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6話、初めての迷宮とライの作った武器

迷宮を下りて行く。石が積まれて照明がある。薄暗さはあるものの分からない程では無いようだ。迷宮の通路は広い方なのだろうか?僕は初めての迷宮なのでよく分からない。


「この迷宮の広さはどれくらいの規模なんてすか?」


「そうねえ。今、歩いてる通路は広い方かしら。人が横に4人並んで歩けるから。」


「そうだね。ボクも同じ意見だよ。どんなモンスターが出てくるか聞いてるかい?」


ティファの足が止まる。それに合わせて、皆も止まった。

すると、オークが姿を見せた。棍棒を持つタイプが5体のようだ。


「偵察部隊のようッスね。どうするッスか?対処は難しく無いッスけど。」


「もちろん、倒すわよ。お肉がおいしい物!」


僕は呆れてしまった。アイシャも同じようだ。


「じゃあ、ティファの撹乱。ステラとライは隙を見て攻撃をよろしく。ボクは残りを魔法を撃つよ。」


「アイシャ、凍らせると助かるわ。鮮度が良くなるから。」


ステラはぶれない。僕は感心していた。僕の表情にステラは気付いたらしい。ティファがガントレットを構え、突っ込んでいく。オークは突然の出来事に対応が出来ないようだ。

オークの棍棒を華麗に躱しながら攻撃を当てていく。


「ライ、行くわよ。大丈夫よ。私やジャミルとの経験は無駄にはならないから。」


「分かりました。やれるだけ、やってみます。」


僕はステラの後に続いた。オークはティファの動きに翻弄されていた。もちろん、僕らの気配に気付かない。僕はミスリルソードを抜いてオークを斬った。


「ドサッ!」


えっ、ほとんど斬った感触がない。驚いているとティファも同じ表情をしている。ステラはというとあっという間に4体を斬り伏せていた。その表情は嬉しそうだ。


「ライ、何を驚いてるのよ。これくらいは当然よ。」


「ティファ、それくらいで驚いていたらダメだと思うよ。

それだけ、ライの作った武器が凄いのは当たり前だと思うんだ。だって、レベルMAXなんだよ。」


アイシャは鍛冶スキルがMAXなのを覚えていたようだ。

ステラはオークの解体を始めていた。僕の作った解体用の鉄のナイフだ。切れ味も申し分ない。ティファは羨ましそうにステラのナイフを見ていた。


「そのナイフも切れ味抜群ッスね。それも作ってもらったッスか?」


「そうよ。最初に解体等に使えるナイフをお試しで作ってくれたのよ。予想以上に切れ味がいいわね。」


僕は解体の知識がない。いずれは、解体も出来るようになりたいと思っている。自分用の鉄のナイフをティファに渡すことにした。


「ティファさん、この鉄のナイフを使って下さい。ステラさんの物と同じものです。」


「本当ッスか?いいッスか?ありがとうッス。」


ティファのテンションが凄い。まだ、渡せてないのだが。

鉄のナイフをティファに渡した。ティファのテンションが更に上がった。いや………、上がりすぎた。


「凄いッス。本当に凄いッス。やったッス。」


物凄く喜んでいる。ここは迷宮だよね。モンスターに気付かれないかな?アイシャは呆れている。ステラは気にする事なく解体している。しかも、終わりそうだ。


「ティファ!いくらモンスターの気配がないからって、はしゃぎすぎだと思うんだ。」


「ティファ、喜んでいる所に悪いけど解体終わったわよ。」


本当だ!解体が終わってる。今度はティファがショックを受けている。とても、不満そうだ。でも、ティファの表情がコロコロ変わって面白い。


「何で、終わらせるんッスか?酷いッス。あんまりッス。」


「何を言ってるのよ。まだ、始まったばかりじゃない。

それにしても、ライは楽しそうね。」


確かに楽しい。なんだろう?この緊張感の無さ!アイシャは変わらずティファの行動に呆れている。そして、ステラに近付いて行く。空間に穴を開け始めた。


「この空間にオークの素材を入れてよ。」


「なんですか?その空間?」


僕は初めて見る空間に声を出していた。魔法の一種なのだろうか?それともスキルかな?

