(128) ディズニーデートします②
◇◇◇ ディズニーランド ◇◇◇
オレとノノンは入場ゲートをくぐり、
念願のランドへと足を踏み入れる。
「なに、ここ!?」
ノノンは歩きながら周囲を見渡し
自然と笑みがこぼれる。
そんな子供のような反応を示してくれると
連れて来て良かったと思う瞬間であり、
オレのテンションも同時に爆上がりする。
「楽しい」
同感だ。
「別世界だな」
特に、ショーを見た訳でもなく、
乗り物にも乗ってないが、
ただ園内を歩いてるだけで心が躍る。
まさに夢の国に来た感覚だ。
2度目であるものの、前回は夕方だった。
日中の明るい中で見ると別物で新鮮に感じられる。
元々は幽霊のノノンを連れて来る予定だった。
こんな場所があるのを見せてやりたかった。
それはニーナでも変わらない。
同じノノンなのだから。
むしろ、実在している彼女と来れたのだ。
触れることも出来ず、いつ消えるか
わからない存在だった彼女をだ。
思い返せば、こんな嬉しいことはない。
まだ始まったばかりだというのに
既に達成感で満ちている。
オレらは、建物が連ねるストリートを抜け
園内が見渡せる広場へと出た。
「あのお城をバックに写真撮って!」
「写真は取らないんじゃなかったのか?」
「撮るに決まってるよ。
大体、ニーナで写真撮っても誰って感じでしょ?」
「そりゃそうだ」
ノノンの携帯を受け取り、カメラアプリを
立ち上げる。
モニター越しでもノノンが楽しんでいるのが伺える。
「もうちょっと右。OK」
♪カシャ
「写真撮りましょうか?」
通りすがりの男がオレに声を掛けてきた。
オレとノノンのツーショットを撮りますよ
ということ。
男は同い年のように見え、彼女を連れている。
要するに写真を撮り合いましょうってことだ。
「一緒に撮ろうよ」
ノノンがああ言うなら仕方ない。
オレは男に携帯を手渡し、ノノンの元へ。
「良い人だね。
この星の人達はみんな親切だよ」
「そうだな」
ノノンは身体を密着させ自然に腕を組む。
まるで恋人同士のようだ。
堀北さんには見せるなよ。
写真を撮り終えると、礼儀として
オレも『写真を撮りますよ』と声を掛け
交替することに。
その後は、アトラクションを転々と回った。
ノノンが事前に堀北さんから情報を
聞いてくれてたおかげで、何をするか
迷わずにすんだのは助かった。
本来ならオレが事前にチェックして
エスコートしなければならない立場。
次、誰かと来るときは気を付けよう。
ただし、オレら2人はランド初心者。
目的のアトラクションがどこにあるのか、
どう行けばいいかルートが分からない。
それはアトラクションだけに限らない。
お勧めの売り場もそう。
通り過ぎる人達に聞きまくって
行動したのである。
1つ言えることは、みな親切であること。
人によっては通り道だからと連れてって
くれる人までいた。
オレは、この星が好きだ。大好きだ。
治安が良いとか、町が綺麗というだけはない。
みな、親切なところが気に入ってる。
このテーマパーク内に限らない。
お店の店員も含めて町のみんなが親切であふれてる。
それを再認識できた。
趣味が研究で、極力コミュニケーションを
取りたくなかったオレが、こうして人込みで
ノノンを連れて遊びに出るが不思議だ。
人って変わるもんだな。
「パレードやるんだって。ここを通るらしいよ」
「だから、みんな路上に座ってるね」
「オレらも座って見ようぜ」