違いしてるんだよ。
カイは映画の見過ぎだ」
3人の会話になってる。
堀北さんをボッチにさせてまずい。
「昼休みはいつもここに来てたんだ?」
「そうなの。2年生の時から。
なんとなく今まで続いちゃってる感じ」
「どうりで昼休みは居ないと思ってました」
いいぞ。堀北さんに接近してる。
「ふーん」
なんすか、部長さん?
やめて。そんな目でオレを見ないで。
ノノン、お前もだ!
「メシでも食べながら、お2人関係
詳しく聞こうじゃありませんか」
堀北さんとの会話に入るなよ。
「勘違いするな。
今日はそんな場ではない。」
「ほら、これからちょいちょい
この部室に通わせてもらうんで
いろいろと聞いておかないと」
毎日来る気かよ。
「今日が最初で最後だ。聴く必要ないだろう」
<<そうだそうだ。ハルの言う通りだ>>
「部長さん。
たまに遊びに来てもいいよね?」
そんな質問やめろ。NOって答え辛いだろ!
「えぇ、どうぞどうぞ。」
はい?
「大勢いた方が楽しいですもんね。
なんなら、あなた達もお昼ここに来たらどうです?
どうせ凛心がお目当てなんでしょ?」
「ちょっと変な事言い出さないでよ!」
なぜか堀北さんに飛び火してる。
「オイ、聞いたか?ハル!」
♪パーン
痛ってぇ!
手の平で背中思いっきり叩きやがって。
「ここに来る口実ができたじゃないか!
よかったな。ハル」
ちょっと待った!
オレが来たいみたいになってる。
ふざけんな。
やっと堀北さんと普通に会話できるように
なったのに、気まずくなるだろうが。
「改めまして、ようこそ超常現象研究部へ。
部長を務めます。3年A組の金沢です」




