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(109) 篠崎さんを復活させます①

◇◇◇ 渋谷 ◇◇◇

時刻は17:00時


オレは、渋谷の駅周辺をあてもなく散歩してる。

興奮を抑え、落ち着かせるためだ。


つい先ほど、アイミーと2人だけのカラオケ。

フォークギターによる生歌を聴いたのだ。

30分ノンストップ。

5,6曲は歌ったのではないだろうか。

たった1人だけの観客。

なんて贅沢なのだろう。そりゃ興奮するよ。


岩井さんに知られたら激怒されるな。

演奏後、アイミーには感想を伝えてない。

次の仕事があるということで、会話する間もなく

急いで店を出て行ってしまったのだから。

感想はLineでちょうだいとのことだが、

聴いていたいたオレの表情で全てを理解しただろう。

あの感動を文章にするは難しい。

なんて返そうか。

路上を歩きながら、それを考えていた。


<<こういう時、呼んでよ。

 ハルだけズルい>>


ノノンのことを忘れた。


「アイミーと面識ないだろう?

 幽霊のノノンで呼べばいいのか?」

<<ノノンは天使です>>


「天使じゃない」

<<天使です>>

「あぁ、そうですか」


オレは浮かれ過ぎだ。

ノノンのサポートでガイヤ (地球)に来てるというのに。


「ノノンはオレじゃなく、金沢さんか

 堀北さん誘って女子会しろよ」


先に部活メンバーと仲良くなりなさい。


<<今日は学校帰りに堀北さんと待ち合わせして

 ジムに行って来たよ>>


乃々(ののか)としてジム行くの、初か。

ちゃんと交流してるんだな。偉い偉い。

ジム、オレも行きたい。

堀北さんもリミッタが解除されて

そろそろ本気出すころだし。


<<博士が寮にいると思ったら、

 怪しい所に居るんだから>>

「歌を歌う場所だ。

 アイミーの生歌よかったろ?」


<<アイミーさん、歌もそうだけど

 ギター上手よね>>

「演奏の感想だけど。

 アイミーへのLineどう書いたらいいと思う?」


<<思った事を返せばいいじゃん>>

だから『すごい』とか『うまい』しか

浮かばないから困ってるんだろうが。

アイミーはそんな回答など望んでいない。

むしろダメ出しして欲しいと願ってるはず。


1つあるとすれば、全部同じ曲に聞こえたかな。

せめて曲ごとに音色が違うとかあればいいのに。


おや?名案が思いついた。

アイミーには申し訳ないが、

この状況を使わせてもらう。

オレはアイミーにLineで、ネガティブと

ポジティブな感想を伝えた。

続けてネガティブな感想について、

ある実験をしたいと伝えたところ

快く引き受けてくれることに。


スケジュールを聞いたら、明日は午前10時まで

明後日は22時以降なら空いてるとのこと。

とりあえず、明日の午前をキープ。


オレが何を考えてるかというと、

篠崎さんをアイミーの演奏者として

引きずり出したいという計画だ。

このままピアノを終わらせるのはもったいない。

プロにならなくても、10年の努力は

無駄にさせたくない。

これからはコンクールを気にせず

楽しくやればいいんだ。


だが、単純に演奏をお願いしたところで

確実に拒否られるだろうな。

なので別のアプローチで攻めることにする。

オレは篠崎さんにLineした。


Line>明日の午前中。

   8時から10時空いてます?

   緊急でお願い事があります。

Line>緊急って何?


内容を聞いて来たということは

身体が空いてるということだ。

さて食いついてくれるかどうか。


Line>アイドルの北篠(ほうじょう) 愛美梨(えみり)さん。

   知ってる?


・・・


ん?反応がない。

既読になってますけど。


・・・


Line>知らないけど。

   調べたら2人組のアイドルなんだね。

   来月の武道館ライブで卒業発表する

   かで話題になってるみたい。

   その人がどうしたの?


すばらいい。検索してたのね。

話しが早くて済む。


Line>その人と友達なんだ。

   ここだけの秘密にして欲しい。


Line>本当なの?

Line>本当です。絶対に秘密でお願いします。

   武道館ライブで卒業発表するかもって

   記事は事実です。

   ソロの歌手を目指ざしたいんだって。

   これも内緒ね。


良いのか、教えてしまって。

誰にも言わないからオレに伝えたのではないのか。


Line>嘘のような話ね。

   細倉君はなぜその人と知り合いなの?

Line>それは明日説明するよ。

   その愛美梨が、自分で作詞作曲

   してるだけど。


ここまでの会話で興味を持たれたはず。

前置きは終わりだ。

本題に入る。


Line>お願いというのが、

   アレンジする人を探してるんだ。

   要するに曲作りを内緒で手伝って

   くれる人を募集してる。


さぁ、どうだ?

演奏してくれとは言っていない。

曲作りを手伝って欲しいと言ってる。

篠崎さんの得意分野でしょ。

オレはその才能をストリートピアノで

見せつけられた。


Line>私じゃ無理だよ。

   プロに頼んだ方がいい。


そう来たか。正論です。


Line>愛美梨が個人的に趣味で作った曲でして

   発売するとかじゃない。

   遊びの延長だと思ってくれていい。


どう?あと一押しか。


Line>知り合いでアレンジできる人って

   篠崎さんしか思いつかなかった。

   ダメですか?

Line>ダメじゃないけど、私にできるかなぁ。


揺らいでる。これはもらった。


Line>別に発売とか考えてないから。

   愛美梨にインスピレーションを

   与えて欲しいだけ。

Line>分かりました。


OKってことだよね。

よし、強引に行く。


Line>明日の8時から10時です。

   キーボードは用意しますので

   手ぶらでスタジオに来てくれればいい。

   渋谷駅で待ち合わせしましょう

Line>分かりました。

   何てスタジオ?


来たぁ。勝った。


Line>後でリンクします。


<<ノノンは?>>


え!来る気?


「幽霊で参加するの?」

<<天使です>>

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