3.フーリガンのトラ
政治的フーリガン:山荘にこもる、飛行機ジャック
宗教的フーリガン:凶悪な毒ガスを地下鉄に
環境的フーリガン:イスラエル当局に拘束・追放
なろう的フーリガン:え?この作品?やめてやめて、違うって。
将軍様がステージ進行のボタンでも押したのだろう、アナウンスが流れる。
ステージ1野生のトラをクリアしました。コングラチュレーション。
続きまして、ステージ2のフーリガンのトラを開始します。
「フーリガンのトラ?だと?」
「……あいつらしかいないですよ、新右衛門さん」
耳をすませば……カントリーロードではなく、
お~♪お~♪おっお~♪……
関西の聖歌、神阪タイガースの歌が聞こえる。
「優勝でもしたんだろうか……したな、今年。令和7年」
「しましたね……今度の相手は、トラキチ共ですか」
数々の伝説のある、タイガースファン達
・サダハル顔面パンチ
・オマワリ暴行
・テレビ局カメラ破壊
・グラウンドで乱闘&催涙スプレー噴射
・ファン同士の喧嘩で救急車
・敵チーム「死ね死ね」コール
・そりゃもうヒドイ替え歌
「一休さん……トラキチと言えども、一応人間だ。刀で切り捨てるワケにはいかない。」
「ですねー、日本国初の女性総理大臣も混ざってるかもしれませんし……」
「こんどこそ、トンチでよろしく」
「前回もトンチでしたけどね」
走りながら、考える一休さん。
座禅を組んで、ポクポクしているヒマはなかった。
「とりあえず、位置取りを変更しましようか」
「ああ、わかった」
迫りくるトラキチ達との間に、道頓堀の戎橋を挟んだ。
「よし、これなら……」
フーリガンと化したトラキチ達は、旅鼠の如く、戎橋から道頓堀に飛び込んでいく。
飛び込んだ人間が浮き上がる前に、何人も何人も……
道頓堀は、赤く染まり、積みあがった人間が掘を埋めた。
「人数が多すぎる。屍を踏み越えてコッチにくるぞ、一休さん」
「……さて、どうしましょう?おっ、さっきトラを倒したので、レベルがあがってスキルが出てきました」
あわてない、あわてないの口調で新右衛門に答える一休さん。
「おお、私も、新スキル、シンエモン・スマッシュが……って、そんなこと言ってる場合じゃ」
「新スキル、いきます。トンチ召喚!例の呪いの人形」
「!?なんだとっ」
一休さんの新スキルに驚く新右衛門。
そして、召喚されたのは、かつての塗装も眼鏡なくなった、かのフライドチキン店頭の人形。
胴上げの末に道頓堀川に投げ落とされ、17年連続でリーグ優勝を逃す呪力を持った特級呪物。
「ぎゃー、の、呪わないで。ごめんなさい」
「そ、そのお姿は、白い悪魔」
「もうしません、もうしません」
「ほんま、かんにんな」
特級呪物を前にしては、さすがのトラキチ・フーリガン達も沈静化したのだった。
「……タイガースファンの皆様、僕がこの人形を供養しますので、おひきとりください」
「よ、よろしく頼んます。」
「さ、さすが一休さんだ。」
「あー、あー、南無サンダー」
口々に呪いの人形から離れていくフーリガンのトラ達。
そして、新右衛門は素朴な疑問を口にする。
「なぁ?一休さん?トンチ召喚って何?」
「道頓堀に沈没したモノの召喚です、つまり、どうトンぼりにチん没したモノの召喚……トンチ召喚」
「頓沈召喚だと、とんちん召喚になるなぁ」
「とんちんかんちん♪気にしない♪」
「よせ、これ以上それを書くと、運営に消される」
「そうでした」
一休さんと新右衛門は気を取り直して、VRMMO屏風を見ているであろう将軍様に叫ぶ。
「さぁ、フーリガンのトラも退治しました。僕達の勝ちですよ、将軍様」
が、しかし。だが、しかし。地獄からやってきた将軍はしぶとかった。
「な、なんの、まだ最終ステージが残っておるわい」
「「な、なんだって」」
驚愕の声と共に、一休さんと新右衛門の二人は、次のステージに飛ばされたのだった。
執筆時の今はまだ総裁なんですけど、もうすぐ総理になるでしょう?
日本初の女性総理は、タイガースファンで有名。
日の丸が阪神タイガースになる日は近いかもしれません。
それよりもさぁ、アスホールの陰謀がね。
いやもう、キングメーカーってね。
んでセクシー総理が誕生しなかったなぁ。
そうじゃなくて、もうすぐ大腸の検査で、私のアスホールにカメラが突っ込まれるという恐怖。
この怪文書は気にしないで、次いってみよー。




