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(118) 岩井さんのこと好きなのか?

◇◇◇ 男子寮 ◇◇◇

時刻は21時。


オレは寮の自室で、特に何かすることもなく

ボーっとしている。

ノノンはテストのため猛勉強中であろう。

ならば今夜は邪魔しに来ないはず。

久しぶりの自由時間でボーっとできるのは

贅沢な気分だ。


♪ピコ


アイミーからのLine。

篠崎さんとのグループLineだ。


篠崎さんの曲にアイミーが歌を入れた

ものをアップしてくれたようだ。

やばい!

そう言えば篠崎さんのアレンジで

曲がどう変化したか聞いてなかったわ。

聞くとするか。


♪ ♪~♪~


ほう、シンセとドラムのイントロ。

カッコえぇ。

オレの要望通りドラムのリズムが心臓に

響く重低音になってる。

へぇ、篠崎さんはこんなのも作れるんだ。

凄すぎる。


アイミーの歌が始まった。

やばい、カッコよすぎる。

リズムに合わせてジャンプしたくなる。

こりゃ、観客は盛り上がりそうだ。


しかし、原曲とは別物なんですけど。

アイミーはどう感じてるのだろう。

前のめりで取り組んでるから考えるな。


♪ツツチチツツ、ツツチチツツ


うわあぁ。岩井さんからのLine電話。

大量に通知があったのに無視してたわ。

どうしよう。心の準備が出来てない。


「はい、細倉です」

「ハルキ?」


「ハルキです。何でしょう?」


怖ぇよ。どんな話する気だ?


「何度も電話したんですけど」


だよね。忘れてました。


「Lineした通り電話無くしちゃって」

「壊れたんじゃないの?」


しまった。

壊れたって事にしたんだっけか?

もう、いろいろあり過ぎて覚えてない。


「ごめん、言い間違えた。

 壊れちゃったんです」

「本当に壊れたの?」


「本当だって。新しい携帯使ってる。

 見せてあげたい」

「なら、今から会いましょう?」


もう21時ですよ。


「まずいって。

 週刊誌にマークされてるんだから」

「どうしてハルキがそれ知ってるの?」


やっちまった。最悪だ。

スクープ知っているの田中だった。

ハルキはまだ知らないはず。

パニックです。


「田中さんから聞きました」

「そうなの」


ふぅ、信じてくれただろうか。


「どこまで聞いてるか知らないけど

 事務所が頑張ってくれたみたいで

 週刊誌の掲載はなくなりました」


掲載されないこと、

岩井さんに伝わってたんだ。

よかった。


「そうなんだ。良かったね」

「ごめんなさい。巻き込んじゃって」


「謝らなくていいよ。

 岩井さん、全然悪くないんだし。

 オレだって同罪だし。

 大体、恋人居たっていじゃん。

 彼氏居ない宣言してないんだから」

「そうかもだけど」


「オレは気にしてないから。

 今まで通り、岩井さんと時間が合えば

 会いに行くし」

「本当に」


まぁ、例の週刊誌からの掲載はもうないと

知ってるから偉そうに言えるんだけどね。


「本当だよ。嘘じゃない。

 その代わり次からはちゃんと変装してくれよ。

 一般人に撮られてSNSに投稿

 される時代なんだからさぁ」

「分かりました。言う通りにする。

 ハルキって大人よね」


やべぇ。オッサン感、出てた?

岩井さん、勘がいいからなぁ。


「だろ!?もっと頼っていいんだぜ」


こうなったら開き直るしかないな。

そして、話題をそらそう。


「1人暮らしはどう?」


あれ?ハルキは一人暮らししてるの

知ってるだっけか?

田中との記憶が混乱してる。


「どうだろう。

 仕事が忙しくて、寝るだけの

 ために返ってるって感じ」


セーフ!


「そっか。料理とかしてるの?」

「仕事帰りは作る気しないから

 コンビニ弁当だよ」


OLと会話してるようだ。

毎日コンビニ弁当か。


「意外と私、料理は得意なんだよ。

 実家の時は自炊してたんだから」


「へぇ、餃子とか作れる?」

「流石に皮は買って来るけど。

 作れるよ。うちに食べに来る?

 頑張って作るけど」


餃子作れるのかよ。

岩井さんの手作りかぁ。

食べてぇ。


「岩井さんのマンションに

 行くのはヤバイって」


正直に言えば行きたいよ。

マンションで二人っきりで岩井さんの手作り。

最高じゃないですか!

でも誰に見られるか分からない。

岩井さんを芸能人にしたのは失敗だったか。

人生最大のミスだぜ。


「時間空いたら教えて。

 また、お昼食べに行こうよ」


スクープ、恐れてるんだろう?

自分で言ってて矛盾してないか。


「いいの?」


岩井さんとのデートは楽しい。

お昼に公園で食べたのが強烈に残ってる。

もう一度、あんなデートがしたい。


オレは、岩井さんの事が好きなのか。

分からない。


付き合いたいと願っているか。

分からない。


どっちなのか自分でも分からない。

この感情は、ボッチな彼女を哀れんでいる

だけかも知れない。


あんな美人がオレなんか好きになる訳がない。

そして、オレは地球人ではない。

これが本気になれない根本原因だろう。


「連絡、待ってる」

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