魔物に遭遇しても
こちらに方に向いて歩いてきているのは、身長80〜90cmぐらいでボロ布を体にまとい手には木の棒、長い耳に醜悪な顔
(あれはゲームで言うとゴブリンってとこか、)
この世界にきて半年ほど経ったが、友也はモンスターは見かけた事はあるが1度も戦った経験はなかった。
(いつもならこのまま見つからないように離れてスルー)
(このゴブリンもどきはもっと森の奥の方にいるはずなのに)
(、、と言う事は、村に、、)
友也は過去の経験から既に知っていた。まだ碌にあいさつもできていない、村の人達が農作物や家畜をを荒らしにくるゴブリン達を村人総出でクワやオノで戦って撃退するのを遠巻きに見ていた。
何より何もできずビクビクしながら見ているだけの自分が凄く歯痒かった。
(ここまできたって事は村の畑に行く可能性が高い)
(やるしかない!)
そう結論づけた友也は茂みの中から極力物音をたてないよう弓の弦に矢をかけぎゅっーと引っ張りながら見つからないよう息を殺す。
ドクっドクっと心臓の音が大きい様な錯覚に陥ってしまうほど大きく感じられる。
ゴブリンは友也の存在に気づかず、身を潜めている茂みの方にどんどん近づいてくる。
(これはやれる!)
そう思い、ゴブリンが弓の射程距離に入ったところで友也は矢から指をはなす。
放たれた矢はピュッと風を切り裂きゴブリンの左目に命中するが致命傷にはならず。
「ギュワワー」
(しまった、浅い!)
ゴブリンが声にならない声で叫んでいると、友也は一度息をふぅと吐き出すと腹をくくり腰に巻いてあるナイフを鞘から抜き手に持ち一気に走りだした。
ゴブリンは木の棒をブンブンと振り回すが、友也はそれを無視して一直線にゴブリンの喉元にナイフをブスリと突き刺した。
鮮血が飛び散りその一撃でゴブリンは後ろに倒れ、やがてジタバタしていたゴブリンはまったく動かなくなり息絶える。
「はぁはぁ」
「初めて、、たおした」
「はぁはぁ」
友也は自分が倒したモンスターの側で大きく肩で息をする。
「はぁはぁ」
「これを村に、はぁはぁ、持って見せれば、、」
「言葉は通じなくても、はぁはぁ、、」
「村のみんなは僕を見直して良くしてくれるかも知れない!」
「うぉー!!!」
柄にもなく喜びが爆発して叫びだす友也。
「熱っ」
友也は自分の右足に焼けるような熱さを感じ視線を右足に向けると、既に真っ赤に染まったジャージがそこにはあり、なにが起こったのかわからず友也は呆けた声をだしてしまう。
「え?」