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急展開

やっっっと服を選び終えたエリカ。

ちょっと休憩です。

 フウ――――――

 私は長ーく息を吐いて温かいお茶を一口すすった。


「お疲れさん、エリカ。少しは元気が戻ったか?」


「……うん、ようやく服だけだけど選べて安心した」


 アベリアは目の前に置かれた冒険者ランチセットの2杯目を食べながら頷く。


 私は普段着のワンピースを3着選ぶのに4時間かかり、その後服のお直しで1時間スタッフと話していたら意識が真っ白になったため、アベリアが冒険者ギルドの中の食堂に連れて来てくれた。


「エリカの選んだ衣装は30分くらいで直るって言われたからな」


 アベリアはフードを被り襟も立てたまま食事をしている。普段食事マナーの良い彼が何故にそんな姿で食べているのか聞きたいが、もう疲れすぎていて突っ込めない。


 今は既に昼過ぎで店内は比較的空いているからゆっくり出来る。

 私はお茶を飲みながら先程スタッフとの会話を思い出した。


「お客様お胸が大きいですね。牛族の方ですか?」

「いえ、違います」

「ああ、そうですよね。

 お客様は牛族の方程は胸が大きくは無いし、頭に耳も角も無いですわね。

 牛族の方達って零れ落ちそうな魅惑的な瞳に美しい毛並み、豊満なバストと豊かなお尻で女性の理想的な姿の方達が多いですもの。

 嫌だわ私ったら人間のお客様を牛族の方と見間違うなんて失礼だわ」


 ……あのスタッフの言い方、どう考えても私を馬鹿にしてたよね……思考能力が落ちていて聞き間違えかと思ったけれど、今落ち着いて思い出して見ると「失礼」ってあの場にいない牛族の方に謝っているよ。


 ありえない! 有り得ない対応のスタッフだわ!


「どうしたエリカ急に怖い顔をして?」

「さっきの服のお直しの時のスタッフの態度を思い出したら腹が立ってきた」

「ああ、あの女は獣人だから獣人以外は差別しているんだろう」


 当たり前の事だとアベリアは言う。


「差別……」

「冒険者ギルドの中は多種多様な者が多いからここはまだ差別が少ないが、街中の店は獣人でない者に商品を売ってくれない。もしくは悪い品を高く売りつけてくる。

 エリカは金を使った事が無いから知らなかったのか?」

「うん」

「この国は獣人が多い。昔に比べれば獣人以外でも生活できるようにはなってきたが、それでも他の種族の権利は獣人よりも低いんだ。

 人間のエリカとオーガの俺は気を付けていないと奴らに良い様にされちまう危険がある。

 だからエリカ身の回りには気を付けるんだぞ」


 私はアベリアを見つめて深く頷いた。


 この国は獣人を中心に回っているんだ。数が多い方が強い。これはどうしようもない現実なんだ。

 アベリアは強くて賢くてもオーガだから社会的には弱い立場だってことか。


 今までもアベリアに迷惑にならないようにと考えて来たけれど、これからはもっと自分の身は自分で守れるように、アベリアの負担にならないようにしよう。


「さて、腹も膨れたしエリカの衣装を買って帰るとするか」


 ランチの料金をテーブルに置いて、私達は服屋に向かった。

 服屋のカウンターにはさっきの失礼なスタッフともう一人、人間の男が立っている。


「あの先程服のお直しを依頼したんですが……」

「ああ、お待ちしておりました」


 人間の男性の方が応対してくれた。

 良かった。普通の接客だわ……と、思えば男性スタッフは何やらジロジロ私の顔と胸を見てくる。

 セクハラ、セクハラだよね。

 頭にきて男性定員に一言文句を言おうとしたら、アベリアが男の視線を塞ぐように私の前に立ってくれた。

 うっ、胸がきゅんとなる。


「おい、いくらだ?」

 怖い声で服の金額を聞くアベリアに狼狽えながらも定員は私を見ようと首を傾ける。


「おい!」

 アベリアの一喝

「ヒッ、すみません!! お代は全部で銀貨22枚になります」


 アベリアは胸元から革袋を取り出して銀貨を22枚数える。


 もう、獣人でも人間でも定員としての態度がおかしいよ。

 あの男の定員、アベリアが怖いから私の事を見るのは諦めて今度は壁を凝視してるわ。


 ん? 男の視線の先、壁に紙が張り付けてある。


 紙には大きく『特別手配』と書いてある。特別手配ってどういう意味なんだろう?


 似顔絵? 若い何処にでもいそうな女の子の顔が描かれてる。


 何か絵の下に特徴が文字で書いてあるわ。なになに……

 黒い直毛に黒い瞳……人間の女……胸が大きい…… 20歳……え? ヤダ! 特徴が私に当てはまる!?


 名前……エリカ……名前まで私と一緒!! っていうかあれ、私か!!


 生かして捕らえる事。賞金金貨10枚。

 凄い高額賞金が懸けられている。


 私は震える手でアベリアの服を引っ張った。


「どうした、エリカ?」

「あ、あの、壁に貼ってある紙……」


「エリカ! やはり君は特別手配になっている人間のエリカか!!」


 男性定員が大声で言った。


 うわあ、やっぱり、あの紙に書かれているの私なの、っていうか大声で言うなあああああ!

 周りで買い物していた客たちが私に気づいた。


 怖い! 

 ショッピングモールが一瞬で狩場になった様だ。


 獲物は私なの!


 私が恐怖で固まっていたら、急にアベリアの肩に担がれた。

「え、アベリア?」

「しゃべるな、舌を噛むぞ」

 アベリアは買った服が入った袋と私を両腕に抱いて猛ダッシュで店を出た。


 アベリアの走る勢いで2人の女性が倒れたが、店内を走ってごめんなさい! こっちも緊急事態なんです! と心の中で謝る。


 冒険者が3人アベリアを止めようと飛びかかってきたが、アベリアは簡単に避けてギルドのエントランスを抜けた。

 が、後ろから沢山の冒険者たちが追いかけて来た。


「特別手配のエリカだ!」

「金貨10枚の女だ捕まえようぜえ」

「生け捕りだ! 殺すなよ!」


 皆口々に私の名と賞金を言って走って来る……恐怖! 何この祭り、嫌だ嫌だあの人たちに捕まったら何をされるか分からない。


 私はアベリアに必死にしがみつく。

 お願、私を離さないでアベリア!!




ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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