アイシャは僕の表情を見て笑い始めてしまった。そんなに変な顔をしているだろうか?


「フフフフ!魔法で空間に荷物を入れられるようにしてあるんだ。ボクは魔力も多いから結構な量が入るよ。」


ステラとティファは空間に素材を入れていく。ティファの探知に何か引っ掛かったようだ。ティファが警戒を始める。


「まだ、先ッスけどモンスターがいるッス。それにしても、一本道ッスね。これだと迷わなくていいッスけど。」


ティファが言うように、一本道になっている。なので、モンスターの方へ進まなくてはならない。そのまま、前進を続けた。普通の迷宮は違うと言うことかな?まあ、迷宮という位だからある程度迷うように出来ているのか。ステラは僕を見て察したようだ。


「ここの迷宮は珍しいわね。本来の迷宮は迷いやすいもの。だから、ティファのようにスキルで頭にマップが浮かぶ人が欠かせないのよ。それでも、ティファのように優秀な人は中々居ないけど!」


「オークが、いるッスよ。数は7体ッス。」


ティファがモンスターを教えてくれる。でも、ティファはステラの説明で嬉しさを隠しきれてないようだ。

ティファが牽制していく。僕とステラは一刀の元に斬っていく。今回も数は多かったがすぐに決着が着いた。

ステラとティファが解体をしていく。僕は1つ疑問に思った。


「オークなんですけど、こんなに簡単に討伐出来るんですか?」


「まさか!こんなに簡単にはいかないよ。ライの作った武器が良すぎるんだよ。一刀両断出来る武器は中々手に入らないんだよ。普段は、ボクも魔法で援護するからね。でも、今回はその必要が全く無い。」



解体が終わったようだ。2人だったからかさっきよりも早い。


「アイシャ!空間魔法をお願い!」


アイシャはすぐに空間魔法を展開。簡単に収納されてしまった。ティファはというと解体後の余韻に浸っている。とても気に入ったらしい。

今の戦闘で気付いたのだろうか?オークよりも重い足取りで近付いて来る気配があった。

ティファが我に返って、臨戦態勢になった。


「オーガが来るッス。でも、さっきまで居る気配がなかったッス。」


「まあ、いいじゃない。オーガを片付けてから原因を調べましょう。」


オークよりも大きいモンスターだ。オークも人間より1.5倍程大きい。そのオークよりも更に1.5倍程大きいのでは無いだろうか?手に持っているのは石斧だろうか?物凄い勢いでステラに振るわれていた。


