ミズキは召喚獣と共に無双する ~ステータス固定の召喚獣を解体したら、最強無敵の合成獣が出来ました~
召喚獣ものが、書きたくて
人々がまるでゴミのように呆気なく吹き飛ばされ、真っ赤な炎が銀のビル群を焼き落とす。
モンスターが自らが支配者であるかのように東京の街を闊歩し、黒い翼の悪魔達が人間の首を片手に空を舞う。
渋谷、スクランブル交差点。
かつては【109】というロゴで有名だったそのビルも、そいつの身体に踏み潰され、ただの残骸となっていた。
そいつは、毎日大量の人々が行き交うスクランブル交差点を占領するほどの巨体の持ち主。
血の池を思わせる赤い瞳を持つ8つの頭を持つ、巨大な蛇。
その身体のほとんどは地面の下に沈んでいるというのにも関わらず、天にそびえる姿はまさしく巨獣そのもの。
----龍王ヤマタノオロチ。
神代の世界に登場したとされる8つ首の巨大蛇は、渋谷を火の海に変えて君臨していた。
《《《《《《《《グォォォォンンンン!》》》》》》》》
かの怪物は雄たけびをあげ、口から大量の炎を吐きながら周囲に恐怖を撒き散らかしていた。
「おぅおぅ、居たな。お宝……いや、ヤマタノオロチが」
そんな怪物に対し、ヤマタノオロチの向かいのビルの屋上にいる、1人の少年はそう口にした。
目つきが悪そうな、青い学生服を着た少年である。
少年は、今から獲物を狩るライオンのように舌なめずりをすると、スマホを取り出す。
「ヤマタノオロチ……この時点でめちゃくちゃデカいのに、まだ全身を出してないとか本当にバケモノだろう。
多分だが、生半可な攻撃じゃあ、ダメージすら与えられないだろうなぁ。僕の、この七尾ミズキの細腕じゃなおさら」
少年、七尾ミズキはそう言うと、呪文を唱え始める。
彼が唱えると共に、ビルの遥か下の地面に大きな召喚陣が現れる。
その召喚陣の大きさは、眼前のヤマタノオロチが占領している地域とほぼ同じに見えた。
「----現れ出でよっ、【ミラージュスネーク】!」
召喚陣から現れたのは、銀色の、"ヤマタノオロチ"であった。
全身が輝かしい銀色に光り輝いている事以外は、眼前のヤマタノオロチそっくりの巨体の蛇。
ミズキが召喚したミラージュスネークは、そのまま8つの頭を相手の無防備な腹へと突進させる。
----バリンっ!
《《《《《《《《ウグワーンンンンッ!!》》》》》》》》
たった一撃、巨体で猛威を振るっていたヤマタノオロチはたった一撃によって葬り去られたのだ。
「やはり弱いな、ヤマタノオロチ程度だと」
強敵をなんとか倒したというよりかは、これくらいの敵なのであっさり片付けましたよ、という感じでミズキは溜め息を吐く。
そして、「戻れ」と冷たく言い放って、ミラージュスネークと言う巨体の蛇を消す。
彼こそ、このダンジョンやモンスターなどのファンタジー要素が突如として湧き出た地球で、最強の一角と言っても良い少年----七尾ミズキ。
彼は現代において、最強と呼ばれる《召喚術師》と呼ばれるジョブの使い手。
しかし、《召喚術師》が最強と呼ばれたのはつい最近。
そう、彼が当時はずれ職業として言われていた、このジョブを手にした後の事なのである。
彼が《召喚術師》というジョブを手にしたのは、今から数年前。
まだ彼が、なにも知らなかった中学生の頃だった。




