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(134) 恋は誤解から

◇◇◇ 警察署 ◇◇◇

時刻は19時。


ここは警察署。

岩井さんは先ほど起こった拉致未遂事件

について事情聴取を受けている。

オレは付き添いとして、待合室で岩井さんが

終わるのを待っているところ。


警察署に到着しても、岩井さんの恐怖は消えて

いなかった。

自分の身に危険がおよぶのではと終始不安が

収まらない様子なのだ。

どうやら警官らにも不信感を抱いてる。


そりゃそうか。

岩井さんからしたら、警察もグルでわざと

まかれたのでは?と疑ってもおかしくない。


オレが岩井さんの側にいてやれないのに(いきどお)ってる。

心が壊れてしまいないか心配で心配で。

早く出て来ないか待ち望んていた。


とにかく岩井さんが無事だったのはよかった。

ふと、事件の事を振り返る。

ノノンがオレに助けを求めてきたのが

ファインプレーだった。

幽霊にあんな使い方があったのかと

感心させられた。


駅のホームでノノンが消えた後、

まず最初に取った行動は110番である。

警察を現場に向かわせたのだ。

そして、PMC社に電話し監視を開始させた。

この時点で奴らは()んだのだ。


♪トゥルル、トゥルル


PMCから電話である。

拉致した連中の居場所が特定できたのかな。

襲った6名は1人も捕らえられてない。

わざと(およ)がしている。


「オレだ。何か分かったのか?」

「はい、岩井様を拉致しようとした

 連中のアジトが特定できました。

 彼らは魅華奴(みかど)と名乗るグループで

 新宿を拠点にしております。

 主な収入源はクラブとホテトル嬢の

 斡旋(あっせん)になってます」


「先日から監視してる集団とは別なのか?」

「はい、別の集団であります。

 前回の集団をグループAとし、

 今回をグループBとします。

 グループBは犯行現場でバラバラに

 散らばりましたが、現在新宿の拠点に

 集結しておりす」


どういうことだ?

てっきりオレを襲った連中の仲間かと

思ったのだが。


関係はなくはない。

グループAは、岩井さんのスクープ記事を

取下げに行った日に襲われた。

グループBは、岩井さんを拉致しようとした。

両方とも岩井さんに関係している。


深読みかも知れないが、しばらく岩井さんを

一人にするのは胸騒ぎを感じる。

セキュリティ強化しておく必要がある。


「1つ調べて欲しいことがある。

 芸能トレンド誌の斎藤編集長とグループAに

 つながりがないか調査して欲しい」


恐らく関係ないと思われるが念のためだ。


「了解しました。

 では、何か進展がありましたら

 別途ご連絡します」


諜報員との電話が切れると同時に岩井さんが

姿を現す。

事情聴取が終わったようである。


オレは立ち上がると岩井さんと目が合う。

オレは小走りに彼女の元へと行き、

包み込むようにして抱きしめる。


「もう大丈夫。オレが守るから安心して。

 今日はあのホテルに泊まろう。

 オレが側にいるから」


あれ?

いやらしい感じに捕らえられたらやだなぁ。

岩井さんの弱みに付け込んで、エロいことを

しようなんて1ミリも考えてませんから。


今日は1人にしらがダメだ。

もし、断られたらノノンに変わってもらおう。


岩井さんの答えはYESであった。

無言で首を縦に振ったのである。

よかった。


「アーツの社長が休養を発表した。

 仕事はしばらく休んだ方がいい」


やるじゃないかアーツの社長。

今回の事件で、岩井さんは世間的には注目の的。

報道番組等からオファが殺到しただろうに。

タレントを大事にする良い事務所じゃないか。


◇◇◇ ホテル ◇◇◇

時刻は21時。


オレと岩井さんは無言のままホテルに到着する。

なぜ、オレが黒服と共に行動してたのか。

なぜ、岩井さんを見つけることが出来たのか。

移動の間、問い出されることはなかった。

まぁ、聞かれても返答できないので

困るだけなのだが。


そして、最上階のいつもの部屋へと入る。

すると。


「ハル、お帰り」


バスローブ姿のニーナことノノンがそこに居る。

なんてタイミングが悪いのだろう。

ちょうど、お風呂から上がったところで、

オレが返ってきたから出迎えたようだ。


最悪だ。

ノノンが居ることをすっかり忘れてたわ。

しかし、はしたない格好だな。


「ちゃんと着替えて出て来なさい」

「なぜニーナちゃんがここに居るの?」


おっと、そうだよね。

これは説明が面倒だぞ。

ニーナとハルには接点がない認識のハズ。


「ハルとここで暮らしてるの」


バカ!

ノノンの奴、余計なこと言うなよ。

誤解されるだろう。


「お邪魔しました」


岩井さんは頭を深々と下げ、

急ぎ足で出てってしまったのである。


ほら。

岩井さんを1人にさせてはダメだ。

連れ戻さないと。

オレも追いかけることにした。


「待って!誤解です」


岩井さんは、エレベータの前に立っている。

目を合わせてくれない。

しかも説明できん。


「オレが好きなのは岩井さんなんだ。

 彼女になってください」


やべぇ、言っちまった。


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