容姿が変わって
「ふぁ〜〜おはよ〜」
私は起きてすぐにリビングへ向かった。
二人の義兄には「せめて着替えてからリビングへ来いよ」と言われたが今はその兄達は修学旅行中。家には私だけ。なら自由に過ごそうじゃないか。
…まだ眠気が覚めない。顔でも洗ってサッパリしてくるか。
私は洗面所に向かい、顔を洗おうとすると・・・
何故か、鏡には私ではない少女が映っていた。
「・・・・・・え?」
…そうか、私まだ寝ぼけてるんだな。顔洗って眠気を覚まさないとね。
バシャバシャ……
もう一度鏡を見る。
だがしかし、そこにはさっきも見た少女が。
バシャバシャ……
もう一度顔を洗い、鏡を見る。
だがしかし、そこにはさっきも見た少女が。
バシャバシャバシャバシャ……
◇◆◇
あれから何度も顔を洗ったが、何も変わらなかったのでやっと私は現実を受け入れる。どうやら私は姿が変わってしまったようだ。
ちなみに前の私の姿は長めの黒髪と黒眼、あまり感情が出ない顔、他と比べたらまあ美人程度の容姿だった。
そして現在の私の姿は、髪は伸びて毛先にいくにつれて色が黒から白に変わって行き、目は正面から見て右が青、左が赤になり、顔はかなり整ったが無表情は変わらず、なんとも厨二病っぽいのが気に食わないが、絶世の美少女になっていた。
…これって本当に私だよね?実は嘘でしたーとか無いよね?
……ええと、とりあえず記憶の整理でもするか。
まず、私の名前は望月 零。2年前にこの望月家が孤児だった私を引き取った。
引き取った理由は“娘が欲しかったから”らしい。
家族構成は義理の父、母、兄二人、私、ペットである黒猫のクロちゃん(オス)の五人と一匹。 クロちゃんは現在私の膝の上。クロちゃんは私の姿が変わっても懐いてくれている。
義両親は現在海外出張中。
兄達は東京に修学旅行中でいない。
兄達は双子で、どちらも文武両道。名前は望月 氷黒、望月 緋白。それぞれクロにぃ、シロにぃと呼んでいる。最初のうちは呼び方が違ったが、何故か義両親からそう呼べと言われたのでこうしている。
容姿は二人とも結構似ていて、違いはクロにぃが若干つり目で眼鏡をかけているぐらい。イケメンである。
しかし性格は真逆で、クロにぃは何事にも冷静で自分に利益が無いと動かない。
逆にシロにぃは困った人がいると必ず助ける。感情的に動きやすい。
ただしどちらも言葉遣いが荒い。
そして現在兄達は高校2年、私が中学3年である。
…まあ、こんな感じかな。
よし、整理できた。もう驚かない。
まだ朝ご飯食べてないし、今から食べよ…と思ってふと時計を見ると、時計は8時を指していた。
……あれ、8時?
今日は平日、勿論私も学校がある。つまり…
「・・・完全に遅刻だ」
ああ、今日は嫌な事が続くな。
朝ご飯を食べながら思う。
もうこの際学校休んじゃおう。そうしよう。
そして今日はゴロゴロして過ごそう。
朝ご飯を食べ終わり部屋に向かう、そしてしばらくゴロゴロしていると…
トゥルルル、トゥルルル…
誰かから、電話がかかってきたようだ。