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真顔で嘘付ける奴が1番強いって事


「あーダメだなこりゃ」

 もうしばらくは天罰執行の特殊変形は使えないな。刀ぐらいか使えるのは。この聖遺物便利だけど魔力を喰いすぎるのが難点だわ。火炎放射とか何回でも使わせて欲しいもんだけどなぁ。頼むから頂上のボスまで強いの来ないでくれ……。


 聖遺物、それはダンジョンの秘宝。ダンジョンで発見される特殊な道具の総称。大半の物は現代科学でも構成されている物質すら不明だ。


「大分怪我も楽になってきたな。この俺をここまで動かすとは本当に舐めたダンジョンだぜ」

 そもそもバランスがかなり変だ。あの謎のコウモリ共が最初に遭遇するモンスターって、悪趣味すぎるだろ。


「ジジジジジ」

「そうそう、お前みたいに分かりやすい方がずっといいよ。サラダにしてやる」

 ダンジョンの螺旋階段の中腹で、ライカの前に横穴から歯を鳴らしながらカマキリ型の生き物が現れた。ただし腕は4本で、大きさは6m程度。


 危険度6、クロスマンティスか……。本来ならこんな雑魚3秒で片付けて進みたいが、特殊変形が使えないこの手数不足の状態で、どこまでやれるか。というか、なんでコイツ動かねぇんだよ。手数の少ない今は、一点突破よりカウンターの方が勝率が高い……。このカマキリ野郎、もしかしてそれが分かってんのか?

「来いよカマ野郎」

「ジジジィ」

 クロスマンティスは4本の鎌を不規則に動かすが、脚はほとんど動かさない。それはまるで挑発のような動きだった。

「あっそ!」

 ライカが居合の構えから強く踏み込み、マンティスの頭部目掛けて超速の抜刀を放つも、2本の鎌に防がれてしまう。

「げっ」

「ジィ」

 防いだマンティスは残り2本の鎌で、ライカの首と腹目掛けて攻撃をした。が、それはライカが身を捩り、かすり傷を与えるに留まった。お互い実力の拮抗を感じ、1度後ろに下がり、距離を置いた。


 このカマ野郎、冗談じゃねぇ。明らかに人間の急所を狙ってやがる。4本の鎌を最大限活かしてやがる。野生のはただ適当に4本振り回すだけ、まぁそれでもそこそこ強いが、コイツは人間との()()()()をしてる。こんな奴が居るなら尚のこと天罰執行は使えない。頂上の為に残しておかないと。そんでこんだけ油断してるフリして背中を向けても微動だにしないかコイツは。徹底的にカウンター狙いって訳か。俺が刀持ってるだけで魔法打てたらどうするんだよ。奴は俺をずっと剣士だと思って、カウンターの構えを解かない。

 ……じゃああの戦法しか無いよなぁ?


「おいカウンター待ちしか出来ないマヌケ、今からお前のことを倒す」

 ライカは白鞘を抜き、10m程先のマンティスに刃先を向ける。

「ジジ?」

 マンティスはまるで人間の言葉を理解しているように、挑発するように首を傾ける。

「お前を倒す秘策はある。……めっっっちゃ強く切る。お前の自慢の鎌ごと真っ二つにしてやるよ」

 ライカは左手で刀を持ちながら、右手で親指を下に向け、精一杯の挑発をした。もう一度刀を鞘に収め、居合の構えを作る。

「じゃあ行くぜ?」

 先程と同様にライカは前に強く踏み込み、力を込め刀を抜刀する、相手の懐から、脳天を切り上げるような角度で。マンティスは先程と全く同じ手順で、防御を行う……はずだった。

天罰執行・解除エクスキュート・リリース

 マンティスの防御は空振りし、頭部に黒い立方体が命中した。

 ライカは居合の最中、白鞘を立方体に戻すことで、相手の鎌を避けながら擬似的な飛び道具を作り、頭部に最大限のダメージを与えた。

「ハッ!一か八かの賭けだが、当たったら俺の勝ちだなァ!」

 マンティスは一瞬怯むも、身体の反射でライカを迎撃した。4本の腕が首、心臓、鳩尾、脇腹といった部分を超速で狙う。

 だがライカも、その一瞬の怯みを見逃すほど、遅くは無かった。ライカはそのままマンティスの懐で飛び上がり、頭部を掴み、捻りきった。頭部を失ったマンティスが最後に決死の突撃を仕掛けるも、ライカはその鎌を見切り、鎌の根元の関節の接合部を一つずつ手刀で破壊した。

 

「結局の所は虫は虫、そのクソ頑丈でクソ切れる鎌に誰が素直に付き合ってられるかよ。……まぁでも、強かったよお前」

 ライカは立方体を回収し、再び白鞘に戻し、前へ歩みを進めた。


 ちょっと怖くなってきたんだが、ダンジョンを調査するミッションで踏破したら怒られるんだろうなぁ。ダンジョンは本来攻略に申請が必要だし、今回は仕方ないけどもしかしてこれ違約金とか払わされるのか?いやまさかそんな、不祥事でCM降板になった訳じゃあるまいし……。

 そうなったらあの悪徳姉妹に責任を全て擦り付けるか。多分なんとかしてくれる。多分。

 ダンジョンなんて久々だけど、もう二度と来たくないな。普通に死にかけてるし、そもそも階段登るのがつまんねーわ。この難易度で聖遺物無かったりしたらそれこそハンター辞めてやるわ。

 うーんそこそこ入ってから時間は経ってると思うが、やはりスマホはダメだな。ここだけ世界から隔絶されてるみたいだ。

 てっきりコウモリみたいな小型連発系のダンジョンかと思ったらちゃんと強い奴も置いてるし、どういうつもりだ?出てくる頻度がかなり少ないから、こっちとしてはサボれて良いけどよ。こういう時は大体ラスボスがクソ強いんだよな……。


 ……はぁ。1時間程度魔物出ないとか正気かよ。でもようやく、最上部だ。おあつらえ向きに広いじゃねーか。もしかして相手はアレか?


 最上部の中心に大きな騎士を象った石像があり、その奥には扉があった。


 よく出来た石像だこと。10mって感じか。デカいな。これをスルーして奥のドアを開けたら問答無用で押し潰しに来るタイプだろうな。本来だったら不意打ちと行きたい所だが、こんだけデカいと微妙だなぁ。動いてから脆い部分を確実に攻撃したい。

「おーい!どうせ聞こえてんだろ?早くしろー」

「……」

「それともお前が聖遺物なのか?ってそんな訳ないか」

「……」

 なんとなく分かるけどこいつは意図的に無視をしてる。よーく監察すると魔力の揺らぎがある。仮にも騎士の像なのに不意打ち狙いとは騎士道精神を欠いてるな。

 でもな、お前の前に居る人間は根本的な礼節を欠いてる人間だからな。俺より人間性を下回ろうとするのは許せない。この場合人間性?像性?どうでもいいが。

「お前なんか(岩)肌汚くね?(風情があっていいね)」

 次の瞬間、石像は一瞬光って、ライカに向かって剣を横に凪いだ。凪いだ範囲の足場や壁が抉れ、埃が舞う。

 

「はー面白ぇ。石像がムキになって切りかかってくるとか、30年後まで擦れるエピソードだわ」

 ライカは当然その攻撃を躱していた。


 今の奴の攻撃の反動で、岩が1部崩れてる。特殊ギミックは無し。じゃあ正面から叩き潰せば良いだけか。

「やるか、石像狩り!!!」

うい。

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