第一話 目覚め
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時期は未定ですが、大幅に修正して1話から再投稿する予定ですので
お待ちいただければ幸いです。
つくづく思う、人生とは分からないものだなぁと。
想像すらしなかったことが、起こる時は何の前触れもなく普通に起こるのだから。
ホント、感心するやら呆れるやら。
なんて感慨にふける暇などあるわけもなく、その時はただただ途方に暮れるのみ、頭が真っ白で茫然自失なんて状態だったのだけどね。
ほんの数分前、俺は気付くと、それは文字通り目が覚めるという意味だけど、とにかく気付くと全く見たこともないベッドに横たわっていた。しかも、ベッドのある部屋の様子が尋常ではない。現代日本の常識からはかけ離れている雰囲気を醸し出していたのだ。
どこが尋常でないのかなどと突っ込まれると答えに窮するのだが、というか、こんな異常な状況では正常に頭が働くはずもなく、とにかく雰囲気的に現代日本ではない感が満載だったということですよ。
そんな感じで、
?が頭の中を暴れまわっているそんな最中、一人の西洋人風の老人が部屋に入って来たわけです。
金髪碧眼、まさに西洋風。
「¥*+%$*+#“&*+#”&!・・・・・・・・」
はい、全く何を言っているのか解りません。
予想外の、いや予想通りの見知らぬ言語。俺の顔は更なる呆け顔へと変わっていたことでしょうよ。
すると、そのご老人、気遣わしげに俺の顔を覗いて。
「$%+#!*+%&“#+$!”¥」
いや、だから解らんて。
「&#“*+‘”#*+&・・・・・・」
困惑と不安を相混ぜたような表情を浮かべている。
なんだか解らないけど、心配してくれているみたいだ。
こんな状況ではありがたい。
しばしの沈黙・・・・・。
耐えられません。うん、耐えられないですよね。
なので、こちらから話しかけてみましたよ。
何語でって、さすがに日本語は通じないでしょ、だから頑張ってみました。
英語でチャレンジです。
「Can you speak English?」
英語話せますか?
困った顔してるよ。まいったなぁ。
仕方ない、もうひと押し。
解ってくださいの念を込めて、ゆっくりはっきりもう一言。
「Understand?」
おっ、なんか反応があるぞ。
困った顔は変わらないのだけど、ちょっと通じたのか。
「コノコトバ ワカリマスカ?」
よし、英語だ。
英語が通じるとは助かった。これで何とかなるね。
何がなんとかなるのか自分でも良く解らんが。
「ココハ ドコデスカ?」
まずはその疑問。
「ココ ワタシ イエ」
ほうほう、ここはご老人のお宅ですね。
それは、まあそうか。
「ワタシハ ドウシテ ココニイルノデスカ?」
うん? これは通じないのか。
簡単に聞いてみよう。
「ココ ワタシ ドウシテ?」
ベッドと自分を指さしながら聞いてみる。
よし、通じたみたいだ。
あっ、そうそう、カタカナで書いている部分は一応英語ですので。
「アナタ タオレテタ ワタシ タスケタ」
これはもう予想通り。
この状況、それはそうですよね。
見たところ西洋風な顔立ちをしたこの男性、50歳くらいだろう。
もう少し若いのかな?
まあ、ここはご老人ということにしておきましょ。
何にしろ助けてくれたとのこと、ありがたい。
丁寧にお礼を述べ、その後、お互いにぎこちない英語で会話をしたわけだけど、どうやらこのご老人は英語を知っているのでは無さそうだ。殆どは英語なんだけど、時折違う言葉が混ざっている。まあ、俺の英語知識での判断だから怪しいんですけどね、そんな感じがするということですよ。
なんとか聞きとった話からすると、倒れていた俺を偶然通りかかったこの老人が助けてくれたみたいで、それから今まで24時間以上俺は眠っていたらしい。それで、目覚めた俺に話しかけたところだったと。
話している最中もこの老人は俺の体を気遣ってくれているような態度で接してくれて、俺はありがたさと困惑とを抱きながら必死の英会話実践をしたわけで、さすがに疲れたと思っていたところ。
「リョウリ ツクル。 ネテイロ」
と言って老人は部屋を出て行った。
いやぁ、助かった。
慣れない英会話もどきにも疲れるけど、とりあえず今は現状の把握、頭の整理をしたいところだから、多分心配してくれているであろうご老人には悪いけど、早く一人になりたかったんですよね。
だから、俺との会話中たまに見せていた老人の不思議そうな顔は、今は無視しておこう。
さてと、では現状把握しましょ。
まずは場所から。
ここは、あのご老人の家の一室と。
それで、この家はどこにあるんだ。
俺はベッドから出て、この部屋の中に一つだけある窓まで歩いて行こうと・・・。
あれ、何だか身体が軽いような?
