ミズキは召喚獣と共に無双する 3話目
「うそ、だろ……」
僕は、自分の目の前に映るステータス画面、そして足元の召喚陣から現れた小さな赤トカゲを見て、愕然としていた。
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《名前》七尾 ミズキ
《レベル》1
《ジョブ&ジョブレベル》召喚術師 レベル1
《ステータス》
最大HP;5
最大MP;20
《スキル》
・モンスター解体…モンスターを解体するスキル。完了するまでモンスターが動かないことが前提
・召喚術…MPを消費し、召喚獣をレベル×1体分まで召喚することが出来る。既に規定数を越えてる場合は、召喚出来ない
《召喚獣》スモールリザード
《所属》赤
《スキル》
なし
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----はっきり言おう。
かなり絶望的なステータスだ。
「うわっwww おいおいおいっwww 嘘だろ、これwww」
ぷーくすくすっと、そんな声が聞こえてきそうな感じで、後ろからステータスを覗き込んでいたユウキが笑っていた。
「最弱のごみ職業《召喚術師》に、スキルなしのはずれ《召喚獣》ってwww こんなの掲示板にかかれるくらいの、ネタとしか思えないだろうがwww」
煽ってくるユウキに反論してぶん殴りたいところではあったが、実際、僕の意見もそんな感じだ。
----《召喚術師》。
これは、MPを消費して召喚獣を呼び出すというスキルを持つ職業なのだが、世間の評価としてはごみ職業である。
まず、召喚獣は勝手に召喚されているのだが、これを勝手に送還……つまりは帰す手段がないのだ。
そして《召喚術》は、レベルと同じ数だけ召喚獣がいる場合、召喚出来ないのだ。
レベル1の僕の場合、既に召喚獣----スモールリザードがいるため、召喚出来ないのである。
レベルが上がるのも遅めだから、すぐさまレベル2に上がるってのも難しい。
これが、《召喚術師》がごみ職業と呼ばれる所以である。
続いて、《召喚獣》。
これは《召喚術師》ではないユウキが持っている事も分かるように、無条件に神様が1体くれるモノなのだ。
そして、この召喚獣のステータスは、固定、なのである。
絆とかを上げて見たり、逆に物凄くぼろぼろに扱ったり、経験値を上げるのを頑張っていたりと、どのような方法があったとしても、ステータスが一切成長しないのだ。
故に、《召喚獣》は良いのが出なかった場合、特定のダンジョンをクリアした報酬で変えるぐらいしか方法がないのだ。
ステータスが固定なので、あとはスキルに賭けるしかないのだが……。
「(スキルなしの召喚獣だなんて、はずれも良いところじゃないかっ?!)」
つまり僕は、なりたくないごみ職業、低ステータス+スキルなしの召喚獣……。
パーティーに絶対入れたくない組み合わせの人間って事だ。
「ぷははははっwww もう、アレだwww 神様も解体スキルはあげるので、後はそれだけ極めろって言ってんだよ、多分www そうとしか考えられないぜ、この組み合わせはよぉwww」
腹がねじ切れんじゃないかと思うくらい、盛大に笑い転げるユウキ。
「ちっ、ちくしょぉぉぉぉ!」と思うが、自分も逆の立場だったら笑い転げてるだろうし……。
あと、単純に、今この男に僕がダンジョンに潜っているとリークされたら、僕はもう二度とダンジョンに潜れないし。
元々、ヤツの好意とかで入れてるだけで、完全に違法だからな……。
「あーwww 死ぬほど笑ったわぁーwww
……ってな訳で、元々の約束通り、俺はダンジョンで稼いでくるから、そっちも頑張れよな! その構成で、なにが出来るか分からんけどwww」
そう言って、ユウキは1人、ダンジョンの奥へと進んで行ってしまった。
「薄情な奴め……」
まぁ、当初の約束通りなんだけど。
彼と交わしたのは『ダンジョンに同行してもらう事』のみだけで、中で一緒に冒険することは約束してなかった。
僕もステータスが良ければそれで良いと思っていたし、残念だったのは僕のステータスだったというだけだ。
「まぁ、良い。僕もやってみるか」
《召喚術師》は使えないジョブだと言われているが、あくまでもそれは人伝の噂だ。
案外やって見たら違うのかもしれないしな。
そう思っていた自分を、今は殴りたい気分だ。
「ちくしょぉぉぉぉ! こんなの、どうすりゃ良いんだよ!」
僕は早速、壁にぶち当たっていた。
ダンジョンってのは、どんなダンジョンでも奥へ行けば行くほど強いモンスターが湧いている。
まぁ、分かりやすくて良いんだが。
そして僕は、1階層----つまりはこのダンジョンで一番、弱いモンスターと戦ったんだけれども。
「やべぇ……1匹も倒せねぇ」
時間をかけたら勝てるとか、そういう類の話じゃない。
ゲームで言えば、『ミズキは0ダメージを与えた』というのが永遠と出ているような、そういう感じ。
対してこちらは、【逃げる】を選択して必死に逃げる、によって、ようやく、だ。
「せめて、召喚獣のスモールリザードが使えれば良いんだが……」
《キュッ?》
呼んだ? みたいな感じで僕の顔を見て、首を傾げるスモールリザード。
その様は、こちらの様子を窺う子猫のようで、可愛い感じと言えばその通りなんだが。
今の僕にあるのは、ただ使えないのにずっとついてくる寄生虫を見ている気分だ。
「(こいつが居なくなれば、召喚術が使えるのにっ! いっそ死んでくれよっ、枠を開けるために!)」
害虫め……無駄飯ぐらいで、役に立たないのならさっさとやられて来いよな……。
だが、1階層の最弱魔物すら倒せないような僕では実力不足で殺せないし、そもそも自分の召喚獣は神様の加護的な不思議能力でダメージが一切入らないんだよな。
可能性があるとしたら、他のモンスターに殺させることくらいだけど、そんなところに居たらこっちの身も危ない。
まさに、積みだな。
「くそっ、せめてモンスターの死骸があれば《モンスター解体》のスキルが使えるのに……って、ん?」
《モンスター解体》?
そうだ!? このスキルを使えば、もしかして……!




