(124) 部活動②
◇◇◇ 超常現象研究室 ◇◇◇
「次の議題は、ノノンちゃんと
ハルが付き合っているのか?
になります」
「バカじゃねぇの。真面目にやれよ」
女子3人はクスクスと笑う。
金沢さんの笑顔が見れて安心する。
この間でも事件の事が忘れられたと願ってる。
「失礼、読み間違えました。
9月に行われる文化祭ですが、
この部で何をすのか、
または、しないのか?
するなら何をやるのかを
討論していきたい」
「ちょっと待て!
どう読み間違えたら付き合う
うんぬんの話しになるんだ?」
「【文化祭】の漢字を【付き合う】
と読み間違えたというミスです」
聞き流していればよかった。
「聞いたオレがバカだった。進めてくれ」
「アイス屋さん、やりたい」
「ノノンが食べたいだけだろう?」
「そうだよ。いいじゃん」
「夫婦喧嘩は止めてください」
カイの奴、アイミーネタからこっちに変更か。
「飲食は許可が下りないと思う。
あと、お金取るのも無理ね」
「なるほど。だそうです皆さん。
他に案はありませんか?」
なぜ飲食はダメなんだ?
もう遅いってことか。
「ノノンちゃんとハルの破局会見
というのはどうでしょう?」
「文化祭だぞ。誰が見るんだよ」
やべぇ、つい反応してしまった。
スルーするんだった。
「オレが見る。
前日からワクワクするかも」
「カイがこの部室で漫才しろ。
鍵掛けておくから」
「ハルくん、ふざけないで真面目に
考えてください」
「ふざけてるのはカイだ」
女子達はクスクス笑う。
「やらなくて良くない?
部として活動してないんだし」
金沢さんによる後ろ向きの発言。
「私は、このメンバーで何かしたいなぁ。
ノノンちゃんの受け売りだど。
文化祭でも思い出残したい」
女神の発言には破壊力がある。
あぁ、堀北さんに同意見だよ。
「女子3人によるファッションショーはどう?
野外ステージ使ってやろうよ。
オレとハルはカメラマンね」
こりゃ文化祭はなしだな。
「やりたい!」
ノノンやりたいのかよ。
「空気を読め」
「なら男子2人でオタ芸してよ。
ちゃんとサイリューム持って。
女子3人で応援するからさ。
きっと盛り上がるよ」
金沢さんからの反撃だ。
「申し訳ないが、ダンスは苦手で。
カイ!1人で頼むわ」
オレは逃げる。
オタ芸なんてやってられん。
「文化祭だぞ。
オレ1人のオタ芸なんか誰が見るんだよ」
「オレが見て、笑い転げてやる」
カイ!やれよ。
「皆さん、真面目に考えてください。
結論は急ぐ必要ありません。
来週の部会まで、各自で考えておくように」
文化祭の話題は終わり、いつもの雑談タイム
へと突入する。
オレだけ輪に入れず、ただただ聞いている
だけの時間となった。
ノノンの奴は意外とコミュ力が高い。
オレと同じボッチ体質なのに。
おれより皆に馴染んでる。
特に女子3人は仲がいい。
そんな光景を見てるだけで、
なぜかオレは嬉しくなる。
♪キーンコーンカーンコーン
午前の終わりを告げる鐘。
部活は午前中まで。ここで終了だ。
先週のように、みんなでお昼食べようって
話しになったが、金沢さんが用事がある
とのことで解散となった。
ノノンはテスト結果を聞きに、職員室に寄る
とのことで、オレもそれに付き添うことにした。
ということで、オレとノノンは帰宅する3人を
見送るのであった。
そして、オレは下駄箱へ直行し、ノノンが
職員室から戻ってくるのを待つ。
結果をもらうだけなので直ぐに来るかと思いきや
結果30分ほど待たされた。
そして、ノノンの姿が見えたかと思うと
小テストの答案用紙をオレの目の前に差し出す。
「ジャジャーン。どう?どう?」
点数部分がハッキリと見えるよう
答案用紙を少しづつずらして
扇子のように広げて見せつけたのである。
確認するまでもない。ノノンの表情で結果は判明した。
5教科全て80点以上を取ったのである。
目標クリアだ。
「凄いぞ。よくやった」
これでノノンは追加の授業を受ける必要が
なくなったと同時に留年もなくなった。
要するに7月の休みがチャラになったということだ。
「全教科80点以上とれたら好きなところに行ける。
約束だよね?」
「ああ、どこ行きたい?
とりあえず、寮だと旅行に行きにくいから
1週間実家に戻るって事にしとこう」
「博士天才!」
「博士は止めろ」
「お泊りお泊り」
ノノンの浮かれてる姿を見ると
オレまで嬉しくなる。
「ディズニーランドは確定よね。
あと沖縄と北海道も行きたい」
「OK。では、明日ランドに行こう」
「これからどうする?
オレは岩井さんの事務所に行かなければならない」
「ノノンも事務所行きたい。
アイドルさん見たい」
「オレは田中に入れ替わるけど。
ノノンは秘書として別の身体になりなさい」
「全然いいよ」
ということで、ノノンは秘書として
アーツ社へ同行することに。
◇◇◇ アーツファクトリ ◇◇◇
オレは田中の身体でノノンを連れ
事務所の入り口前に立つ。
ノノンも別人に乗り換えてる。
外見はヨーロッパ系の金髪少女だ。
名前は『ニーナ』とした。
どう見ても日本人には見えないので、
日本語しか話せない日本育ちのハーフという
設定とすることに。
「秘書には絶対見えないよ」
確かに。
見た目が10代な上、スーツではなく
その辺のJKと変わらない服装だからね。
「大丈夫、この業界は疑問に思わんから。
泥船に乗ったつもりでいろ」
「それ、ダメってことじゃん」
事務所の扉を開け、中へと入る。
「こんにちわ。こんにちわ。こんにちわ」
ノノンは社員達に次々と挨拶する。
「田中様、お待ちしてました」
1人の女性社員がオレを見て立ち
社長室へ案内してくれた。
そして、社長室へと足を踏み入れる。
「社長、ご無沙汰です」
「田中さん、お忙しいところ
わざわざ足を運んで頂き申し訳ない」
続けてノノンも社長室へ入り、一礼する。
「そちらが新しいタレントさん?」
社長はノノンを見て発する。
ノノンの頭には?マーク。
「そうです。こちらがニーナです」
「ニーナです。よろしくお願いします」
ノノンはオレの顔を見て『説明して?』
と言わんがばかり。
「タレントってどういうことよ!」
ノノンが小声でオレに耳打ちする。