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アイデア投稿作品群  作者: アッキ@瓶の蓋。


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スキル『旗』を手に入れた高校生。強敵もみな配下に任せれば怖くないよね? 4話

 ダンジョンの奥には、"ボスモンスター"と呼ばれる強力な魔物が存在する。

 いわゆる、ダンジョンの主である。


 ボスモンスターは、そのダンジョンで一番強く、そして倒すと得られる報酬もデカい。


 以前に行った【ゴブリン達の盗掘】で言えば、ゴブリン達を倒して得られるのは、魔石1つ10円のもの。

 一方で、そこのボスモンスターを倒せば、1つ10万円の魔石1つと、30万円相当のアイテムが2,3個手に入るとなれば、その旨味の大きさも理解してもらえるだろう。

 最も、それだけ強いって訳なんだけど。


『グォォォンっ!!』


 そして今、俺達が向き合っているのは、その【ゴブリン達の盗掘】ボスモンスターよりも遥かに格上のボス。

 その名も、【鉄巨猪(アイアンボア)】である。



 ===== ===== =====

 【鉄巨猪(アイアンボア)

 推定魔石金額:20万円


 10mはあろうかという、巨大な猪型のボス魔物。身体全体を硬い鉄の鎧が攻撃から身を守っており、大きく伸びた牙はダンジョンの壁に穴をあけるほど

 突進力が非常に強く、攻守備えたその姿は『生きた戦車』とも呼ばれている

 ===== ===== =====



 鉄巨猪は俺達の方をジトッと、今にも殺さんばかりに殺意を込めてこちらを睨みつけていた。


「(小声)おい、勝てるのか? あれ?」


 単純にゴブリンの所のボスの、倍の金額。

 ただ倍になっただけ、と言えないのが、ダンジョンの怖い所だ。

 金額が倍になれば、すなわち死ぬ危険性は倍以上、ということなのだから。


 それに、ゴブリンの所のボスも、俺倒せてないし。

 にもかかわらず、いきなり鉄巨猪は早すぎるんじゃないだろうか?


「(小声)うんっ! ボスのスキルがどれだけ素晴らしいか、配下の私が教えましょう!」


 トゥっと、崎津はハンマーを持って、鉄巨猪の前に立つ。



 ===== ===== =====

 スキル『旗』の 配下 『霧島崎津』が 交戦に 入ります

 旗を振って 応援してください

 応援によって 戦闘能力を 向上させます

 ===== ===== =====



「え? なにこれ?」


 と、崎津が鉄巨猪の前に立った瞬間、俺の目の前にそんなメッセージが現れたのだ。


 もしかしてこれが、崎津が何度も念押ししてた、俺のスキルの真の効果?

 応援……いや、確かに旗を振ったら、応援みたいになるかと思うけど。


「とっ、とりあえず、やってみるか」


 俺は、かるーく旗を振って見る。

 すると、崎津の身体から赤いオーラが、まるで煙のように出始めたのである。


「やった! 攻撃力アップだよ!

 ----まぁ、もっともなくても、私の力なら勝てたけどね」


 崎津はそう言いながら、ハンマーを軽々と振る。

 そして、バットのように持つと、そのままハンマーを振り抜く。


「そいやっ、と!」


 ----かきんっ!!


『グォンッ?!』



 一撃である。

 硬い鎧で守られていたはずの、鉄巨猪の身体に大きな穴がくっきりと開き、そこから大量の血がどばーっと飛び出した。


「すげぇ……」

「どうですか、ボス! これがボスの力! 石化から解いてもらう際、私が感じた、ボスの力!」


 鉄巨猪の返り血で、ベッタベタの状態になりながらも、崎津はそう説明していた。

 彼女曰く、石化状態が解除される時、俺の配下になる事と、旗を振ることで攻撃力アップなどのバフがかかるということをレクチャーされたらしい。


 つまり、スキルであるはずの『旗』がレクチャーしてくれた、ってこと?


 ……そういうのは、普通に俺に教えて欲しいんだけど。

 というか、スキルが教えるって何? 意味わかんないんだけど。


「配下である私を、旗を振って応援することによって強化する力!

 いやぁ~、ボスのおかげで、いつもよりも強い力を出せましたよ!」

「確かに、凄い力だな。これは」


 


 ----ガクッ。


「----え?」


 そして、その血だまりに、崎津が頭から倒れた。

 ぐぅ~、と大きな腹の音と共に「お腹空いたよー」と情けない声を出して。





 後で知った事なのだが、霧島崎津は、根っからのパワータイプでありながら、その実、致命的な欠陥を抱えている。


 それ即ち、エネルギーの問題。


 彼女は鉄巨猪"程度"のボスモンスターならば、一撃で倒せるほどの力を持つ。

 しかしながら、彼女はその際に大量のエネルギーを消費してしまう。


 簡単に言えば、霧島崎津は、一回攻撃しただけでお腹が減る。


 破壊力が高ければ高いほど、彼女の身体からカロリーが湯水のごとく消えていくのだ。


 そりゃ、鉄巨猪を一撃で倒せるほどの実力を持ってるのに、【ゴブリン達の盗掘】の隠し通路に倒れる訳だよ。


 その後、彼女の働きを労う、という名のファミレス栄養補給会において、彼女は1人で10万円以上食べる事になるのだが、それはまた別の話である。




(※)応援

 スキル『旗』が持つ効果の1つ。旗を振ることによって、配下全体に戦闘能力上昇のバフをかけることができる

 なお、このバフは重ねがけでき、最大5つまで同時に効果を発揮する

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