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「ナズナ、そっち行ったぞ!」
「わかった!」
同僚の森羅の声に反応して、向かって来る敵に向かい合う。
「キシャァァァ 」
敵の使い魔が鋭い牙をむき出しにして威嚇してくる。
「ハァッ!!」
威嚇してくる使い魔にかまわず、私は武器の槍を思い切り横に振り切った。
「グアシャァァ!」
使い魔は真っ二つになり、地面に落ちた。
「さーあ、あとはあんただけだぜ。おっさん」
「ヒィ!?」
「シンラ、殺しちゃだめよ」
「わぁってるよ」
そう言いながらも、シンラは楽しそうに鋭い犬歯をむき出しにして凶悪に笑った。
「さぁてと。どう料理してやろうか?」
「シンラ、悪役臭いよ」
「うるせーよ!」
そんなやり取りをしているあいだにも、目の前で追い詰められた男は逃走を図った。
路地の出口に向かって走る男。
でも、私がそうはさせない。
ズドンッ
「ぶへ!?」
男は突然目の前に現れた壁にぶつかり、鼻を強打したらしい。
「逃げんなよ、めんどくせぇ」
「どうする?私がやろうか?」
「いんや、俺がやる。ナズナはそこで見てろ」
「了ー解」
得意げに答えたシンラ。
私は1歩後ろに下がって見守ることにした。
「たく、シャドーのアリアで散々手こずらせやがって。覚悟は出来てんだろうな」
そう言いながら、手をゴキゴキと鳴らして威嚇するシンラは、悪役にしか見えなかった。
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