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(132) 岩井さんとノノンがピンチです①

◇◇◇ 代々木公園 ◇◇◇

それは突然訪れた。


時刻は夕方5時。


岩井さんとノノンの対談が終わり、

仕事帰りに2人は代々木公園に立ち寄り、

散歩してた時である。


突然、道を塞ぐようにして前後3人づつの

不良どもがノノン達の前に現れたのである。

彼らの容姿は20代前半と若く、

服装、顔つきからしてガラが悪い。

どうしてそんな奴らがこんな場所に?

野郎どもは全員、岩井さんに目線が集まってる。


少し離れた所から監視していたニーナの

ボディガードが危険を察知し、腰に装着してる

緊急アラートを発信させ彼女らの元へと駆けつける。


「貴様ら何者だ?」


ボディガードは後方3人の更に後ろに位置してる。

どうも分が悪い。


「お!ヒーローの登場ですか?」


こちらはボディガード1人に対し、相手は6名。

しかも女子が挟まれているときてる。

どう考えても守り切れない。


周囲は異様な光景に立ち止まる者もいる。

だが、それは喧嘩のようにも、撮影のようにも見える。

なので、警察を呼ぶべきか判断できない。

せめて女の子たちが助けを求めてくれれば

確定するのだが。


不良グループのリーダーらしき者が発言する。


「我々と一緒に付いて来てもらいたい。

 言うことを聞けば手荒な真似はしません。

 約束する」


前後の不良グループがニヤつきながら

ゆっくりと女子達に近づく。


「仲間を呼んだぞ!そのまま立ち去れ!」

「それじゃあ、急がないとだと」


ボディガードが脅しを掛けるも、

野郎どもに焦りがない。


そんな時である。

ノノンが恐怖の絶頂に達したのか、

突然意識を失い足元から崩れたのである。


「きゃぁ~」


岩井さんは、ニーナの倒れた姿に悲鳴を上げる。


◇◇◇ 渋谷駅 ◇◇◇


そのころオレはというと、アイミー達との

バンド練習が終わって、山手線のホームで

電車を待っているところであった。


<<ハル!>>

「うわぁ。だから脅かすなって!」


突然ノノンが出現したのだ。

思わず大声を出したせいか、

周囲の視線がオレに集中する。

もう最悪。


なんども脅かしやがって。

しかもこんな場所で。

流石に頭に来た。


<<助けて!>>


ノノンの表情がいつもと違う。

ただならぬ事態であることをオレは察した。


「どうした?何かあったのか?」


オレは、ホームの人気の少ない隅へと

移動しながら会話を続ける。


<<変な人達に囲まれてるの。6人もいる。

 何されるか分からない。助けて>>

「岩井さんも一緒なのか?」


ノノンは激しく何度も首を上下する。

オレは携帯を手に取り電源を入る。

一刻も早く対処しなくては。

最悪な事が頭を過り、背筋に悪寒が走る。


「そいつらの言う通りに従え。いいな?

 絶対に抵抗したり罵倒したりするなよ」


これは2人に対して危害を加えさせないためだ。

そいつらの言う通りにすれば、

その場で手を出すことはないだろう。


「あと、出来るだけ時間を稼げ」

<<分かった>>


携帯でノノンの位置を確認。


「後はまかせろ。戻りなさい」


ノノンがオレの前から消える。


◇◇◇ 代々木公園 ◇◇◇


「ニーナちゃん」


ニーナは仰向けに倒れピクリともしない。

岩井さんはその姿を見て全身に震えが走る。

だって、気を失ってるとかでなはない。

死んでるようにしか思えないからだ。


「ニーナちゃん」


岩井さんがしゃがむ格好で、ニーナの手を取り

必死に語り掛ける。

前方の3人が岩井さんの元で見下ろす。


「お友達はどうしたのかな?

 早く病院に連れってた方がいいと思うよ。

 オレ達が運んであるげるから」

「結構です。救急車を呼びますから」


岩井さんが携帯を手にすると、

不良の1人が岩井さんの手首をつかみ、

携帯を操作させないようにする。


「何をするんです。

 やめてください。放して!」


ボディガードを確認すると、後ろの3人組に

ボコボコにされ地面に倒れるところが目に入る。

ノノンも微動だにない。

岩井さんは1人、この場に残されたかような

感覚に陥る。


野郎どもに岩井さんは腕を引かれ

強制的に立たせられる。


「ニーナちゃん。ニーナちゃん」


後方の3人も合流する。

ボディガードは倒れてる。

だが微かに動く姿を見て、生きていることが

把握でき安堵する。


「急げ!こいつ (ニーナ)も運べ」


ニーナが目を開け、眼球だけを動かし

不良の1人と目が合う。

その不良は恐怖を覚える


「だれか~、ん~ん」


岩井さんは激しく抵抗し、大声を出そうとするも

口を押えられ周囲に助けを呼べない。

岩井さんの目の前にナイフがチラつく。


「ん~、ん~」


岩井さんはそれを認識し、更に激しく暴れる。

ノノンは上半身を起こし、博士の言葉を思い出す。


「岩井さん、落ち着いて。

 この人達の言う通りにしましょう」

「お友達が、あぁ言ってますけど!?」


「岩井さん、暴れても、暴れなくても

 結果は変わらないから」

「分かってるじゃねぇか」


ノノンは落ち着いた素振りで立ち上がり、

自身の服をパンパンとはたき汚れを落とす。


「外国人は(きも)が座ってやがる。

 言う通りにすればオレ達だって手荒な真似はしない」

「で?立ち話ではないですよね?

 どこに向かえばいいのかしら」


「話が早い。

 あそこの白いワンボックスカー

 まで歩いてもらえます?」


「ん~」

「その前に岩井さんを放して下さい」


野郎どもがニーナの考えを察したようで

2人に刃物を見せて説明する。


「もし、大声を出したり逃げたりしたら

 お友達を刺すので気を付けてください」


それを聞いて岩井さんは首を微かに縦に振り

抵抗をやめる。


「いい子だ」


岩井さんは解放され、ノノンに抱きつく。


「今は言うことを聞きましょ。ね?」


ノノンが岩井さんに説得する。

周囲も流石に女の子達が絡まれてると

理解したが怖くて近づけない。


気付くと見物人が多い。

見かねてリーダーが周囲に説明することに。


「ただの痴話喧嘩だ!

 見世物じゃねーぞ!あっち行け!」


あまりの迫力に、周囲は視線をそらし

逃げるようにして散らばる。


ノノンと岩井さんは目と目で会話し手を握る。


「では参りましょう」


ノノンと岩井さんは身を寄り添いながら

ゆっくりと歩き出し、彼女らを中心に

6人に囲まれる状況で進むことに。

ノノンの後ろはナイフを握ってる。

どう考えても逃げ出すことは不能だ。

たとえ隙を見て逃げ出せたとしても

ここは遮蔽物のない広い公園だ、

直ぐに追いつかれるのは明確である。


八方塞がりで野郎どもに従うしかない。

このまま車に乗ってしまったら

何をされるのか分からない。

2人に恐怖が襲い掛かるのであった。


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