表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/249

(114) 異世界転生します

◇◇◇ ??? ◇◇◇

全身が痛い。

オレは背後から車に跳ねられた。

あいつら殺す気かよ。

運が良かったのか生きてる。

オレは生きてたぞ。

やばい、逃げないと奴らに拉致られる。


オレは目を開く。するとどうだろう。

驚くべき光景が目に飛び込む。


どこだ、ここ?


オレは仰向けに倒れている。

周囲を見渡すもモヤがかかって先が見えない。

地面は石畳のようだ。

どうやら室内ではなさそうだが、

先ほど居た場所ではない事だけは理解した。


もしかして奴らに捕まって、ここに運ばれたとか?

奴らの敷地内かも知れない。

人声が聞こえないところを見ると

近くにだれも居ないようだ。

今のうちに逃げるとしよう。


(いた)たた。

オレは痛みをこらえ、身体を起こし立ち上がる。

前後左右にモヤが掛かっていて、

どちらに進むべきか判断しかねる。


さて、どっち方向に進むかだ。


「迷える子羊よ」


だれ?

声のする方向に振り向くと、前に一枚布を(まと)った女性が

椅子に腰かけている。

いつからそこに居た?

オレはまだ一歩も動いてないぞ。


「私は女神です」


女神?天使の次は女神かよ。

ノノンなのか?いや違うな。


「あなたは車に跳ねられて死亡したのです」


死んだ?オレが?バカな。

息をして、こうして立ってますが。

()てて。


「そして、ここへとやって来たのです。

 あなたには2つの選択肢があります」


あれ?知ってるぞ、このシチュエーション。

最近流行っている異世界ものでよく登場する

シーンではないか。

本当に存在するんだな、こんな場所が。

話しの流れは知っている。


「魂を浄化し、昆虫となって生まれ変わるか、

 現在の知識を持ったまま異世界へ転生するかです」


はぁ?

それって異世界一択しかないじゃん。


「質問していいか。

 異世界を選択したら魔王を倒せってことか?」

「いえ、あなたが魔王になってもらいます」


はぁ?


「魔王?勇者じゃなくて?」

「そうです。

 魔王が倒されたため、補充です」


はぁ、補充?

勇者に倒されたから魔王に転生しろってか。

平和な世界になったんだろ?

魔王を生み出す意味が分からん。


「あんた、勇者と魔王の両方を

 送り込んでるってことか?

 いったい何を企んでる」

「暇だから観覧してるのよ」


「バカじゃねぇの」

「では異世界決定ですね。行ってらっしゃ~い」


うわぁ~~~


オレの足元に直径2mほどの穴が開き、落とされた。


・・・

・・・

・・・


◇◇◇ 研究室 ◇◇◇

目を開けると天井が見える。

ここが異世界なのか?


周囲を見ると機器が敷き詰められている。

見覚えのある風景だ。

隣にベッドがあり、ノノンが横たわっている。

オレの研究室じゃねぇか。


女神のあれは夢かよ。

なんだあの女神。

全身が痛い。

怪我はどこにもないが痛い感覚だけが残ってる。


あ?

オレはガイヤ (地球)で死んだ。

あいつら何者だ?

やばい、急いで戻らないと。

田中を選択して再ダイブすることに。


「あれ?」


男性の研究員がガラス張りのダイブ室を見て

博士が動いたことに気付いく。


「どうしたの?」


女性の先輩が反応する。

時刻は深夜。

研究室には2人の研究員が残っている。

明日の朝に提出する資料作りのため

徹夜覚悟で作業していたのだ。


「博士が戻って来た」


2人して自席からガラス張りダイブ室を

眺めるも博士はピクリとも動かない。


(いた)っ!」


先輩が立ち上がり後輩の頭部を拳骨で叩く。


「ちょっと!

 怖いこと言わないでって言いましたよね?」


先輩は両手を腰に当てて、

眉間にシワを寄せて後輩をにらむ。


「本当に動いたんですよ」

「だからそういうの止めてって!」


◇◇◇ 発着室 ◇◇◇

時刻は深夜0時。


とあるマンションの1室。

リビングに7つの(ひつぎ)が設置された部屋がある。

人の気配もなく異様な空間と化してる。


♪ウィーーン


突然1つの棺のフタが開く。

中には田中が横たわっていた。

目を開けると同時に起き上がる。


「戻って来た」


こんな時間か。

殺されてから3、4時間経過している。

1分ほど生死をさまよってたってことになる。

なるほど、女神は三途川(さんずのかわ)にいるね。


オレを殺した連中は何者だ?

心当たりがない。

しまったハルキの携帯をあの場に置き去りだ。

奴らに奪われたかもな。

警察に持って行かれた可能性もある。

どちらにせよ回収は不可能だ。


アイミーの写真だけが取り戻せない。

お気に入りだったのに。

くっそ、暴れたい気分だ。

異世界に行って魔王になるのもありだな。


<<博士、よかった無事で>>

幽霊のノノンが現れた。


「オイオイ。オレに何かある訳ないだろう?」


<<そうだけど>>

「この通り、元気だ。

 明日学校だろ?もう寝なさい」


<<お母さんみたい>>

「ここではオレがノノンの保護者だからな」


<<寝るわよ。

 聞いていい?あの人達は何なの?>>

「知らん。突然襲われた。

 これから奴らを探し出す」


<<あの人達には腹立ちます。絶対見つけ出して>>

「あぁ、任せろ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