面接先で
早速俺は、このバイト先である店へと電話、その後面接をすることとなった。
(カランカラン)
静かな店内に来客を知らせるベルの音が響いた。
「すいませーん!誰かいらっしゃいませんかー?」
そんな叫び声も虚しく、返事が返ってくるどころか店内には人の気配すらしなかった。
あれ?なんで誰もいないんだ?もしかして面接の日時、間違えたか?
「すいませーん。本当に誰かいらっしゃりませんかー?」
待てども返事は返ってこず、ただただ自分の声のみが響いた。
いないのかな?一旦外に出て電話をかけてみるか。
そう思い店の外へ出ようとした瞬間。
「ちょい待て、おぬし面接を受けに来たというやつか?」
「あ!店員さんですか?良かったー面接の日時、間違えたかと思いました。」
そう言いながら振り返った先にいたのは
「子供?」
まだ小学生なのだろうか、背も小さく顔も童顔。まだ成長しきってないことが姿から伺える。流れるような黒髪は艶があり、肌も赤子のように綺麗、そんなどこか浮世離れしている容姿であった。身につけているものも変わっており黒の布地に真っ赤な彼岸花がところ狭しと散りばめられている、そんな着物を着ていた。
もしやここの店長の娘さんとかであろうか?ならこの子に気に入られれば面接も受かりやすくなるかも!
そうと決まれば早速、そんな思いを胸に俺は声をかけた。
「もしかして君は店長さんの娘さんかな??悪いんだけどお父さんはどこにいるかな?」
よし!これなら大丈夫なはず!あとは適当なことを言っておけば…
そんな気持ちとは裏腹に現実はもっと過酷なものだった。
「は?何をぬかしておる、わらわがこの店の店長だ。」
「え?いやいやいや、君どうみてもまだ小学生だよね??あ!そういう遊びかい?」
「じゃから店長だと言ってるではないか!これを見よ!」
そう言って手渡されたものは子供が持っているはずもない免許証でそこにはしっかりとこの子の写真が貼られていた。
「!!あ、も、申し訳ありません!!まさか本当だったとは。いやあの店長だったとは思いもせず、あのー」
「よいよい。こんなことにはもう慣れておる。全くこの見た目もどうにかしてほしいものだ。」
しまったー、まさか本当だったとは。いやでも誰がわかるか?このいかにも子供なこの人が成人しているだなんて。明らかに少女じゃないか!ロリすぎるにも程があるだろう!
「それはそうと、おぬし面接に来たと言っておったな。」
「あ、はい。こちらの広告紙を拝見させてもらいまして、それで…」
「よいよい。わらわはそのような堅苦しいことが嫌いでな。とにかく時間も押しておる。中へ入れ」
「あ、はい。失礼します。」
こうして俺の初めての面接が始まった。
これが後の俺の運命を大きく変えることとなるとは知らずに…。