ピンチでも
(ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!)
すでに真っ赤に染まった右足のナイフを抜き、必死でこの場から逃げようとするが足が言う事を聞かず思うように立つ事ができない。
ナイフを抜いた右足からはおびただしい量の血が溢れでている。
もう既に右足の感覚はなくなって、痛いというよりも熱さしかなくなってきている。
(ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!)
背後には投げたナイフが友也の足にささり手を叩いて叫びながら喜んでいるゴブリンが2体の姿が見えやがて2体のゴブリンは友也に向かって威嚇を始める。
友也はイモ虫のように這って土や草でどろどろになりながらも少しでもゴブリン達と距離をとろうと必死に進もうとするが足に力がほとんど入らずまったくと言っていいほど進む事ができない。
(死ぬ!死ぬ!死ぬ!死ぬ!死ぬ!)
右足から血がどんどんながれ力が入らなくなり、ついには動けなくなってその場にへたり込むことしかできなくなる。
その間にも一歩、また一歩とゴブリン達は友也の方に向かって威嚇しながら近づいてくる。
その内の1体がすでに友也がナイフを突き刺して既に死んでいるゴブリンの喉元から友也の使っていたナイフを抜き手に取って笑いながらなナイフを振り回している。
もう一方は棍棒を手に構え地面にバン!バン!と棍棒を打ち鳴らしさも今にも友也に襲いかかってきそうな雰囲気を醸し出し叫びながら威嚇してくる。
その絶望的な光景に友也は脳内がグルグルと加速し余計な事ばかりかんがえてしまう。
(しまった、、なぜすぐに喉元からナイフを抜かなかった)
(いや違う、村を襲っていたゴブリンも3〜4匹で行動していた)
(調子に乗って叫んだりするからだ)
(なんでおれは他のゴブリンの事も考えずすぐに隠れなかった)
(ヤバい!ヤバい!)
友也は自分の足から抜いた真っ赤に染まったナイフを闇雲に振り回す事しかできず、そのナイフもゴブリンに棍棒で吹き飛ばされ茂みの方へと飛んでいってしまった。
(ヤバい!・・ヤバい!)
(血を出しすぎて意識が・ヤバい・・)
「ギャギャギャギャ」
ゴブリン達がすぐ目の前にきてさらに威嚇を続けている。
(ヤバい・・し・ぬ、、、)
どんどん視界が狭まっていき、ついには意識を暗闇に持っていかれ前のめりに倒れこんでしまう。
ゴブリンが棍棒を振り上げ友也の後頭部めがけてトドメをさそうと振り下ろすと。
力強い声が聞こえる。
「炎よ舞いあがれ」