血に濡れた妹(と母)
初めまして。初投稿です。
数々の逆転物をなろう様で読んできましたが、大好きだった作品が削除されたりで需要が供給を上回った為(私の中で)自給自足させて頂くこととなりました。
拙い文ではありますが、作品の面白さ向上の為にアドバイス等よろしくお願いします。
ある日曜日の昼、惰眠を貪り自室でゴロゴロしていた僕は、コンビニに行こうと特に用はなかったが、ふとそう思い財布をズボンの後ろポケットに突っ込み、手に携帯を持ち玄関へ向かった。
玄関に座り、靴ひもを結んでいると後ろから「あ~っ!」と声が聞こえた。
振り返ると今年で中学3年生になる妹の真宵が僕を指さして仁王立ちをしており、
「あぁ、ちょっとコンビニに……。」と僕が言うと彼女は「また一人で出掛けようとして!ダメだよ、お兄ちゃんが一人で出掛けるのはパパとママが禁止だって!」と少し怒ったようだった。
そうなのだ。僕の家では、僕が両親から一人で出掛けることは禁止というなんとも納得し難い家族ルールがある。
だから、僕は学校に行くときはいつも真宵か幼馴染と一緒で、近場に出掛けるときでさえ誰かと一緒でなければならない。僕は何度も両親に抗議していたのだが、そのたびに親が悲しそうな顔をしたので最近はもはや受け入れつつある。
まあ、といっても結構な頻度で忘れてしまい一人で出掛けるのだが……。
しかし、こんな他の家とはちょっと違うルールが出来たのは僕の過去に原因があるのだ。
自分でいうのもアレだが僕の容姿は昔から整っており、そのせいか僕はこれまでに4回も誘拐されかけている。その全てが多少お年を召されたお姉さま方の犯行であった。まあ、女性なので仕方ないとは思うが少しは自重してほしいものだ。そんな事もあったが、かといって僕は女性恐怖症になる訳でもなく、至って普通の男子高校生として生活している。
閑話休題、コンビニに行こうとしていただが妹にばれてしまったので、どうしようかと悩んでいた。
すると此方へ近づいてきた彼女が少し顔を赤らめて「じ、じゃあ私が一緒に行ってあげようか?」と言ってきた。
僕の勘違いでなければ真宵は僕に対し好意的な感情を抱いているのだろう。といっても家族なので恋愛感情ではなく親愛感情だとは思うが。
それはさておき、顔を赤らめた真夜を見た僕は少しからかってみたくなり、「いや、特に用事があった訳じゃないから大丈夫だよ」と言うと彼女は頬を赤く染めたまま「なにそれ!じゃあ私が出かけるから兄ちゃん着いてきてよ!」と言い、準備するから待っててねー、という言葉を残しドタドタ階段を上りながら部屋へ帰って行った。
……なんとも忙しいやつだ。
玄関で携帯をいじって真宵を待っていると突然前方が眩しくなり熱気が入ってきた。
なんだ?と思い顔を上げると、母親が仕事から帰ってきたようだった。
「お帰り、今日は早いね。 まだ昼の2時だよ」
僕のお母さんは美容室を経営している。有名人も利用しておりテレビにも何度か紹介されたことのある結構有名な完全予約制の店だ。ちなみにお父さんはモデルだ。客としてやってきたお父さんにお母さんが一目ぼれ。猛アタックの末、付き合ったらしい。
「ええ、今日は予約が少なかったから若い子に任せてきたのよ」母はそう言いつつ僕が出掛けようとしているのを察したのか、「あら、優日。 出掛けるの?でも一人はダメと言っているでしょう?」と顔は笑顔なのだが凄い迫力で尋ねてきた。
「いやいや!真宵もいっ「お兄ちゃんお待たせー!」……しょ……」
僕が慌てて母に説明しようとすると真宵が準備を終えたようで階段から降りてきた。
ナイスタイミング!!と心の中で思っていると、母親は妹も一緒だと理解したのか、いつもの優しい笑顔でいってらっしゃい、と手を振り僕らを見送ってくれた。