「スパッ!」


石斧の柄の部分から切られている。そのままの勢いで、オーガを攻撃していく。流石にオークのようにいかない。

それでも、2本の剣で瞬く間に斬ってしまった。まるで、舞を見ているかのような剣捌きだった。


「流石にオーガは硬いわね。でも、魔法剣のお陰でとても戦いが楽だったわ。この近くに何かあるかしら?さっきまでオーガの気配がなかったのよね。」


ティファは探知スキルを強くした。すると、近くの壁が怪しいらしい。近付いて手で触れた。すると、手が通り抜けてしまう。そのまま中に入ると結構な広さの部屋があった。

僕らの居る場所の反対側に魔方陣らしきものが光っている。


「ステラ、アイシャこっちに来るッス。魔方陣があるッス。」


魔方陣の方を指差し、警戒している。ステラとアイシャは合流し指を差した方を見た。アイシャも警戒を強めた。

魔方陣の光が強くなり、モンスターが現れた。オークともオークもとも違う。物凄い威圧感だ。


「何で、魔方陣が使えるのかしら。この迷宮は魔法阻害されてるから魔方陣も発動出来ないはずなんだけど。」


「この部屋だけ特殊な作りになってるッス。だから、魔法も使えるッス。それよりも来るッスよ。ゴーレムッス。しかも、魔鉄のゴーレムッス。」


色の黒いゴーレムが現れた。しかも、その異様さが分かる。魔方陣の魔力を吸っている。程なく、魔方陣は消えてしまった。


「ライ、援護をお願い。ティファ、行くわよ。アイシャはいつも通りでお願いね。」


ティファとアイシャはアイコンタクトで交わしている。

僕は返事をしつつ、武器を取った。でも、とても違和感がある。このゴーレム、最初の威圧感が無いのだ。その代わり、背筋が凍りそうになっていた。


「ライ、大丈夫だよ。ゴーレムの動きをしっかり見て動くんだ。必ず戦える。それにあのゴーレムを倒すと魔鉄が大量に手に入るから、ボク達の装備作りよろしくね。」


アイシャの励ましで僕はテンションを上げた。正確には大量に手に入る魔鉄なんだけど。剣を握り直しゴーレムに向かう。


「アイスボール!」


後ろからアイシャの氷魔法が飛んでいく。凍らせて動きを封じるみたいだ。ティファはゴーレムの攻撃を躱しながらアイシャや僕に攻撃が向かないようにしている。


「キン、キン、キン、キン、キン、ドサッ!」


ステラの舞うような攻撃に右腕が落ちた。肩の付け根を連続で斬ったようだ。その直後アイシャの氷魔法がゴーレムの足元に当たり凍らせていく。


「パキパキパキパキ!」


凄い!ゴーレムは左腕を振り回すが足が凍っている為、ステラとティファには届かない。僕はゴーレムの左腕の付け根に向かってミスリルソードを振った。


「キーン!ドサッ!」


えっ、斬れた?僕は斬れた事に驚きを隠せない。続けてステラが胸の魔石を斬った所でゴーレムは崩れ落ちた。


「ライ、動きが良かったわよ。そのミスリルソード、切れ味が凄いわね。普通、付け根を斬っても1回では斬れないのよ。」


「確かに凄い切れ味ッス。ライに作ってもらう装備が楽しみッス。」


「早く素材をボクの空間魔法に入れて先を急ぐよ。」


アイシャが空間魔法を展開しながら近付いて来た。何か気になる事があるのだろうか?ゴーレムの素材を回収し元の通路に戻った。

一本道を進んでいく。ティファが止まり、モンスターの気配を感じとったようだ。


「モンスターが現れたッス。今回も魔方陣の転移かもしれないッス。」


今度は2体のオーガが現れた。その時、魔方陣は消えてしまった。多くのモンスターは転移して来れないのだろうか?初めての迷宮探索なので、僕としては助かるけど。


「ライ、行くわよ。」


「ステラさん、了解です。」


僕はステラと共にオーガに向かっていった。オーガもこちらに気付き棍棒を叩き付けてきた。先に進んでいたステラがオーガの攻撃を躱し奥のオーガに向かった。

僕は手前のオーガに攻撃をしていく。棍棒を持つ腕をミスリルソードで斬り飛ばした。


「ザシュッ!」


その後、ステラのように連続で斬っていこうとした。オーガの左ラリアットが僕に当たる。僕は防御出来ずに飛ばされた。そのまま、壁に激突する。


「ドゴッ!ガラガラガラ。」


壁が崩れた。崩れた先には部屋が広がっている。

僕はというと、壁が崩れた事によってそこまでダメージはなかった。


「ライ、大丈夫。回復魔法は必要かな?」


「ありがとうございます。回復魔法は必要無いみたいです。」


僕はアイシャにお礼を言いオーガの方を向いた。そこには倒されたオーガが2体あった。ステラにとって簡単な相手のようだ。僕に気付いて駆け寄ってくる。


「ライ、本当に大丈夫?無理だけはしないでね。」


「ステラさん、本当に大丈夫ですよ。それよりも、この部屋は何でしょうか?」


何もない部屋が広がっている。そんなに広くなく目視でもすぐに分かる程度の部屋だ。この迷宮は僕がダメージを受けづらいようになっているのだろうか?普通は壁に激突したらダメージも大きいと思うんだけど。


「何もないなら先を急ぐッス。早く、聖霊王を回復させないといけないッス。」


「そうだね。この迷宮の事は後でノウムに聞けばいいと思うんだ。所で、どのくらいで着きそうかな?」


アイシャはティファに同意した後、質問していた。ステラも気になるようだ。迷わないように一本道になっている事もあり、そんなに時間もかからないのかもしれない。


「そうッスねえ。近くに階段があると思うッス。そこから行けると思うッス。」


一本道を進んでいくと行き止まりになった。ティファの言うように近くに階段が隠されているのだろう。ティファはスキルで探知スキルを強くしている。アイシャは魔力で違和感がある場所を探している。僕は手で触れて探していた。

