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アトランティス4
果物を縦に割ったような奇妙な半球体の胴体に四対の脚を生やした、クモ型の作業ロボット。
体長一メートル弱のロボットは五十キログラム程の重量があり、勿論モロに当たったら無事では済まない。
「ちょ、熊山さん、何やってんですか!」
「あ、まだそこにいた? 悪い悪い」
「いやいやいや、ロボットを操作しているパソコンの画面を見て下さい。 俺の位置もマーカーで表示されていますよね? ロボットを落とす時、警告音とか鳴らなかったんですか?」
「いや、ボーっとしていた。 マジでカンベン」
マジでカンベンはこっちのセリフだ!
アルバイト風情が先輩に暴言を吐く訳にもいかず、イライラがつのる。 ただでさえ寝不足だってのに。
「二番へのマーキング完了、浮上します」
「進~、怒った?」
あー、マジムカツク。
怒りを抑えつつ浮上する直前、近くで誰かの視線を感じた。
振り向くと、作業ロボットが進の方を向いている。
踏切のように明滅する赤ランプに、なぜか進は胸騒ぎを覚えた。