真宵は地元から電車で20分程の駅で降りた所にあるデパートへ行く予定だったようだ。妹と並んで喋りながら歩いて駅へ向かうが、すれ違う女性はやはり皆僕の顔を見てくる。僕は満更でもなく、というか寧ろ気分よく歩いていたが隣の真宵は「何よ、人のお兄ちゃんをジロジロ見て……」と何やら不機嫌そうだった。
ご機嫌を取るべく今日は何を買うのかと聞こうとすると前から自転車に乗った見知った顔がこちらに向かってはしってきた。
その人物は僕らの目の前で止まると「おっす優日、真宵ちゃん! 何してんの?」と聞いてきた。
自転車から降りながら僕に話しかけてくる日焼けした活発そうなこの人物は、高校の同じクラスで幼馴染の須藤 瑞樹だ。
「こんにちは。瑞樹さん。」「おう、瑞樹。 今から妹とデート」と冗談を言うと隣の妹に足を踏まれた。痛い。
「相変わらず仲いいな」瑞樹は呆れていた。
「お前はチャリ漕いで何してんの?」と僕が聞くと、瑞樹は「いやあ明日の宿題を学校に忘れたから取りに行ってたんよ! 今から帰って徹夜すれば間に合うっしょ。」と教室空いててよかったわ-などと右手で頭を押さえながら笑っていた。
「えっ?明日宿題のあんの?」ボクそれ知らない!
「何言ってんだよー! 月曜日提出だって先生言ってたじゃねーか!」
その言葉に僕は愕然とした。そして横にいた真宵の頭を撫でながら、
「真宵。 ゴメンお兄ちゃん用事できたから今日行けない! 今度絶対埋め合わせするから!」と言って全速力で家に帰った。
「全く……。お兄ちゃんったらしょうがないんだから。もう。」
「真宵ちゃんも可哀想にね。」
「でもそんなお兄ちゃんも好き♡」
「・・・・・・・わかるー♡」
さて、家に帰って宿題に取り掛かった僕だが数問問題を解いたところで急な睡魔に襲われた。眠気を我慢して取り組む勉強は意味ないという持論を持つ僕としてはこの睡魔に身を委ねる以外選択肢はなかった。
「・・・・・・・ハッ!」ふと目を覚ますと時刻は午前4時だった。
「うーん。これはまじめにやっても終わらないな。あの手を使うしか……」そう決めた僕はお風呂に入り、歯を磨いた後登校の時間まで二度寝しようとベッドに入……ろうとしたが先客がいたようだ。茶色の長い髪の毛に白い肌。それにぷっくりとした小さな口にスッと通る鼻筋、今は閉じているが普段は大きくパッチリ二重の目。間違えなく僕の妹だ。
「また僕のベッドにもぐりこんで。 全く仕方ないな」ヤレヤレと思いながら布団をめくり、上半身裸の妹に倣い僕も上半身を脱いで妹の横に寝ころび僕は眠りについた。
「キャーー!」
大きな叫び声で僕は目が覚めた。状況を理解できず呆然としていた僕だが、昨夜一緒に寝た真宵ベッドから退き僕を見ているがことに気付いた。さらに僕が寝ていたシーツがに結構な量の血が付着しているのだ!
何かあったに違いないと思い、取りあえず真宵に声をかけるが僕を見たまま反応がない。よく見ると真宵の顔にも値血のがついているではないか!いよいよ大変だと思った僕は取りあえず親を呼ぼうと自室のドアを開けると、先ほどの叫び声を聞いたらしい母親が目の前にいた。
丁度良かったと思い母親に助けを求めようとすると僕の体を見た母親までもが
「キャーー!」と叫び床に倒れた。
……一体どうすればいいのかわからない僕はただ立ち尽くすことしかできなかった。
是非ともおすすめの逆転物を教えてください!
私が一番好きだったのは今ではもういらっしゃいませんがなろう様にて活動されていた葛城様の『男女あべこべ物語』(うろ覚え)ですかね…。
あの作品が私の新しい扉を開けましたね…。願わくばもう一度読みたいものです。