ステラが僕の戦い方が気になったのだろう。話しかけてきた。


「ライ、さっきの戦いだけど私の真似しなくていいからね。ライには向かないわ。折角、武器との対話が出来るんだからもっと意識を集中して使った方がいいかも。」


意識を集中して武器との対話か。そんな事を考えていると床に違和感を感じた。すぐにティファを呼ぶ。


「ティファさん、ここの床なんですけど違和感を感じます。調べてもらえますか?」


「そこッスか?分かったッス。」


ティファは探知スキルを床に向けて強くした。すると、階段が現れた。階段は下に続いている。


「この階段はだいぶ下まで続いているッス。その先はワタシの探知スキルでは分からないッス。」


「降りてみないと、何とも言えないね。ボクの探知魔法は使えないみたいだ。魔法阻害が探知魔法特化のようだね。」


ティファを先頭に階段を降りて行く。階段にモンスターは居ないようだ。どれくらい降りただろうか?100段近く降りた所でようやく通路に出た。やはり、一本道のようだ。モンスターがティファの探知スキルに引っ掛からない。ある意味、不気味だ。少し歩くと大きな扉のある部屋が見えてきた。


「扉の中から強いモンスターの気配があるッス。これがオークキングッスかね?」


「たぶん、そうじゃないかしら。早く倒して依頼を完了させるわよ。」


ティファの問いにステラが答える。ノウムの話ではオークキングがボスとしているらしい。ティファが扉を開けていく。


「ギシッ、ギシッ、ギシッ!」


長年閉まったままだったのだろう。中々、開かない。今度は4人で開けてみた。


「ギッ、ギッ、キーィ!」


なんとか、開いた。でもそこにはモンスターは居ない。中央に魔方陣があり光っている。


「今回は早いね。もう、出てくるよ。ボクが援護するから、3人共よろしくね。」


「分かりました。」


「分かったッス。」


「任せて!」


僕達は魔方陣に近付いて行く。魔方陣からモンスターが現れた。ノウムの言うようにオークキングだ。少し前に戦ったオーガと大きさは変わらない。すぐさま、攻撃をしてきた。ティファは左右の拳を躱しながら反対側に回った。ステラは隙を見逃さず一撃入れた。右腕の皮が少し斬れただけのようだ。


「オークキングはこんなに硬かったかしら?以前、戦ったオークキングはあっさり倒せたのに。」


「ライの作った武器を使って硬いと感じたんでしょ。もしかしたら、特殊個体なのかもしれないね。」


そうなのか。特殊個体と呼ばれるモンスターも居るのか。特殊個体については後で聞く事にしよう。今はどうするか?なんだけど。


「硬いだけで戦いやすいモンスターッス。ワタシが撹乱するッスから、ダメージよろしくッス。」


「分かったわ。ライ、私に続いて攻撃をお願い。アイシャは上位魔法の準備よろしくね。」


僕とアイシャは頷いた。僕はステラに続いて行く。アイシャは上位の火魔法を唱え始めた。


「じゃあ、特大の当ててあげるよ。フレイムランス!」


炎が槍の形になっていく。そして、勢いよくオークキングに飛んでいく。ステラはアイシャの魔法が当たりやすいように戦っているようだ。


「ボッ!シュー!」


オークキングに魔法は当たったが効果が無いようだ。その光景にステラとアイシャは驚いている。


「ボクの魔法、弱く無いはずなんだけど。オークキングは火魔法が弱点だよね。」


「そうよ。オークキングは火魔法が弱点よ。特にアイシャの魔法は1位、2位を争うぐらい強いのに。」


アイシャの魔法はそんなに凄いのか。もしかしなくてもこの3人は世界でも屈指のパーティーなのでは?

僕は一旦、距離を取った。思った事があったからだ。たぶん、僕の攻撃ならば効くのではないか?僕が作った武器を僕が使って攻撃すれば倒せるのではないか?


