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(115) 大事な写真がぁ、プンプンです

◇◇◇ PMC ◇◇◇

時刻は深夜2時。


オレはPMC本社である屋敷へと直行した。

目的は、オレを拉致しようとした連中を探すため。


「会長、2台とも移行完了です」


諜報員が新品の携帯をセットアップしてくれたのである。

ハルキ用と田中用の計2台。

PMCにはセットアップすれば直ぐに

利用できるスマフォを数台常備してある。

それを使ったのである。


「素晴らしい。元に戻った」


登録アプリおよび各種設定、アプリ内データ

の復元が完了したのを確認したのである。

Lineのデータもそのまま残っている。


唯一、復元できなかったのは、

アイミーの写真だけ。

あれだけは携帯の中に格納していた。

お気に入りだったのに。

分かっては居たが、フォルダを覗いても

写真一覧は空欄。

オレの怒りは絶頂に達する。


「奴らは見つかりそうか?」

「接触した2名は既に居場所を特定できてます。

 運転手の方は、フロントガラスの反射で

 はっきりと映っていないため特定出来てません」


「まぁいい。

 1人でも見つけられれば上出来だ。

 後は(いも)づる式に捕まえるまで」


検出方法はオーパーツ事件の時と同じ。

顔、身長、仕草から都内の歩行データと比較して

AIが検出したのである。


PMCは警備会社であり、業務の一つに

自宅前や商店街などと契約して

防犯カメラを使って24時間監視する

サービスがある。


それらの監視映像は諜報活動のために

データベースへ記録し保持してる。

また、契約以外でも駅周辺や人通りの多い

主要な場所には監視カメラを複数設置してある。

なので東京都内であれば、いつ誰がどこに居たかを

瞬時に検索できるシステムを持っている。


「仕事が早いねぇ。助かる」

「会長の依頼は最優先ですので」


「連中は何者だ?」

「データベースから彼らの居場所が

 特定出来ただけです。

 何者かは、これから調査員を

 現地に送り調べさせます」


「頼む」

「見つけ次第、確保致しますか?」


「いや、監視するだけでいい。

 奴らの交友関係を調べてくれ。

 オレを襲った連中は明らかに下っ端だ。

 上の指示に従って動いたものと推測される。

 オレを捕まえるよう指示した

 親玉(おやだま)を見つけ出したい」

「了解しました」


今回はいろいろと引っかかる点がある。

なぜ市川を拉致しようとしたか?だ。

誰かに会わせたかったのか、それとも

拷問して情報を取りたかったのか。


直近で市川の身体で行動したのは

オーパーツの件でTOKYOギャラリ本社に

乗り込んだ時のみだ。

となると怪しいのはTOKYOギャラリ。


だが、なぜあの時間、あの場所に

市川が居たことを把握できた?

しかも待機していたとしか思えん。

なぞだ。


「念のためギャラリの連中が

 歌舞伎町近辺に出没してないか

 チェックしてくれ」

「ここ1週間は現れてないですね。

 今後も彼らの同行も調べておきます」


オレからアイミーの写真を奪ったことを

後悔させてやる。


◇◇◇ 大手出版社 ◇◇◇

時刻は午前10時。


昨夜に引き続き、このビルへとやって来た。

今回は田中の身体を使って、社長との面会だ。

名目は、スクープ記事について。

アーツ関係者という立場で伺う。


弱小事務所が大手出版社の社長と面会など

簡単にはできない。

だが、田中の身体は便利だ。

出版業界および芸能関連では有名人なのだから。

昨日も田中で伺っていれば話が早かった

のかも知れない。

たらればを言い出したらきりがない。

田中の身体を死なせずに済んだと前向きに

捉えよう。


周囲にはSPを配置させている。

身体には発信機を設置。

陰で狙っている野郎ども、

来るならいつでもどうぞ。


そして、ビルの中へ。

フロントの受付嬢と会話。

秘書に案内され、最上階の社長室へと辿り着く。


♪コンコン


「失礼します。

 田中様をお連れしました」


ついに社長室に足を踏み入れる。


「これは田中さん、お待ちしておりました。

 どうぞ、こちらへ」


社長はオレを見るなりデスクから立ち上がり

フレンドリーな感じで近づいて来る。

このオッサン、キモイんだけど。


「初めまして、ですよね?

 アーツの田中です」


確か初対面だったはず。


「私が一方的に存じております」


オレのファンか?

最近、目立った活動してませんけど。


「座って話を伺いましょう」


オレと社長はソファに座り、

秘書は一礼して退出する。


「アーカイブ社の件で田中さんには

 感謝しているのですよ」


アーカイブ社?

あぁ、日本最大の出版社だった会社だ。

だったというのは、オレが潰し掛けたのだ。

世界を巻き込んで流通を一時的に停止させた過去がある。

会社はなんとか持ち直したのだが、その影響は大きく

結果シェアを下げることとなった。


「あの事件をきっかけに弊社は業界2位まで

 上り詰めることができました」


なるほどね。

あの事件の恩恵を受けたのか。


「現在はアーツ事務所に

 所属されておらるのですか?」

「アドバイザーとして関わっております。

 現在、詐欺事件で話題となった所属タレントの

 ユーリをサポートしている次第です」


「なるほど、だからスクープ記事の件で

 田中さん自ら動いでるのですね?」

「ご理解が早くて助かります」


「分かりました。

 何か交換条件を提示して頂ければ

 社長権限で掲載を取り下げさせましょう。

 こう言っては失礼ですが、

 大した記事でもないですし」


だよね?大した記事じゃないよね。

岩井さんはまだ世間的な知名度は低い。

なぜターゲットにした?

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