たゆたう
「たゆたう」
伏籠 洋介
子供の頃、三浦海岸へ毎年泳ぎに行った。
今と比べるとものすごい人ごみで、西瓜の皮やビニール袋
なんぞのごみと一緒に泳いだ。その中で
私が好きだったのは、一旦海の中に潜って、海底を蹴り、
ジャンプ
しながら波にたゆたう事だった。
海に頭から潜り海底で、反転、ジャンプ、波が自分を押し流す。
これを飽きもせず繰り返した。
家に帰って夜眠る
と自分の体がまだゆらゆらと波にたゆたっているような
感覚が続いてた。
大人になって社会に出ても、まだたゆたっている。
朝は人波にたゆたう、
昼は 仕事に揉まれてたゆたう。
夜はお酒を飲んで、酔っ払ってふらふらとたゆたう。
了