おかしいな。
たっぷり休んだから身体が軽いのか。
いや、逆に24時間も寝ていたのなら身体は重いはず・・・。
まあいいか、そんなこと気にしている場合じゃないよね。
部屋の明るさ、外の様子から推測するに、今は夕方か早朝といったところ。
とにかく、まだ外の景色は確認できる。
それで、窓から外を眺めると。
そこにはとんでもない風景。
なんて全く無く、普通の庭と、その先には木々が茂る森、林?
とにかく木々が茂っていますね。
「普通だ・・・」
いや、普通で良いんですけどね。
むしろ、ありがたいんですけどね。
でも、違和感が・・・。
普通なのに、なぜ違和感が。
そうか。
この部屋に感じた変な感覚、現実世界とは違うような雰囲気と外の様子の普通さとのミスマッチに違和感を覚えたのか。
なぜこの部屋に違和感を?
うーんと、そうだな・・・。
まずは造形の違いか。
ベッドや家具にみられる形が俺の知る形とは少し違う。
次に照明器具。
ロウソクなんだよ、これが。今時よっぽどの辺境でもないかぎり、電気による照明を使ってるでしょ。
なので、当然のごとくこの部屋には電気製品は一切無い。
コンセントも無し。
現代文明無しと。
そして、俺の着ている服。
中世ヨーロッパ人が来ていたような服で、普段着ている服とは材質が全く違う。
なぜ俺はこんな服を着てるのだか。
あの老人が着せてくれたのかな。
まあ、俺がそんな服を着ている理由はどうでもよくて。
さらなる違和感はというと。
ベッド横のテーブルに置いてあるペンとメモ用紙なんですよね。
これは羽ペンか?
ボールペンでも鉛筆でもない見たこともないようなペン。
中世の時代に使われていたようなペンとも違うような感じがする。
そして、現代日本とは全く違う材質でできたメモ用紙(だと思うが)。
もしかしてパピルスなのか?
現代社会でこんな材質の紙を使っている場所なんてあるのか?
あるのかもしれないが、俺は知らん。
こんなペンと紙を使っている場所なんて、全く見当もつかないぞ。
という具合に違和感が満載なのですよ。
でも、家の外は普通・・・。
いや、まあ、家の外が火星のような世界だったら人は生きていけないのだろうから、普通に見えて当たり前か。仮にここが普通ではない世界だったとしても森の景色は普通で当然と。
そう思った俺の前方斜め上方の空に、見たことも無い様な鳥が。
爬虫類のような胴体と長い尻尾・・・。
まあ、俺が知らないだけで、普通の鳥かもね・・・。
とにかく、ここは現代日本とはかけ離れた文化水準の場所で、言語は英語がなんとか通じる場所だと、そんな認識で良しとしましょ。
しかし、俺はここが普通の世界ではないということ前提で思考していないか?
なぜ、そんな前提を?
こんな見たことも無い場所に居るのに、そこが普通ではない世界だと考えている。
どうして、そんな風に思考が動くんだろう?
いや、いや、そもそも、なぜ俺はここに居るんだ?
よし、現状把握その2。
俺がここにいる理由、経緯。
俺は外で倒れているところを助けてもらったんだよな。
このどこの世界だか判らない場所にいる俺は、なぜだか解らないが外で倒れていて、偶然通りかかった親切な老人に助けてもらったと。それから家に連れて来てもらい、介抱してもらっていたと。
本当にありがたいことだけど、倒れていた理由が全く解らん。
そもそも、助けてもらう前に、倒れる前に、俺は何をしていたんだ?
昨日、いや一昨日になるのか、俺は何していた?
うまく思い出せないね。
まさか、意識障害でも起こしている!?
仕方ない、とりあえず、記憶の回復のために、まずは常識的なところから頭を慣らしていこうか。
1+1=2
15+23=38
7×8=56
12×12=144
よし、よし、暗算はできる。
正常に頭は働いてくれているようだ。
次に記憶の確認と。
今の首相は、○○首相。
今年は20××年と。
うん、大丈夫だ。
では、個人情報も。
俺の名前は。
うん!?
俺の名前は・・・・・・!?
えっ、えっ、えーーーーーー。
思い出せない!?
現在は新作「30年待たされた異世界転移」を毎日投稿しております。
こちらの作品はファンタジー小説ではありますが、伏線をたっぷり詰め込み、その効果を計算することでミステリーの香りを感じさせる作品となっております。
もちろん、純粋にファンタジー小説として楽しんでいただけるようにも書いております。
一読していただければありがたいです。