「すいません。もしかしたら、僕の攻撃ならばダメージ入るかもしれません。」


「それ、どう言う事?」


僕は考えを話して言った。ゴーレムとの戦いでの違和感や壁に激突したときのダメージの少なさなど。


「分かったわ。ティファ、引き続き撹乱をよろしくね。アイシャ、氷魔法で動きを止めて!ライ、止めよろしくね。」


「了解ッス。」


「任せて。アイスランス!」


僕はミスリルソードを構え、対話を開始。


「パキパキパキパキ!」


アイシャのアイスランスがオークキングの下半身に直撃した。

オークキングの動きが鈍くなる。ステラとティファの動きにオークキングの隙を見つけた。僕はオークキングの左肩から斜めに袈裟斬りを力一杯振り下ろした。


「ザシュッ!バタッ!」


僕の攻撃は効いたようだ。オークキングはその場に倒れた。

何で、僕の攻撃しか効かなかったのだろう?僕が倒すと何かあるのか?んー!考えても分からない。

考え事をしているとオークキングの解体が終わったようだ。


「ライの攻撃で倒せたッスけど、解体は普通に出来るッスね。ライが倒さないといけない理由って何ッスか?」


アイシャは気付いたようだ。そして、少し呆れている。


「たぶん、ライの冒険者ランクを上げるためかな?オークキングの討伐でランクはBになるはずだからね。」


「でもどうやって、討伐証明するんですか?僕がオークキングの素材を見せても信じてとらえるとは思えませんけど。」


ステラもアイシャの説明に納得したようだ。理由を説明し始めた。


「討伐証明はギルドカードよ。不思議な事に討伐した冒険者のギルドカードに証拠が残るのよ。それをギルドで確認してもらうのよ。」


「ちなみに、Aランクになるにはレックス系のモンスターの討伐ッス。Sランクはドラゴンッス。ライは鍛冶師だから、急ぐ必要は無いッス。」


ティファも加わって説明をしてくれた。確かに僕は鍛冶師だ。

急いで冒険者ランクを上げる必要は無い。でも、今回のような事が起こらないとも限らない。


「まさか、今回のような事が起きて気付いたらSランク冒険者!なんて事は無いですよね?」


僕は質問をぶつけた。その時だった。宝箱が何処からともなく現れた。3人は僕の質問をスルーするようだ。ティファが宝箱に近付いた。宝箱に向かって探知スキルを発動する。


「罠はないみたいッス。それでは、ライが開けるッス。」


「僕?ですか?」


僕は驚いてしまった。3人は笑っている。特にステラはお腹を抱えてしまった。


「ふふふふ!そんなに驚かなくてもいいじゃない。初めての迷宮だったんだから。」


「それにしても、ステラがこんなに笑うなんて久しぶりに見たよ。良かったね、ステラ!」


アイシャの不意打ちにステラが顔を赤くした。僕は聞かなかった事にして、宝箱を開けた。

凄い!古龍の血、マンドラゴラ、ユグドラシルの葉が入っている。他にも鉱石類が入っていた。


「ライ、今話をスルーして宝箱を開けたッス。そこは話を掘り下げないとダメッス。」


「はあ、しょうがないよ。ライの事だから中身が気になったんでしょ?でも、ボクの知らない素材があるんだけどライは分かるかな?」


本当だ。鉱石とは別に素材が入っている。手に取ってみた。素材の情報が流れてくる。魔狼の爪のようだ。そして、もう1つ手に取った。賢者の枝のようだ。どちらも2個づつある。僕は感じた情報を伝えた。


「魔狼の爪と賢者の枝のようです。」 


「それ、凄すぎないかい。ボク達は戦った事はあるけど手に入らなかったよね。」


そんなに凄い物なのか?どんなモンスターなのか、分からない?僕はいまいち、ピーンとこなかった。ステラはすぐに察したようだ。


「ライ、魔狼はねフェンリルと呼ばれているの。賢者の枝の持ち主はリッチね。どちらもSランクのモンスターよ。その中でも上位ね。」


その説明を聞いて素材を落としそうになった。こんなものが報酬でいいのだろうか?


「その報酬の事をノウムに聞くためにも、帰りましょうか?私は色んな意味で疲れたわ。」


「ボクも賛成だね。」


「ワタシも賛成ッス。」


「じゃあ、帰りましょう。」


こうして、初めての迷宮は終わった。帰り道は何事もなく進み迷宮の外に出た。

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